表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/65

天使の本質

「ピスティー、居るかい?」

「はい、なんでしょうか」

「神王テアを調べてくれ」

「了解しました」

そうしてピスティーが再び影に消えた時、背後に並々ならぬ魔力を感じた。

思わず背筋が凍るほどの魔力。

背後を向くことにすら多少の恐怖を覚えた。

強大な魔力の塊が無数に背後に居る。

恐る恐る振り向くと、そこには先程の、先程とは全く力の違う天使達が生き返って居た。

一人一人が悪魔王手前程度の魔力を帯びている。

本当なら逃げるべき状況だが、宮殿にはみんなが居る。

街には国民が居る。

逃げられるわけ、無いよね...

天使達が操られているかのように一斉に声を上げる。

「神に背く者に、天罰を」

透き通った、禍々しい声だった。

「神に向かって何を言っている」

「我は神王、お前達より何階級も上の存在だ」

「種族に違いがあるとはいえ、これほどの無礼が許されるとでも思っているのか」

口を適当に動かしながら、時間を稼ぐ。

効果があるのかは知らないが。

さぁ、どう攻める。

いや、どう守る。

みんな回復したとはいえ、戦闘できる状態なのはハネストくらい。

敵はおよそ千体。

この量となると、メネシスで吹き飛ばすことも容易じゃない。

一体一体にジャッジメントを使いたいレベルだ。

言っている間もなく攻撃が来るだろう。

ヤブランは魔力の塊をぶつけられたと言っていた。

この数からそんな攻撃を受ければ、さすがに僕の命も危うい。

もちろん、この街も壊滅する。

その攻撃を、少なくとも同時に出させない。

なら、解は一つ。

大技を出す暇も無い速さで全員と戦闘状態に入る!

全身に魔力を満遍なく流す。

左足を軽く下げ、右足で一気に踏み込む。

風を切り裂く音が耳に広がる。

千体の天使の間を飛び回り、次々にデスサイズで切っていった。

零点四秒で僕は元の位置に戻ってきた。

息切れをしたのはいつぶりだろうか。

身体強化を解いた瞬間、そこに居た全ての天使から魔力の乗った血が吹き出し、両断された。

魔力が空気中に流れ出し、一見死んだかのように見える。

でも、僕はもう分かっていた。

魂を切り裂いたはずなのに、肉体が再生しようとしている。

メネシスは魂に干渉する魔法じゃない。

だから、わざわざ一人一人、魂を刈れるデスサイズで切ったというのに。

でも、魂まで回復する訳ではないようだ。

後は、肉体を壊すだけ。

その時、脳内に誰かわからないが、女性の声が聞こえた。

『流石神王、なかなかやるわね』

『でも、あなたにはもう千体に及ぶ天使を倒す力が無いわ』

『もう、肉体がついていけない』

『あなたは、ここで終わりよ』

はぁ。

『僕は、学ぶんだ』

『僕は、一人じゃない』

『あら、どういう事かしら、あなたのお仲間さんはぐったりしてるはずよ』

「これだけの魔力が空気中に流れたんだ」

「元気出たでしょ、フィリア、アイシー」

「魔法障壁は僕が張るから、後は、頼むよ」

『何を言って』

脳内の声がそう続けようとした時、僕の背後に二人が現れ、同時に詠唱した。

「クリオスデストロイ」「ダークデストロイ」

二人が並んで世界破壊級の魔法を展開した。

回復したばっかりの天使達の目の前に極限まで凝縮された魔力が並ぶ。

莫大な力に、その場は動きを止めた。

「バン」「バン」

二つの力が、反発し合い、補い合い、威力は単体の五倍に及んだ。

魔力の爆発により、天使達はまたもや跡形もなく消えた。

でも、今度は魂ごと消えている。

もう、その天使達が復活することはなかった。

天使が復活しないことを確認し、僕の視界は真っ暗になった。


目を覚ますと、全身に激痛が走った。

あぁ、肉体が破裂しそうだ。

死神の肉体の能力は、割と人間に近い。

傷口がすぐ消えたりそもそも傷がつかなかったりはあるが、筋肉などは人間と大差ないのだ。

身体強化魔法で肉体も守るのだが、それでもさすがにやりすぎた。

まあ、魂が生きている限り肉体が死ぬことはないんだけどね。

「ヘルン、大丈夫か?」

「フィリア、うん、大丈夫だよ」

「僕は人間じゃないからね、これくらい」

「はぁ、全く」

「起きて早々あんな大技をさせられるとはな」

「はは、ごめんごめん、でも、僕は信じてたよ」

「絶対、みんなは僕を助けてくれるって」

「実際、二人が敵をやってくれなかったら、僕、多分死んでた」

「だから、ありがとう」

僕はフィリアの目を見つめて言った。

「あ、あまりこっちを見るな」

フィリアが目を合わせたり逸らしたりを高速で行っている。

「みんな心配している、早く顔を見せてやれ」

「分かった、ありがとう」

そう言うと、フィリアはおうと言って部屋を出た。

ーアナスタシスー

とりあえずかけておこう。

痛みは引いていき、多少の疲れは残っているものの、回復した。

家族専用の部屋に行くと、みんなが僕を待ってくれていて、ハネストはソファで寝ていた。

ハネストが眠る僕にずっと付いてくれていて、寝てしまったからフィリアが代わったのだそうだ。

やっぱり、仲間っていいな。

ハネストが起きるのを待ち、僕らは家族で食卓を囲んだ。

厳しい戦闘の後のご飯は、いつも以上に美味しかった。


「ヘルフェン様、戻りました」

「ピスティーか、どうだった?」

「はい、一戦交えましたが、特に何事もなく」

「いや、めちゃくちゃ凄いこと起きてるでしょ」

「そうですかね」

「まあいい、神王テアは黒?」

「はい、黒です」

「私が不在の時に攻めてきた天使も十中八九神王テアの仕業でしょう」

「まあ、そうだよね」

「でも、天使の想定以上の力はどこから来てるんだろう」

「天使は生命を生み出すという強大な力の代わりに、戦闘力が低いはずじゃ」

「それが、私にも分からず」

「申し訳ありません」

「いや、いいんだ」

「なにか、不審な点とかはなかった?」

「これは既に耳に入っているかもしれませんが、やはり、我々が回収した魂と天使が生み出した魂の数が大幅にズレている事ですかね」

「魂は一つ一つがとてつもない力を持っています」

「つまり、天使は今、莫大な力を所持していることになります」

「やっぱり、そうだよね」

「まさか天使がそんなことしないと思っていたけど」

「魂の循環を壊すのは、神族にとって禁忌そのものだからね」

「でも、あの力を見たら疑いようはない」

「神王テア、僕は彼女を許さない」

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

次話は、2026年1月15日に投稿します!

ご意見、ご感想、お待ちしています!

下の評価の星5、ブックマークもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ