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姫様の守護者は見習い勇者  作者: ゴーヤウリウリ
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1-4-3

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姫の一言で全身が硬直してしまった俺は、どうにかして動こうとしたが顔から冷汗が出るだけで、悔しそうに硬直したままだった。

「くっそぅ、こちらの世界でも呪縛はこうも効くのか、全く体が動かない。

月さえ出ていなければ、こんな呪縛なんて」

「あら、残念ね。負け惜しみはだけは威勢がいいのね。

今夜は月が少し小さいけど綺麗だわ。満月じゃなくて何て運が良い人でしょう。

それに私の言葉も久しぶり聞けて・・ウフフ」と高笑いをしながらゆっくりと近づくとポケットからケースを抜き取ると俺の頬に軽く手をおいた。


「私の大事な物がやっと帰ってきましたわ。探していたものが運良く2つも。

では、後できっちりとお返しをさしあげますわ。

この私の命令に従わなかった分と私から逃げた分をね」と、そのまま頬に軽くキスをすると俺の体から冷汗が出るのが分かるぐらい息苦しくなった。

「それでは、また」と言い残し、勝ち誇ったように高笑いをしながら月に向かって屋上から飛び出し光の中に消えてしまった。


消えた姫はどこか行く宛があるのだろうか、姫が目の前からいなくなるとバタッとそのまま倒れたが、暫くして体の自由が戻りまた手足が動けるようになるとハッハッと大きく深呼吸をしてた。

「助かった、月が小さくて。それに、また姫に会えて」

俺の方が運が良かったのか、それにしてもどこに行ったのだろうか?

土地勘も全く無い筈なのに・・。

「しまった、事務長に連絡をしないと、また、怒られるな」


「何やっているんだ、このバカ野郎。とっとと帰って来い」

思った通りこっ酷く叱られたが、ブツを横取りした相手が俺の姫様だと聞いて

「なに、彼女がこちらの世界に来ているのか。それなら今日の所は仕方がない。

それで、彼女は・・、どこかに行ったって。そうか分かった。

彼女が相手ならまだどうにか打つ手はある。自分の部屋に戻って待っていろ」

電話の声では許してくれたが、今日の報酬は勿論無かった。


お腹は減っていたが今夜の報酬はなかった。仕方なく事務長から言われたように夜の街を寂しくブツブツと自宅へ急いだ。

あれはやはり姫の物だったのか。どこかで見た記憶があったのだが。

それにしても、こちらの世界に直々に来るとは思ってもいなかった。

俺を探しにわざわざ来た訳でもないし、俺がこちらに戻ってからいったい向こうで何があったのだろうか。

それよりも、このままだと姫と戦わなくてはならない。それは拙い。

明日にでも事務長に相談して対策を練らないと大変だと恐怖と不安が湧いて来た。


部屋に着くとホッとして気が緩んだ。空腹を我慢しきれずにさっさと買置きのカップ麺を食べ、お腹を満たした。

「いくら姫でも土地勘のないこちらの世界では直ぐには俺の部屋は見つけ出せないだろう、汗を掻いたので風呂に入ってゆっくりしよう」

風呂から上がると更に気が緩んだのか簡単に雨戸を閉め、戸締りをしただけで

「今晩はこれくらいでいいだろう」

心労のせいかさっさと眠りについたが、明日か学校が始まるなんて気にもしていなかった。


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