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武闘大会、準々決勝!

「さぁ、最初の試合はメノス選手対アタラクシア選手です!」

ヘレナの明るい声が会場中に響く。

ヘレナ、予選で負けちゃってかなり落ち込んでたけど、司会の役目を任せてよかったなぁ。

試合場の両端に作られた門から、一人ずつ出てきた。

炎の付着した打撃攻撃と、風魔法攻撃、近距離戦になるか遠距離戦になるかで勝敗が分かれるだろう。

「お二人とも、定位置に立って下さい!」

「それでは、よーい、始め!」

ヘレナの合図が出た瞬間、メノス選手は足に強化をかけ、アタラクシア選手との距離を一気に詰めた。

炎を纏いながら飛ぶ様には、隕石のような威力を感じる。

一件無鉄砲に見えるが、やっていることは決して間違っていない。

アタラクシア選手が反応するより前に距離を詰めることが出来れば、メノス選手に軍配が上がる。

さぁ、アタラクシア選手はこの決定的な一打にどう対処するのか。

そう期待した時、突然アタラクシア選手の姿が消えた。

気づいた時には、メノス選手とアタラクシア選手の最初の位置が入れ替わった状態となり、メノス選手の作戦は徒労に終わった。

風魔法による高速移動。

やはり、俊敏さで風魔法使いに勝つのは難しいか。

これは、アタラクシア選手の勝ちかな。

予想通り、アタラクシア選手による大量の遠距離魔法により、メノス選手の体は傷だらけになった。

最終的に、風魔法で浮かせて地面に叩きつける風魔法の応用技で、メノス選手はアタラクシア選手に敗れた。

「そこまでー!勝者は、バシレイア出身、アタラクシア選手ー!」

「医療班の方、今すぐメノス選手の治療を行って下さい!」

待ってましたと言わんばかりにフィオナ率いる医療班が颯爽と現れ、メノス選手を担架に乗せて会場から運び出した。

フィオナ、なかなかやるな。

「いやぁ、実に早い試合でした!最初はメノス選手に軍配が上がったように見えましたが、アタラクシア選手の俊敏な動きと極められた魔法、それに緻密な作戦が功を奏したという所でしょうか!」

ヘレナの熱い解説が入る。

一見アタラクシア選手が圧倒したように見えるが、メノス選手との実力は互角だろう。

あそこで、メノス選手は初手から突っ込むべきじゃなかった。

アタラクシア選手の攻撃を受け流しながら徐々に近づき、試合場の中心、すなわち、アタラクシア選手がどこに居ても試合場の半径以上に離れられない場所から一気に距離を詰める。

そうすれば、まだ勝率は上がったはずだ。

いやいかん、ついこんなことを考えてしまった。

彼らは互いに全力を尽くしたんだ、第三者がその決闘を汚してはいけない。

さ、次の試合に集中しよう。

「さて!次の試合はガイア選手対カルディア選手です!」

「フィジカル対催眠という何とも異様な試合となります!非常に楽しみですね!」

そう、この試合は楽しみすぎた。

フィジカルだけで敵を薙ぎ倒して来たのも驚きだが、強者が揃った予選で誰も防げなかった催眠魔法。

僕も催眠魔法くらいは使えるけど、防御魔法で簡単に防げてしまう。

血を流さずに勝つ方法、めちゃくちゃ知りたい〜!

「それではー、よーい、始め!」

メノス選手同様、カルディア選手も最初から突っ込むかと思いきや、両者見合っている。

いや、見合っていると言ってもガイア選手の目は閉じているが...

しばらくの間、互いは見合ったまま固まった。

「降参します」

静寂を切り裂いたその言葉が、そのまま勝敗を決めた。

会場中が動揺の声を上げる。

「え、えーっと、勝者はカルディア選手!」

「いやぁ、何が起きたか分かりませんでしたが、大会のルールに従って、降参の合図を出した者の敗北となります!」

恐らく、ガイア選手の催眠魔法が効かなかったのだろう。

そして、カルディア選手に何も出来ない者を殴る趣味はなかった。

ガイア選手とカルディア選手の相性が悪すぎた。

カルディア選手がいなければ、ガイア選手は十分に優勝を狙えただろう。

いやぁ、彼は個人的に話してみたいものだ〜!

「衝撃の試合に会場中がどよめいていますが、ここからはヘルフェンファミリーの内戦と言った所でしょうか!」

「全員が国家権力級の実力を持つヘルフェンファミリー!」

「いつものみんなの戦いが見れるのは、個人的にも楽しみです!」

いや、その通りすぎる!

ハネスト対ヤブラン、アイシー対フィリア、ハネストが不利に見えるが、誰が勝ってもおかしくない。

前に見たハネストの魔法は、既に悪魔王にも並ぶものだった。

それからさらに成長していたなら、この大会の頂点に立つことも難しくない。

さぁ、どうなるのやら。

「では、ハネスト選手、ヤブラン選手、入場して下さい!」

会場に緊張が走る。

国家権力級の者が互いに向き合う事による威圧感。

それはたとえ客席に強力な防御魔法を張っていたとしても感じるほどだった。

「それでは、よーい、始め!」

「ヤブラン、よろしくね」

「あぁ、良い試合をしよう」

事前に話し合っていたのか、二人は試合開始と同時に高難易度魔法の詠唱に入った。

ハネストは披露会の時のアイスナイト、しかしあの時とは少し詠唱が違う。

何らかの改良を加えたのだろう。

ヤブランは純粋な火力勝負をするつもりのようだ。

ウィンドドラゴン、風魔法最大火力の魔法で一気に勝負を決めるつもりだろう。

両者とも魔法で戦士を作り出す召喚魔法。

恐らく見た目を重視して、ヘルフェンファミリーの格をしてそうとしているのだろう。

それか、ただただ互いに本気なだけか...

長い詠唱を経て、同時に二人の詠唱が終わった。

「アイスナイト!」「ウィンドドラゴン」

ハネストの前に三体の巨大な騎士が現れ、ヤブランの上空を迫力溢れる龍が覆った。

氷の騎士が龍を囲い、斧を振る。

それもただ振り回す訳じゃない。

歴戦の騎士と言った所だろうか、明らかに戦いを有利に進めるための一撃を放っている。

しかし、ウィンドドラゴンも力で負けていない。

騎士に噛みつき、吹き飛ばし、突き落とす。

互いに一歩も引かない戦いは、観客を大いに喜ばせた。

その状況を一変させたのは、ハネストの魔法だった。

「アイスフィールド!」

普段は分厚い氷で攻撃を防ぐ魔法。

しかし、それを細く沢山置くことで、風で成り立つ龍が身体を完全に留めることが出来なくなっている。

アイスナイトを発動しながらここまでの魔法を繰り出すとは。

これは勝負あったか。

そう思った瞬間、これで終わらせるものかとヤブランが動いた。

「サイクロン」

試合場中を暴風が多い、細いことで少し脆くなっているアイスフィールドはそれによって吹き飛ばされた。

しかし、それにより宙をアイスフィールドの破片が飛び回り、龍の体形維持をより困難にしてしまった。

歴戦の騎士がそれを見逃すはずもなく、龍は何等分にも分断され、もはや再生不可能となってしまった。

「降参だ」

ヤブランのその言葉により、荒れ回っていた試合場にやっと静寂が訪れた。

「流石だな、ハネスト」

「こちらこそ、流石だよ、ヤブラン」

「試合終了ー!勝者はハネスト選手です!」

圧巻の試合を褒め称えるように、会場に歓声が溢れた。

特にイレーネの人と思われる人達は泣き出す勢いで喜んでいた。

ヌース王もご満悦だ。

歓声はハネストに向けられるものと言うよりは、この伝説的な試合に向けられるもので、ヤブランの軍団長としての格も、同時に確立された。

「では、盛り上がりが冷めないうちに最後の試合に参りましょう!」

「準々決勝最終試合、アイシー選手対フィリア選手です!」

「ハネスト選手やヤブラン選手のように国家権力級の力を持つことはもちろん、ヘルフェンファミリーの中でも火力担当である二人の試合は、きっと素晴らしいものとなるでしょう!」

「それでは入場してください!」

正直な話、僕の中で優勝者の最有力候補の二人だ。

二人とも僕に並ぶような火力を持っている。

氷魔法と風魔法ではやや氷魔法が有利だが、氷魔法と闇魔法では有利不利が全く無い。

純粋な力勝負、これは楽しみだ。

ハネスト達とは違い、二人は向き合っても何も語らなかった。

その目には、相手を倒す、それしか考えていないかのような闘志が宿っていた。

え、どうしたの二人とも...

「では、準々決勝最終試合、よーい、始め!」

そうヘレナが合図した瞬間、二人は一気に距離を詰めて魔法を発動した。

「アイスクロー」「シャドークロー」

異属性の同系統魔法。

体に魔法を乗せて攻撃する近距離系魔法で二人は殴り合った。

土埃でほとんど見えないが、二人は一秒に何十打撃というとんでもないスピードで殴りあっている。

様々な近距離魔法に肉体強化魔法、言い出したらキリがない。

少し距離を取っては魔法を打ち、また殴り合う。

もはや客席に張った防御魔法が心配だ。

これでは試合が決まらないと思ったのか、一度二人は距離を取った。

「おっと!二人が距離を取りました!これは試合を決めるということでしょうか!」

ヘレナの解説が入る。

フィリア、まさかあれを使うのか...使ってしまうのか!!!

僕の中で期待と不安が入り交じる。

「ヤブラン!ハネスト!疲れてるとこ悪いけど、一緒に魔法障壁を張るよ!」

「おう」「分かったわ」

フィリアがあの魔法を使えば、アイシーも同じだけの魔法で返すはず!

「バリアフィールド!!!」

さぁ、存分にやるといい!歴史にも刻まれる決戦を!

僕がその場を作ってやる!

チラッと僕を見たフィリアは、全てを理解したかのように笑った。

「ダーク、デストロイ」

フィリアから放たれるその言葉は、それ自体が力を持つかのように重く、その場に凄まじいエネルギーが生まれた。

アイシーもそれに気づき、手を構えた。

「クリオスデストロイ」

またもや同系統魔法!

闇魔法と氷魔法のエネルギーが凝縮された球体が並んだ時、力同士の反発は僕の本気の魔法障壁でさえ少し振動させた。

「バン」「バン」

同時に爆発させられたそれは、魔法障壁を破る代わりに、地面に大きな穴を開ける。

土埃が落ち着くと、そこには勝者のみが立ち尽くしていた。

「準々決勝最終試合、勝者は、フィリア選手です!」


ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

昨日投稿予定だったのを今日に振り替え、投稿時間も遅くなるという失態!申し訳ありません!

次話は、2025年12月18日を予定しています!

ご意見、ご感想、お待ちしております!

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