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「もう1人の生存者」

はい、登場人物の名前が出そろいます!

「え?魔法?今のが?」

先ほどシャルメリスがはめ込んだ赤いオーブがかすかに発光している。

どうやら本当にモナにも魔力があり、掛け声が詠唱代わりになり小さな魔法が発動したようだ。

驚きと何だか分からない興奮で内心盛り上がってはいるが、何はともあれ扉を開き男を繋ぐ枷を落としてやると床に崩れる様に倒れこんだ。

埃でも吸い込んだのかむせていたので、すかさず水筒を取り出して差し出す。

大きな手が水筒をつかむと、モナの肩を借りながら起き上がり水を口に含む男。

「大丈夫ですか?」

水を口にして一息ついたらしい男は、続けて深呼吸をしながらモナの方をむきうなずうく。

そして、思ったよりしっかりした声が響いた。

「あ、ああ、何とかな。ありがとう、魔導士殿。見慣れない顔だが、新しく入ったお方か?」

「え・・・あ、その、わたし・・・。」

「ん?」

「え?」

男はモナの右目を凝視した。

その眉間にしわが寄る。

ああ、いけない。

隠そうと思い離れようとするが、それより早く男の手がモナの肩をつかんだ。

そのままマジマジと瞳をのぞき込む。

勿論そこにあるのは『刻印』だ。

「あ、あの・・・。」

このままでは、騒がれるかもしれない。

それどころかこの男の人は強そうだから何をされるか分からない。

モナの背中に冷たいものが流れる。

だが、次に男が発した言葉は意外な物であった。

「そうか・・・君が『刻印』を持つ者・・・。逃げ出せたのだな。」

「え・・・貴方、何言って・・・?」

あの謁見の間で自分に向けられていた視線とは明らかに違う、安堵の視線。

男は思い出したように穏やかな調子で口を開く。

「私か?私は1ヶ月前までこの城の警備隊の隊長だった者だ。まあままでは、国王うえに反発してこの様だが。」

「・・・ここの上?」

状況が呑み込めていないモナの言葉に男は苦々しい表情になって告げる。

「団長だ。宮廷の占術師の言葉で国王は動き出した。もうすぐ『刻印』を持つ者が見つかると。」




1ヶ月まえ、占術師からひとつの報告があった。

その報告を聞いて国王は動き出した。

国王は見つかり次第『刻印』を持つ者を捕らえる様命令した。

その際、この城の警備騎士団の団長は何をトチ狂ったのか”捕らえろ”という国王の命令を勝手に”殺せ”と言い出した。

流石にその話はすぐさま国王のもとに知らされて「殺す事はない」と隊の中でも声が上がりはじめ、国王も隊員同様「殺さず捕らえよ」と命令しなおしたのだが団長はなお”殺すべき”と反論をつづけた。

しまいには占術の結果まででっち上げて報告をしてきた。

どうせ”世界の終わりを告げる厄災を倒した英雄”にでもなりたかったのだろうが・・・。

それを知った私は再三抗議し続けたわけだが、結果反乱兵として牢に繋がれ今に至る。




男は一気にそこまで話して、水をもうひと口含む。

誰にもしゃべることもできず、たまってたのかな?

何となく、少し感情的すぎる気がしながら頬をかくモナ。

だが、話を聞きつつモナは別の事に気を取られ、少し困ったような声で返事をした。

「そ、そう・・・。」

「・・・?どうした?」

不思議そうに尋ねてくる男。

何かあっただろうかと首をかしげているので本当に意味が分かっていないのだろうと思いながらモナは、何と言っていいのか視線を泳がせる。

正直言って・・・。

「目のやり場に困る・・・。」

男の力説を前にしてはいたが、とにかく視線を泳がせるモナ。

ここにきてようやく、男も気づいて寝台の毛布を引き寄せてまといながら若干気まずそうに謝罪と疑問を口にする。

「s間内、気が付かないで・・・。で、脱獄しているのにこんな所にいていいのか?」

「え・・・?貴方は知らないんですか?」

「・・・?」

この状態で無事なのは良かったと思ったが、どうやらこの男もモナと同じような状況の様だ。

ならば説明しておいた方がいいだろう。

どうやら『刻印』に偏見があるようにも思えないのだから。

「怪我の手当てと服を・・・。」

「ああ、なら警備愛の宿舎等の私の部屋にあるはずだ・・・。部屋がそのままであればいいが、まあ何かあるだろう。この牢屋の脇のドアから行けるはずだ。・・・あと、すまないが肩を貸してくれないか・・・?」

「・・・はい。」


「そうか・・・。この城には現在誰もいないと?」

ここに着くまでの間に、地下牢から出てからの事をひと通り話し終えたモナの頭のすぐ上で、男は唸った。

「はい。だから、生き残りを探してここを出ようと思ってるんです。何でも、封印されてても通れる地下道があるとかで・・・。」

「地下・・・『封除ふうじょの道』の事か。聞いた事はある。ああ、そのドアだ。止まってくれ。」

男が指さすドアの前で止まると、軽くノブを回しドアを押した。

ギィィィィィッ

何の抵抗もなくドアが開くと中へ入る2人。

「どうやら部下達が世話をしてくれていたようだな。」

男は部屋を見回しながら言った。

今、男は沐浴着であった。

ここに来る途中にあった風呂に寄ってきたからだ。

そこで傷の手当ても済ませて今に至る。

全然関係ない事だが、風呂から出た男をみてモナは思った。

彼は意外に色白だと。

それでマジマジ見つめてしまい、再び慌てることとなったのだが・・・。

そんな事を思い出しているモナに、男の困ったような声が話しかけてきた。

慌てて回想の海から戻ってきたモナは返事をしながら顔を上げる。

「・・・すまないが・・・。」

「え?」

「連れてきてもらってなんだが・・・着替えをしようと思う・・・。」

「あ・・・ご、ごめんなさい!」

またも大慌てのモナは部屋を飛び出すのであった。


少しして部屋の中から「着替えが終わった」という男の声がしたので、身を固くしつつ再びモナは室内へ。

中へ入ると支給品らしい警備兵の制服を着こんだ男が椅子に座っていた。

「大丈夫そうですね。」

「ああ、ありがとう。」

「はい、でわ今後の話を・・・。」

グゥゥゥッ

「・・・。」

「なんだかすまない。」

緊張感が崩れ落ちる様な大きな腹の音は男のものらしく、苦笑いをしつつ頭をかいている。

まあ、牢屋に繋がれたまま放置されていたのだから仕方がないし、自分も似たようなものだったのだから。

モナも苦笑いをしつつふくろのなかのおパンと水を差しだした。

「いいのか?」

「はい、個々の台所のだし。」

「そうか・・・、君は・・・。」

「モナ、モナ・コリンズです。」

「ああ、ありがとう、モナ。私は1ヶ月前までこの城の警備隊長だった、バラン・リエラスだ。バランと呼んでくれ。」

バランさんか、と復唱しながらパンの包みを広げながらモナは口を開いた。

「バランさんはこの『刻印』について何も言わないんですね?」

「ん?ああ、それか。そうだな。何処の国の王も間違えた解釈を触れ回っているからな。見た者は大騒ぎをするだろうが・・・。」

「・・・なんで?どうして、貴方は解釈が間違えている事を知っているんですか?」

誰もかれもがモナを”悪”だとののしっているのに。

不思議でたまらないといった風のモナにバランは何かを思い出す様に1度目を閉じ、再び開くと視線を天井に向けながら話し始める。

「私は・・・何となく言い伝えを聞いていて、国王の言う解釈がきな臭い感じがしてならなかっただけだ。最初からな。あとは・・・違うという確信を持ったのは、この城の魔導士殿のうちの1人がそう言っていたからだな。」

「あ、それ、もしかして王女の先生だったっていう魔導士様?」

思い出したように言い放つモナに、バランが驚いた様に声を上げる。

「・・・?なぜ、ライド道士様の事を知っている?」

「あ・・・シャル、王女に会ったの。さっき、ここに来る前に。」

「姫もご無事で?それは、良かった。」

安心した様子で目を細めるバランに、うなずき返すモナ。

「地下道の事もシャルから聞いたんだ。あれ?じゃあ、シャルの言ってた兵隊さんってバランさんの事かな?」

「ん?言っていたかどうかは微妙だが、大ぴらに言っていたのが届いたちうなら恐らく私ん事だろうな。しかし、そうか。近くいライド道士様はいらっしゃらなかったか?背中まである髪を後ろでひとつにまとめた・・・老人らしくない老人なのだが・・・。こんな時には必ず姫のもとにいらっしゃるはずなのだが・」

「・・・あ。」

―――その事を言ったら、先生は殺されて・・・。―――

シャルメリスの言葉が脳裏に浮かびうつむくモナ。

そんな彼女の様子に何を察したのか、バランは眉をひそめて唸り足元に視線を落とした。

それからたっぷり数十秒くらい経っただろうか?

再びバランが口を開いた。

「・・・処刑方法は聞いていないか?」

「え?」

「この国には反逆罪における処刑法方は2種類あってな。」

「普通に殺されるんじゃないの?」

「いや、もっといやらしいものがある。」


その刑は地下迷宮に落とされるというもので、死ぬまで極限状態で苦しめるというむごたらしい物である。


「もし、地下に落とされただけなのなら、生きていらっしゃるかもしれない。そうしたら、地下道の事も何かわかるかもしれない。今回の事も・・・!」

バランが言いながら立ち上がろうとするのを止めながらモナが口を開いた。

「でも!迷宮を突破する方法は?」

「・・・。」

現在この城で起きている事をどうにかする知恵を持つ人物は地下にいる。シャルメリスもその魔導士の処刑方法は何も言っていなかった。

だからモナもこの方法でどうにかしたいと思っている。

だから・・・。

「1度シャルの所へ戻ろう。この城の事だし、何か知っているかも。」

「あ、ああ。そうだ、その前にここの管理人室によるぞ。処刑記録があるはずだ。もしかしたら処罰内容が分かるかもしれん。」

「はい、行きましょう。」

2人は1度うなずいて部屋を後にするのであった。

モナ、シャルメリス、バラン。

もう一人いますが、まだ少し後です。


ブクマとポイントありがとうございます!

これからもよろしくお願いいたします!

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