(番外)異世界でもクリスマス!?〜祈る神ならここにいる〜
武闘大会の数週間前、その日は神王ヘルフェン、つまり僕の誕生日の前日だった。
よし、クリスマスしよ!!!
会議室にみんなを集めると、僕は早速話したい事を話し出した。
「実は!明日、僕の誕生日なんだ!」
「え!そうだったの!?早く言ってよ!」
ハネストが目を見開いて驚く。
「へへ、ごめん」
「というわけで!僕にはしたいことがある!」
「それは、クリスマスという国民的行事を作ることだ!!!」
「お、おお?」
みんな僕のノリに弱く答えながらも聞きなれない言葉に疑問を抱いていた。
「その、クリスマスってなに?」
「僕が元々居た世界で信仰されていた神の誕生日を祝う日だよ」
「だから、一応この世界の神である僕の誕生日をクリスマスにしようかなってさ!」
「いいじゃん!何すればいいの!?」
ハネストは楽しいことに目がない。
食いついてくるだろうと思ったさ。
「んーっとね...」
あ、あれ、クリスマスって何するんだっけ...
人間時代にまともにクリスマス過ごしてないからなぁ...
「え、えーっと...」
「ケーキを食べたり、木に飾り付けをしたりかな?」
「いや、聞かれてもわかんないよ」
ハネストのツッコミはみんなを笑わせた。
「まあ、とにかく、お祭りみたいなもの?」
「まあそうだね」
「僕の誕生祭ってことさ」
「国民的行事などがあった方が国としての秩序が保たれるだろう」
「名案だと思うぞ」
フィリアは流石の宰相っぷり!まさに適任ってやつだ!
「じゃあ早速、準備始めようか」
「街中の木に飾り付けするのは少し大変じゃねぇか?」
ヤブラン、君はまともすぎるのだよ。
「そんなの、僕の魔法でちょちょいのちょいさ」
「あ、あぁ、そうだな」
「俺はなんでこんなこと聞いたんだろう、そうだよな、お前だもんな」
なんか僕が人間じゃないみたいな言い方やめてよね!
人間じゃないけど。
「じゃあ、早速取り掛かろう!」
ハネストが場をまとめてくれた。
「おー!」
木の飾り付け、いわゆるイルミネーションを作るのには、魔晶石を創造して木に飾りつける。
魔晶石の中には、魔力を流すと決まった色に光り輝くものがある。
それを利用して、イルミネーションを作るのだ。
という訳で!僕の可愛い弟子ちゃん、ネロ君を引き連れて、僕は街に出た。
街に出ると、僕を見た人が次々と寄ってきて、挨拶をしてくれた。
「今日も元気そうでなによりです、お仕事頑張ってください!」
い、いやぁ、仕事ではないんだけどなぁ...
「あ、ありがとうございます!あなたも良い一日を」
「その子もヘルフェンファミリーの子なんですか?見覚えないですがね」
「はい、最近入った子で、僕の弟子です!」
「よ、よろしくお願いします!」
人にあまり慣れていないのか、ネロは僕の後ろに隠れながら小さく挨拶した。
はい、可愛い。
街の人達の盛り上がりも落ち着いて、僕らはようやく街を見下ろせる高い塔に着いた。
景色に感動したのか、落ちないように作られた柵に手をかけて、体を乗り出して眺めている。
「危ないよ、ネロ」
「凄いですね、この街は」
「幸せの魔力が詰まってる」
「幸せの魔力?」
そんな魔力聞いたことがなかった。
「はい、人の幸せに魔力が反応するんです」
「幸せの魔力は魔法を強化します」
「全然知られてないけど、実はめちゃくちゃ大切なんですよ」
し、知らなかった...
「ネロは物知りだね」
「これからも色々教えてよ」
「はい!師匠のためなら!」
「じゃあ、そろそろ、飾り付けを始めようか」
「しっかり見ておくんだよ」
「はい!」
魔晶石を生成する。
なるべく多く、なるべく色んな色のやつをぉぉぉ!
そして魔力を通す紐を付けて、それを地中を通して宮殿前まで持ってくる。
街中の木にそれをしたことで、宮殿前には凄い太さの、魔力を通す紐の束が出来た。
「やっぱり、創造魔法は奥が深いですね!」
「一見ただ生み出しているだけのようにも見えるけれど、そこには使用者の臨機応変な対応、効率や環境を考えた生成、そのような、使用者の器用さが試される魔法のように感じます!」
めっちゃ見てる...後半から難しくてよくわかんない...
「そ、そうだね、その通りだ!偉いぞ!」
「やったー!」
ネロが満面の笑みで喜ぶ。
うん、可愛いしなんでもいいや。
ネロが少し散歩したいらしく、しばらく散歩をしていると、ネロのお腹が鳴り出した。
恥ずかしそうにお腹を抱えている。
可愛い。
「お腹すいたの?」
「い、いえ、は、はいぃ...」
「じゃあ何か食べて帰ろうか」
「い、いやぁ、でも...」
なんで悩んでるんだろう?
なにか事情でもあるのかな。
「じゃあ、そこの屋台でちょっとだけ買って食べようか」
すると、ネロは目を輝かせて、はい!と返事をしたあと、その屋台へ走り出した。
そういえばネロは魔法と食べることが好きってヤブランが言ってたな。
それを我慢するほどの理由があったのかな...
ん〜...
顎に手を当てて考えても、その答えが降ってくることはなかった。
頭の曇りが晴れないまま、屋台でネロの好物のパンを買って、その辺にあったベンチに座って食べだした。
パンを一生懸命頬張るネロは、小動物みたいで可愛いかった。
あれ、僕可愛いしか言ってない。
まあ、いいか。
パンを食べ終わると、ネロはチラッと時計台の方を見た。
「そろそろ帰りましょうか!」
ネロはなんだがとても嬉しそうだ。
どうしたんだろう、そんなに食べるのが好きだったのかな...
「そうだね、帰ろうか」
宮殿までの帰り道、ネロはやけに楽しそうだった。
明日が楽しみなのかな?
そうして宮殿に帰ると、宮殿の前に多くの人が集まって、はしゃいでいた。
宮殿は、白く光り輝いていた。
それは壁の反射ではない。
城中に魔晶石が散りばめられ、キラキラと輝いているのだ。
人々の中心には、魔晶石に魔力を送り続けるハネストが居た。
「あ、ヘルン!メリークリスマス!!」
それは、僕が教えた、故郷の言葉。
だけど、初めての、楽しいクリスマス。
ネロが笑顔で僕の手を引っ張る。
ネロ、このために散歩に誘ったんだな。
まあいい、聖夜の、始まりだ。
その日の夜から数日間、夜の街には魔晶石がキラキラと光り、街を照らした。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
次話は、2025年12月28日に投稿します!
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メリークリスマス!!!




