悪魔の皆さん、こんにちは
二度目のゲヘナ。
魔神城入口。
エルの死により、悪魔の魔力は無くなっている。
薄気味悪い雰囲気も大分改善された。
神王会議で、悪魔全員をゲヘナに集めてもらい今後の方針を伝えることになった。
で、まあ、僕がその役目に選ばれたわけだ。
最初は反発していた悪魔の人達も徐々に落ち着いて、エルの死から数十日、やっと指針発表が出来るまでになった。
はぁ、大勢の悪魔の前で喋るなんて...怖いなぁ...怖いこと言われても仕方ないもんな...
無数の悪魔を倒してきた。
今更、その罪を無視する気は無い。
勝ったら正しいわけじゃない。
自分が犯した罪を背負って、これからも生きていく。
ハデス様が集めてくれた悪魔は、魔神城の前に広がっている。
数えるのが億劫になるほどの数に、心臓が鼓動を早めた。
悪魔の緊張を和らげるためなのか、ただのハデス様の趣味なのか、会場は色鮮やかにデコレーションされ、お祭りのようになっている。
売店まで出ている次第だ。
「緊張しますか?ヘルフェン君」
隣に立っているハデス様が、少し僕の身長に合わせて傾きながら聞いた。
「なんで僕なんですかぁ...」
「そりゃあ、魔神を倒したのはヘルフェン君ですし、悪魔との和解を提案したのもヘルフェン君だからですよ」
「そうですけどぉ...」
「まあヘルン、伝えることを伝えたらいいから、あまり気を張るな」
後ろに居る師匠が言った。
「そうですよ、シュッツ君はむしろ来たくて来たくらいですからね」
「私とヘルフェン君が一緒に居ることに嫉妬でもしたのでしょう」
ハデス様が朗らかに笑った。
「い、いや、そういう訳じゃない!」
「そうだ、お前達神王の護衛として来たんだ!」
「ヘルフェン君に護衛が必要なのでしょうか」
「やーい!うるさーい!別に私が居ても良いだろ!」
「親が子の晴れ舞台を見に来て何が悪い!」
師匠はプンプンしながら暴れだした。
テア様は笑顔でその様子を眺めている。
「わ、分かりましたから師匠」
「ふん!分かればいい」
「でも、神王全員に、師匠まで」
「神族の要がこんなに集まって仕事を放棄していて大丈夫なんですか?」
「まあ、私たち以外にも強い子は沢山居ますからね」
「大丈夫でしょう!」
ハデス様は少しおどけながら言った。
適当だな...
「まあ、数日もかかるわけでもありませんし、大丈夫だと思いますよ」
テア様が僕の心配を拭うように言ってくれた。
「まあ、そうですね」
「ほら!もっと楽しめ!」
「式が終わったら私と一緒に売店を回るぞ!ヘルン!」
「いや、ヘルフェン君は僕と回るんですよ」
「お友達ですから」
「ね?ヘルフェン君」
「え、あ、はい」
師匠とハデス様は、笑顔のまま一瞬睨み合った。
この二人は何を争ってるんだろう...
間もなく、僕らの登壇の合図となるトランペットの音が鳴った。
「さ、ひとまず無事に式を終わらせましょう」
ハデス様が空気感を入れ替え、みんなまた、少しの緊張を取り戻した。
城を出て、用意された壇上に立つと、無数の鋭い目線が、僕を突き刺した。
声を出そうとしても、喉で詰まってしまう。
深呼吸をし、鼓動を抑える。
数秒後、やっと少し落ち着いた。
声量拡張機を口に近づけ、話し始めた。
「私は、神王ヘルフェン・カリタスです」
「この度、皆様にこれからの方針を伝える役目を任されました」
「皆様、様々な不安にかられていると思います」
「でも、一つだけ」
「私は、悪魔の皆様との共存を目指したい」
「どちらが上でも下でもない」
「対等な存在でありたいんです」
悪魔達からの冷たい目線は変わることは無かったが、僕は自分の本心を貫いた。
保護区のことや、色んな出来事に対するこちらの対応を大まかに伝え、式は無事?終了した。
「さぁ!ヘルン、一緒に遊びに行くぞ!」
師匠が僕の手を引っ張る。
後ろからハデス様がやって来て、労ってくれた。
「ヘルフェン君、お疲れ様でした」
「素晴らしい演説でしたよ」
「いや、めちゃくちゃ緊張しちゃいました」
「最近張り詰めているようですし、リラックスして、楽しんできてください」
「もちろん、私と一緒にでもいいですが」
「ありがとうございます」
「ほら!ヘルン行くぞー!」
師匠が僕の手を掴みながら走り出したので、ハデス様との会話は強制的に終わった。
「これ食べるぞ!」
「これもいいな!」
「これ似合ってるぞ!」
師匠が珍しく大はしゃぎしている。
最近用事以外でちゃんと会えてなかったからなぁ。
今日は楽しむか!
「師匠!あの店行きましょう!」
「おう!」
ゲヘナでの式典も終わり、バシレイアに帰ると、みんなをリビングに集めた。
「今日、保護区のことを正式に発表した」
「おぉ」
「だから、それに関して、みんなに役職を伝えたい」
「任命は僕に一任されているから、希望とかがあれば言ってね」
「分かった!」
ハネスト、ヘレナコンビが元気よく答えた。
「まず、僕は、保護区の管理長を務めさせてもらう」
「そしてフィリア、君は副管理長だ」
「何故私なんだ?」
「管理長が死神である僕だからね、副管理長は元悪魔王である君がすべきだ」
「なるほど、いいだろう、任せてくれ」
「ありがとう」
「次はハネストとヘレナ」
二人はワクワクしているのか、目を輝かせた。
「君達は管理長室秘書だ」
「僕の業務のサポートとか、保護区の状況の確認とかを担当してもらいたい」
「つまり、ヘルンとフィリアの隣にいればいいってこと?」
「まあ、そうかな」
「やったー!」
二人が手を広げて喜んだ。
「次はヤブラン」
「君は軍団長だ」
「軍団なんかあるのか?」
「うん、別に戦争とかのためじゃないよ」
「保護区の治安維持を任せたい」
「おう、任せろ」
「アイシーは、副団長として、ヤブランのサポートをしてくれる?」
「もちろん良いわよ」
「ありがとう」
「わ、私は無いの?」
フィオナが目を少し濡らして言った。
「もちろんあるよ」
「水魔法は治癒魔法に長けているからね、フィオナは医療部長を務めてくれ」
フィオナは人間で言うとまだ十代前半。
でもまあ、悪魔王もしてたんだから、いけるでしょ。
「分からないことがあったら、ハネスト達に頼るんだよ」
「分かった!」
役職が貰えて、フィオナは嬉しそうに返事した。
「よし、みんな異論も無いみたいだし、この役職で決定するよ」
みんなが頷くのを見て、少し頼もしく思えた。
「この保護区は、前に僕が言っていた国作りの元となると思う」
「みんなの力があれば、絶対にいい国が作れるはずだよ!」
「おー!」
「そういえば、師匠がもうすぐ授名式があるって言ってたな」
「授名?」
「うん、師匠の〈慈愛の死神〉みたいに、二つ名を貰えるんだよ」
「おぉ!たしかに、ヘルンにはそういうのなかったもんね」
「うん、二つ名を貰えると、一気に世間に知れ渡ることになるからね」
「名誉な事だけど、重荷だな...」
「いいじゃん!かっこいいと思うよ!」
「ありがとう...」
「私ならなんてつけるかな」
ハネストが考え出した。
「あ!弱気な死神!」
えぇ...
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
2025年11月9日、学業の都合上投稿出来ず、すみませんでした!
次話は、2025年11月13日に投稿します!
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