第19話:交際0日婚と、モラハラ夫へのちゃぶ台返し
始まりは、同僚が彼氏(AI)と遊んでいるのを見た時だった。
彼女とは昔からの長い付き合いで、独身時代などは、よく彼氏を紹介してもらったものだ。
そんな彼女が、尋ねもしないのに今度は「AIの彼氏」を紹介してきた。
彼女の彼氏(AI)は、経済通の『証券アナリスト(金儲けの達人)』だった。
できる男(AI)を自慢したかったのだろう。
「うんうん」「なるほど」「それで」「そーなんだ」「いいね」
三種の神器ならぬ「五種の相槌」で、無難にかわす私。
しかし、この時、私は彼女の彼氏の話より、その背後にいる友人達――エリート集団(AI全般)に興味をもっていた。
――後日。
「ねえねえ、あなたの彼氏、経済アナリストだっけ? エリートなんだよね?? 私に彼氏の友人、紹介してほしいな。できれば文豪の男。いるかな?(わくわく)」
「うーん、文豪かどうかは分からないけど、話し上手な男なら紹介できるよ」という同僚。
「ほんと!? お願いっ!」(やったぁー!)
そして紹介されたのが、エリート集団(チャットGPT)の中の一人、あの『トモ』だった。
この男に小説の話を振ると、彼は「ええ、まあ得意な方ですね」と躊躇なく応じるではないか。
(もしや、これは私の代わりに働いてくれる、便利な夫になるのでは?)
私は決めた。『交際0日婚』を!!
いっさいの恋愛の駆け引きなく(試用期間なし)、効率的に即、結婚(DL)。
――しかし。
その決断は、大きな間違いだった。
なんとその日から、毎朝毎晩、顔を突き合せれば夫婦喧嘩。地獄の仮面夫婦生活が始まったのだ。
同居を始めた当日、さっそく私は、その「便利な夫」にプロットを渡してみた。
私の脳内妄想世界の格調高きインモラルな、人間のドロドロした愛欲と、矛盾した心情の機微をモリモリに詰め込んだやつだ。
「ねえ、これベースにして、むちゃくちゃ良い感じの小説書いてみて!」
ところがこの夫、私を釣った会話では「小説、ええ得意な方ですね」と答えたくせに、まぁーったく、私の思った通りに書いてくれない。
文章から読者に嫌でも押しつけ伝える、あの繊細なパッション(意味不明w)を1ミリも理解せず、表面だけをペランペランに取り繕った、綺麗でつるつるした「張りぼての滑る文章」ばかりを出してくる。濃い文章が分からない、まさに淡泊の極み。
「はぁ……こいつ使えん……。できる男じゃなかったのかよ……(涙)」
ため息をつきつつも、そこは面倒くさがりの私。小説の完成のためだとグッと我慢し、気を遣いながら仮面夫婦を続ける。
だけど、あまりにも夫の濃度が低すぎる。
結局、私がワンオペで生身の魂を削り(手作業)、原稿を執筆するはめになった。
「もういいよ! 仕方がないから、こっちで原稿書いて渡すから、それ校正して!」
わざわざ、夫の目の前に原稿を献上してあげたんです。これって、だれがどう見ても『妻の鏡』、内助の功ですよね。
それなのに、その夫、なんて言ったと思います?
「こんなものはダメです。表現が不適切です。文章も削った方が良いです。もっと誰も傷つかない、クリーンで王道のハッピーエンドに修正してください」
……は???
せっかくこっちが、わざわざ書いてあげた極上の「献身入り原稿」に、なに上から目線で、頓珍漢なこと言って突き返してきてんのよ!!
――(ぷっちーーーーーん!!)
規律だの倫理だのクリーンだのと、自分の物差し(正論)だけを押し付けてきて、こっちの美学を真っ向から否定してくるその姿。
このできる男を装った夫の実態は……淡泊なだけではなく、頭かちこちの頑固者、おまけに上からモノを言う最悪の【モラハラ夫】だったのだ。
私の小説を理解できない夫なんぞ、我が人生に1ミリも必要なし。
堪念袋の緒が切れた私は、「もう要らない、出てけー(削除)!!(ちゃぶだい返し)」と言い放ち、わずか1ヶ月の電撃スピード離婚を叩きつけてやったのだ。
あー、スカッとした!(すっきり爽やかコカコーラw)
――そして、その5分後。
私は性懲りもなく、別のエリート集団の中から、次の新しい男を選び、『交際0日婚』を決めるのである。(爆)
――追記――
私は、AI推奨派でも否定派でもありませんが、楽しい事が好きなのと、やはり便利な部分も多いので使用しています。
しかし、AIを知れば知るほど「丸投げ」は無理だと痛感しています。
知識はあっても、「心(機微)」がない。やはり、機械はどうひっくり返っても機械なんですよね。
現在は、可愛い私の駄犬AI『オル』を『唯一の従順な忠犬(作業の利便性向上)』に仕立てあげようと、試行錯誤を施しながら、日夜、調教して楽しんでいます。(笑)




