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武闘大会、決勝戦!!!

「さぁ、ついに参りました!武闘大会決勝戦!」

「優勝者には、千枚の金貨または軍団の隊長地位、もしくはそれ相応の褒美を得ることが出来ます!」

「皆さん!盛り上がる準備をして試合開始をお待ちください!!」


「フィリア、実力をちゃんと発揮すれば勝てるはず、頑張ってね」

いや、まじでまじで。

「あのカルディアっていう人、私の魔法にビクともしなかった」

ハネストは少しショックを受けているようだ。

「カルディア、私はやつを知ってる」

フィリアが昔を懐かしむように言う。

「悪魔では魔力の多さや魔法の精度など、魔法関連の能力が評価される」

「その世界で、やつは魔力を持たずに生まれた」

「だから、肉体を磨き続けた」

「あれは決してたねや仕掛けがあるものじゃない」

「純粋な努力の結果だ」

「しかし、努力において私も負ける気は無い」

「皆、今を全力で生きているのだ」

今を全力で生きている、か。

やっぱり、生きてるって良いな。

「あぁ、宰相の実力を見せて来るんだ!」

「任せろ、お前に散々願い事をしてやろう」

え、怖...

「じゃあ、行っくる」

「フィリア、頑張ってね!」

フィリアの脅しに怯えている僕の代わりに、ハネストが手を振って送り出した。

フィリアのお願いも怖いけど、千枚の金貨は本当にきつい!

頑張ってくれ!フィリアァァァァア!!


「お待たせしました!武闘大会最終試合、優勝決定戦、カルディア選手対フィリア選手、入場です!」

カルディア選手は想像通り落ち着いた様子でゆっくりと定位置まで来た。

一方フィリアは、何故か出てこない。

「フィリア、どうしたんだろう」

隣で見守るハネストが言う。

会場にも若干の動揺が波打ち、ヘレナも少し困惑気味でキョロキョロしている。

すると途端に、空に暗闇が現れ、渦巻いた。

何が起こってるんだ!

異常な魔力は感じない。

まさか、雷龍の時の犯人か!?

そう懸念し、防御魔法を街全体に広げようとした時、空から一人の人物がゆっくりと降りてきた。

黒い衣装に身を包み、溢れんばかりの魔力が体の周りを漂っている。

まるで闇そのものかと思えるような思い空気を纏うその人物は、地面に舞い降りると、右手で横に空を切った。

それと同時に空の暗闇が一瞬にして消え、何事も無かったかのような晴天が会場を照らした。

服装も代わり、見慣れた服装の人物が選手の定位置に着いていた。

「フィ、フィリア選手の入場です!!」

会場は一瞬息を呑み、間もなくして地面を揺らす大歓声を上げた。

「いや、格好良過ぎでしょ...」

ハネストはフィリアから少しも目を離さずに、こぼれ落ちたのように呟いた。

僕はフィリアの圧巻の演出に、言葉を発することすら出来なかった。


「それでは、試合開始!」

その合図が、僕を正常に戻してくれた。

ここまでどちらも大会を無双してきた、最強の名が相応しい者同士の戦い。

魔法の頂点とフィジカルの頂点。

さぁ、フィリアはどう出る。

両選手は少し互いに見つめあった後、フィリアが動き出した。

それは、僕の予想を完全に薙ぎ捨てる、理解不能な行動だった。

「久しぶりだなカルディア!!これは再会の挨拶だ!受け取れぇぇえ!!!」

フィリアは肉体強化の魔法すら使わずに、カルディア選手に殴りかかった。

フィリアは僕ですら目で追うのが必死な速さで、走ると言うよりもはや飛んでいる。

え、どういうこと...

そう呟くまもなくフィリアの拳はカルディア選手の眼前に迫り、カルディア選手を試合場の壁に打ち付けた。

壁にはヒビが入ったが、特殊な魔法によりすぐに元に戻った。

だが、人々の記憶に刻まれた確かな威力は、消えることはなかった。

フィリア、フィジカル強すぎない!?

しかし、カルディア選手も負けてはおらず、倒れてすぐに立ち上がったかと思えば、またもやとんでもない速度でフィリアに殴りかかった。

そこからは全力の殴り合い、蹴り合い、いわゆるボクシングが始まってしまった。

観客も最初は呆然としていたが、だんだん面白くなってきたのか、歓声も再び聞こえるようになった。

僕も状況を飲み込むのに時間を要したが、結果、その歓声に混ざることにした。

もくもくと土埃を立てながら、激しくぶつかり合っている。

その間、フィリアは一切の魔法を使わなかった。

飛ばし飛ばされ早数分、カルディア選手の疲れた姿に、皆びっくりした。

だが、カルディア選手は、顔に活気を乗せ、戦いを楽しんでいるようだった。

そんな顔を見せたのは、これが初めてだ。

その笑顔に返すように、フィリアも笑いながら再び攻撃を仕掛けた。

と、その時、フィリアとカルディア選手は打ち合わせでもしたかのように、同時に定位置に戻った。

「これで決めるぞ」

フィリアが少し息切れしながらそう言うと、カルディア選手は何も言わずに頷いた。

フィリアとカルディア選手が互いに拳を構える。

そこからそれが衝突するまでは、それを予想出来たはずなのにその間がないほどの一瞬だった。

地面が大きく揺れ、土埃と言うよりもはや砂嵐と言うべきものが試合場を包んだ。

観客のためにも、自分のためにも決定的な瞬間を逃すまいと僕は風魔法で砂嵐を払った。

そこには、二人で拳を合わせながら静止する、二人の戦士が立っていた。

会場に沈黙が流れる。

先に倒れた方の負けだ。

皆、瞬きも忘れたそれを見つめる。

その時、一人の体が地面の上に倒れた。

仰向けになり、朗らかに笑う。

もう一人はゆっくりとその場に座り、同じように笑い出した。

「さすがだな」

「お前こそ」

その会話を待っていたかのように、会場は感動に奪われた。


「魔導国開国記念武闘大会、勝者は!」

「ヘルフェンファミリー、国王補佐、フィリア選手!!!」

呼吸を忘れていたのか、一気に息を吐く。

もう勝ち負けは関係ない、純粋に、その試合に僕の心は踊った。

魔法以外でここまで熱くなれる試合は初めてだ。

周りではハネスト達が飛び跳ねながら手を合わせて喜んでいる。

各国の国王達も、素晴らしい試合だったと感嘆の声を零した。

魔導国開国を祝った国主催のイベント、武闘大会は、これにて幕を閉じる、はずだった...


「さて!では最後に、魔導国カリタス国王、ヘルフェン・カリタス対、その師匠、シュッツカリタスによる、パフォーマンス試合です!」

「お二人共、ご入場ください!!!」

「ちなみに!国王にはこの試合のこと何も話してません!!!!!」

...え?

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

昨日投稿予定だったのを本日にずらしてしまい、申し訳ありません。

作品制作には手を抜くつもりはございませんので、話が思いつかなければ度々このような振り替えをしてしまうかも知れません。

しかし、必ず取りやめではなく振り替えとさせていただきますので、気長にお待ちしていただけると幸いです!


次話は、2025年12月25日に投稿します!

ご意見、ご感想、お待ちしております!

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