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乗っ取り

会場が揺れ、一緒に居た師匠も何が起きているのか分からないというように周りを見回している。

演出でもなんでもない、想定外の問題が起きている。

会場に張られた魔法障壁が破られた感覚は無い。

つまり、問題は会場の中で起きているのか。

「行くぞ、ヘルン」

「はい!」

とりあえず試合場に走る。

試合場からと思われる衝撃波がこちらまで届いている。

向かい風でローブが飛んで行ってしまいそうだ。

試合場に着くとそこは嵐の中かのように暴風が吹き荒れ、中心には一人の影が見えた。

「あれは...」

「フィリアか!...」

どういう事だ?やっぱり何かの演出なのか?

「フィリアー!何をしてるんだー!早く帰ろうー!」

その言葉に帰ってきたのは、フィリアからの本気のシャドーストライクだった。

あれは本当にフィリアなのだろうか。

必死に魔法障壁を壊そうとしている。

いつもの理性を少しも感じない。

戦うか、いや、出来ない。

もしフィリアが死んでしまえば、もう生き返らせることは出来ない。

蘇りの魔法は、肉体に魂が残っていることという条件に加えて、その魔法に魂が耐えられるかどうか、その者と生前一定以上の繋がりがあったかどうかも条件となる。

フィリアの魂は、もう蘇りの魔法に耐えられない。

普通の人はそもそも一回の蘇生にも耐えられない。

普通の人に使ってしまえば、魂が破裂して、天界にも行くことが出来ず、存在ごと消えてしまう。

そうなってしまえば誰からも忘れられ、元から本当に居なかったものとされる。

もちろん、僕からも。


それに、フィリアからは、まだ元の魂を感じる。

まだ、フィリアには魂が残ってる。

フィリアは、死んでない。

「フィリアー!帰ってくるんだ!」

「ほら!会場壊れちゃうよー!」

しかし、フィリアが止まることはなかった。

あと少しで、魔法障壁が破れてしまう。

それに力もどんどん増している。

どうすればいいんだ...

師匠が魔法を使おうとしている。

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

「だが、これ以上は観客の命に関わるぞ」

もう、これにかけるしか!

「フィリア!一緒にお出かけに行こう!」

フィリアと師匠が同時に僕の方を見た。

フィリアの動きが鈍くなる。

「お洒落して、美味しい物食べて、いい景色でも見てさ!」

「ね!だから、帰ってきて!」

ついに、フィリアの動き止まった。

「そんなのダメだー!」

そんな師匠の嘆きと共に、フィリアからフィリアの形をした黒い物体が出てきた。

恐らくこれが、フィリアを乗っ取っていたのだろう。

「はぁ、よくも私をおかしくしてくれたな」

目覚めたフィリアは、殺意に溢れていた。

「しかし、私でも引っかかってしまうとは、ある意味見事な魔法だ」

「褒美に、私が全力の魔法で消し飛ばしてやる」

フィリアの偽物は、見覚えのある魔法を無茶苦茶に放っている。

「そうか、私の真似事が出来るのか」

「そうかそうか」

「なら、国一つ潰せなくてどうする!」

「私を舐めるんじゃない!」

え、何に怒ってるの...やめてよ...?

「ほら、さっさと消えろ」

フィリアから放たれる、魔力の乗った拳。

それは、一瞬で偽物を消し去った。

怖ぁ...

少し顔が引きつったが、まあ、とりあえず安心だ。

先程まで怖がっていた観客も、今は歓声を上げている。

「はぁ、よかった...」

「ヘルン!何を言っているんだ!今日は私とデートに行くんだよな!」

師匠が詰めてきた。

「え、は、はい」

「私とのお出かけはいつ行くんだ?」

フィリアも詰めてきた。

二人に詰められ、結局僕は、連日出かけることとなった...


「では、会議を始める!」

家族会議、とは言いつつほとんど国政会議の話題は、最初から決まっていた。

「みんなも分かっていると思うけど、フィリアを襲った謎の物体の事だ」

「魔力は流れていたけど、生きていたかどうかも分からない」

「ただ、悪魔王レベルのフィリアでも乗っ取られたんだ、もはや誰も気を抜けない」

「もし僕を含むここにいるみんなが乗っ取られた場合、もはや誰にも止められないだろう」

「だから」

「特訓の始まりだ」

みんなが不思議そうな顔でこちらを見ている。

それに対し、僕は笑みを浮かべることしか出来ない。

だって、ちゃんと言ったら逃げちゃうかもしれないし。


「ほら!ヘレナ、身体下がってるよ!」

「これ、私達は何をしてるの?」

ハネストが腕立て伏せをしながら聞いた。

「何って、筋トレだけど」

「だから、なんで筋トレしてるの!!!」

「あー、そういうことか」

「乗っ取られないためには、精神力が必要かなって思ってさ」

「精神力を鍛えるなら、筋トレかなって」

「ヘルンって意外と単純なのね」

アイシーは余裕そうに筋トレしながら言った。

「うーん、良い案だと思ったんだけど」

「俺はいいと思うぞ、最近筋トレ出来てなかったしな」

「だよね!」

「はぁ、脳筋がもう一人...」

「もう、無理ぃ...」

フィオナとネロが地面に寝そべった。

うーん、これじゃだめなのかなぁ。

あ、じゃあ!


「次は何やってるのこれ」

「種族武器を出す練習だよ!」

「悪魔のみんなは槍、人間であるハネストは剣だ」

「種族武器って、ヘルンの鎌みたいなこと?」

「そうだよ」

「フィリア、アイシー、ヤブランは出せるだろうから、それを出した上で力を最大限に使う練習をして」

「力を使えば使うほど、種族武器に意識を奪われそうになる」

「それで精神力を高めるんだ」

「確かに、筋トレよりはマシかも?」

「戦闘でも有利になるだろうし」

「ちなみに、人間で種族武器を出してる人を僕は見たことないから、頑張ってね!ハネスト!」

ハネストが天を仰ぐ。

「ちょっとー!適当すぎー!」

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

新年、明けましておめでとうございます!

次話は、1月4日辺りに投稿させていただきます!

ご意見、ご感想、お待ちしております!

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