魔導国、始動!〜とはいっても、することはあまり無いのだった。無いなら、作っちゃおうよ!〜
あぁ〜暇だ〜!!!
無駄に広い自室、僕の顔は机の上にへばりついていた。
窓からは日が差し込み、今の僕は日向でのんびり寝ている猫と変わらないように感じる。
暇でこうしている訳だが、僕は決して暇ではない(?)
魔導国に属する各国の国王達を招いた会議、通貨の共通化、軍団の正式結成、上げればきりがない。
だが、これらのほとんどは、魔導国全域の調査、いや、少なくとも、人口が集中している場所の調査を終えてからでなければ、下手に手を出せないのだ。
「いっそのこと調査始めちゃおうかな〜」
でも、最近みんな働きすぎだから遠方訪問はきついよなぁ。
んん〜。
あ、そうだ。
開国祭は国民主催の祭典だ。
つまり、王国側からも祭典を用意してもいい、いいや、用意すべきだ!
こうなってはゆっくりしてられない、今すぐ準備に取り掛かるぞ!
魔導国カリタス武闘大会の始まりだー!
「家族全員集まったけど、今度はどうしたの?もう国内調査始める?」
「いや、それはまだだ」
「その前に、やらなければいけないことがある!」
「やらなければいけないこと?」
みんなが同じように首を傾げた。
「国側が開く祭典だ!」
「祭典なら、開国祭があるんじゃないの?」
「それは、国民の人達主催の祭典でしょ?」
「僕が言っているのは、国が主催の祭典だよ」
「それによって、全世界に魔導国カリタスの活気を見せつけるんだ」
「なるほど!」
よし、上手く誤魔化せたな。
「それで、何をするつもりなのかしら?」
「ふふー、聞いて驚くがいい!」
「魔導国カリタス武闘大会だ!」
みんなの目には、驚きと共に闘志が燃えているように感じられた。
「武闘大会か、なかなか楽しそうじゃねぇか」
「見せ物として盛り上がるだけでなく、うちの国の戦士の強さも見せつけることが出来る、なかなか良いでは無いか」
フィリアにヤブラン、他のみんなも乗り気なようだ。
その時、ハネストが何かを悟ったように俯き、みんなを下から見上げた。
「つまり、それに勝ったらヘルンに何でもお願いできるって事ね!」
「...え?」
え?どういうこと...?
しかも、なんでみんなさっきよりも目の圧強くなってるの...
「それは負けてられないね!今度こそ私がお兄ちゃんとお祭り行くんだから!」
「何でもか...ふふ」
アイシーが不穏な笑みを浮かべている。
怖すぎるぅぅぅー!!
誰かに助けを求めるように、僕は天を仰いだ。
だが、助けに来る人など、誰も居ないのだった...
「ま、まあ、勝てばね」
「おぉー!やったー!」
「もちろん、僕に」
「え」
「あと、参加は応募型にして、参加条件は要相談」
「国内の強い人をなるべく集めたい」
「そして、その人達に君達が負けられては困る」
「気を張って頑張ってくれよ」
「もちろん!私、この家では霞がちだけど、人間界では天才剣姫として名が轟いてるんだからね!」
「いや、ハネストのことを見くびっているものなど、この中にはいない」
「そもそも、元悪魔王である私でさえ、この家の者の誰も侮れないからな」
「皆が得意分野を持つ中で、自分の長所を保ち続けなければならない」
「この家に居るだけで、修行と言っても過言ではないだろうな」
「本当は、こんなに戦力が集まって、仲良しこよしなんて普通できないですものね」
「悪魔王会議なんて、今考えれば悲惨なものだったのだと気付かされるわ」
「それもこれも、やっぱり、絶対的な力を持つヘルンの存在が大きいのでしょうね」
「僕も、ハネストと最初に出会った時、まさかこうなるとは思わなかったよ」
「そうだね、あの時助けてくれてなかったら、そもそも私はこの世に居ないかもしれないし、ヘルンとも出会えてなかっかもしれない」
「全ては、運命で繋がっているんだ」
「神が言うんだから、間違いねぇか」
ヤブランが笑った。
ここにいる人はみんな、何かしらの傷を負ってもなお、立ち上がって生きてる。
だからこそ、僕はこの最高の仲間を守りたいと思えるんだ。
「じゃあ、まずしないといけないのは、会場作りだよね」
「うん、それは、ヤブランと僕でやろう」
「全然いいんだが、俺は何するんだ?」
「雑用のような仕事で申し訳ないけど、僕が想像魔法で会場を一気に創るから、ヤブランは、その時に出る土埃が開国祭に影響を与えないように、空中で集めて欲しいんだ」
「これは簡単な事じゃないけど、風魔法を極めている君ならきっとできる」
「あぁ、お安い御用だ」
「ところで、想像魔法で作るっていうのはどういう事だ?」
「僕の創造魔法は、何も無いところに何かを生み出すことが出来る」
「でも、全部生み出すと、流石に消費魔力が多すぎるから、土台となる土や石は、自然から持ってきたい」
「だから、土埃がたつんだ」
「なるほどな、わかった、任せろ」
「助かるよ」
「そして、ハネストとヘレナは参加者の募集、秘書としての初仕事だ!」
「おぉー!やったー!」
ハネストとヘレナが飛び跳ねながらハイタッチをして喜んでいる。
似てるなぁ...
「そしてフィオナ」
「はい!」
「武闘大会では絶対に怪我人が出ると思うから、医療班の設立をしよう」
フィオナが目を輝かせる。
「フィオナ、頑張る!」
「頑張るんだぞ、フィオナ」
「うん!お姉ちゃん!」
フィリアもたまにはお姉ちゃんするんだな。
「フィリアは、そうだな、参加希望者には怖い人もいるかもしれない、ハネスト達の用心棒をして欲しいな」
「威圧力でフィリアに勝てる人はそう居ないからね」
「うぅ、私、そんなに怖いのか...」
「ううん、僕達はフィリアが大好きだよ」
「フィリアが優しいことは、みんな知ってる」
「それに、戦闘力も大事だけど、そもそも戦闘を起こさせない、威圧力も非常重要だ」
「家族を守るフィリアは、どんな女神よりも優しいと思うよ」
「わ、わかったぁ、もういいから、だまれ!」
フィリアが顔を真っ赤にしながら言い放つ。
怒らせちゃったかな...
「まあ、とりあえず、休暇中に頼んで申し訳ないけど、みんな、各自の仕事を頑張って欲しい」
「じゃあ、解散!」
「ヤブラン、一緒に、会場に出来そうな場所を探しに行こう」
「あぁ、わかった」
僕は、闘志を燃やしているハネスト達や、フィリアが気まずくて、僕は逃げるようにその場を離れた。
「んー、どこがいいと思う?」
「都市からあまり離れない方が良いだろうな」
イレーネはバシレイアの北部にあり、メガロス帝国はイレーネよりは南部に近いのだが、バシレイアの中央と言ったばっかりに、ヘルフェン宮殿は、メガロスの更に南方に建てられた。
城下町が直ぐに出来、もうそろそろ一つの国が出来そうなくらいに成長している。
各国に転移門を設置すれば何とかなるか...
「じゃあ、城下町が広がりすぎる前に、城下町の外に会場を作ろう」
「武闘大会以外にも、様々なことに活用するだろうから、なるべくみんなが行きやすい方がいい」
「一度、城外を歩いてみよう」
「そうだな」
「ヤブランはさ、なんで僕についてきてくれるの?」
「えらく急だな」
「そんなの決まってるだろ」
「なに?」
「そりゃ、なぁ、その」
ヤブランは何故か恥ずかしそうにしている。
もう一度聞こうとしたその時、急に巨大な魔力の気配を感じた。
こちらに急速で進んできている。
空を見ると、隕石のように何者かが飛んできていた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
次話は、2025年12月4日に投稿します!
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