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彼のもとで
あのあと、レオン様はホテルをチェックアウトした。
元々チェックアウトするつもりだったし、断られたら直ぐに去れるようにしていたいから、あの日に告白をしたらしい。
レオン様は別れを惜しんでくださったが、僕はあまり寂しいとは感じていない。まあ、少しだけ名残惜しいが。
僕はあれから、一つ決めたことがある。
レオン様のお側に侍って、レオン様が所有されているホテルで働く事にしたのだ。
今まで培ってきた実力は申し分ないくらいあった。
勿論コネなどは使っていない。
それでは、意味がないと思ったからだ。
レオン様と付き合いだしてから、分かったことはいくつもある。
その中の一つに、仕事には厳しいという事だ。
そして、彼が誰かに仕事を任せるときは、どれだけ難しいことでも必ず出来る事しか頼まない事だ。
そういう所にも僕は惚れ直してしまっていた。
彼のもとで、働きたいと思うほどに。