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悪魔戦【始】〜僕としての使命〜

勢い余って何話か書き終わってしまったので、早めに投稿させて頂きます!

これからも、8月中はとりあえず、昼12時に投稿すると思います!

詳しくは、活動報告をご覧下さいm(*_ _)m

今僕は、この世界に来てから最大の窮地に陥っている。

目の前には、神と対立している悪魔がいる。

師匠は留守。

悪魔は、自分に協力するか、死ぬかという選択肢を投げてきた。

「その...協力って、何をするんですか?」

「彼女、あなたの同居人の情報を吐いて頂きます」

「そして、内通者として働き、なるべく悪魔に貢献して頂いた後、死んで頂きます」

「まあ、死ぬとはいえ、その時は全ての存在が共に消えるので、安心して下さい」

その姿は一見、美形で優しそうな見た目をしていた。だが、優しく微笑むその細い目の中には、邪悪な感情が見え隠れしていた。

「な、なるほど...」

あー、終わったー!もう無理だ!

僕はどうすればいいんだろう。

とりあえず生きられる方法を選ぶべきか。

...

いや、それはだめだ。

ここに内通者として帰ってくるまでにも、師匠の情報を吐かされるだろう。

それは、だめだ。

僕としての使命は、この世界の守護神になることなんかじゃない。

僕の大切な人を守ることだ!

「残念ですが、あなたに協力することは出来ません」

「そうですか...確かに残念ですね...まあ、家の中にも情報はあるでしょうし、とりあえずあなたには、死んで頂きますね」

「それは、恐ろしいですね」

少しだけ、無言の時間が流れた。

こう見えても、僕は死神だ。この数ヶ月で、それなりに戦えるようになったはずだ。

師匠が帰るまで耐えればいい。

両者が出方を考えていた瞬間、細く微笑んでいた悪魔の目がギュッと開き、急に槍を僕に突き出した。

日頃の修行の成果だろうか、僕は何とか避けることが出来た。

悪魔が槍を突き出した衝撃で、家が半壊している。

逃げられなかったら死んでたな...

あれ?そういえば、死神って死なないんじゃなかったっけ...

師匠は、基本的にはと言っていた。

悪魔は神王と対立する存在。

相手を殺せないのに、対立なんて出来ないだろう。

つまり、今目の前にいるこの人は、僕を、殺せる。

あー...逃げたいなぁ...逃げ切ることすら無理だろうけど。

本当に、師匠の言い忘れぐせには困っちゃいますよ。

師匠は、僕を救ってくれた。世界に絶望してた僕を、この世界に連れてきてくれた。

少しでも、師匠の為に、頑張りたい!

「早いですけど、反応は出来ますね」

「あなたは僕を殺さなければいけませんが、僕は師匠が帰るまで耐えればいい」

「今のが私の最速とでもお思いですか?」

え...

「最速なんかでやってしまえば家まで吹き飛んでしまいますからね、手加減したのですよ」

「舐めるなよ?クソガキが」

あー...えぇ?

「その位置なら、家にそこまで影響は出ないでしょう」

「次は本気で行きます」

やばい、死ぬ!耐えるなんて甘ったるい考えは捨てないと!

今、僕の魔力で打てる最大火力の魔法は、

死神固有魔法 “デスファイア”

でも、デスファイアを繰り出すための大鎌を、僕はまだ出せない。

師匠の大鎌や悪魔の槍を、種族武器という。

莫大な魔力を必要とするそれを使えるかどうかで、種族の中でも階級が大きく変わる。魔力吸収と同じくらい大事な能力だ。

とりあえず、全身に防御魔法を何層もかける。

そして、目と足を魔法で強化する。

解決策を見つけるまで、逃げ続けなければならない。

途端に、悪魔がまた突進してきた。

強化した視力でやっと見ることが出来る速さで繰り出される攻撃は、明らかに先程とはレベルが違った。

「ふむ、これも避けられるんですね」

「目と足に強化、全身に防御魔法ですか」

「なるほど...」

「この瞬間にそこまでの魔法を展開できるとは」

「ただの雑魚では無いようですね」

「師匠のおかげです」

「彼女の弟子なのですか」

「それなら、多少強いのも納得ですね」

「まあでも、種族武器は使えないようだ」

「ならば、問題ありません」

悪魔は片足を後ろに出し、一気に踏み込んで突っ込んで来た。

「攻撃が単純なんです」

また避ける動作を取る。

「よ!」

その時、悪魔は急に方向を変え、こちらに向いてまた突進した。

危ないな!

また避ける、また方向転換してくる、また避ける、また方向転換してくる。

どうやら、こちらの魔力切れを狙っているようだ。

やばい...その作戦は僕には大打撃だ。

「どこまで逃げ続けられますかね」

「どこまでも逃げてやりますよ」

とは言いつつ、こちらも攻撃しなければ話にならない。

悪魔に効果的とされている攻撃は、神聖魔法と死神固有魔法、炎魔法だ。

神聖魔法は死神には使えない。となると、死神固有魔法か炎魔法。

死神固有魔法は、名前の通り死神に最も向いている魔法だから、炎魔法より効くだろう。でも、死神固有魔法は、初級でも普通の魔法の上級レベルで、デスサイズを必要とするものが大半を占める。僕にはほとんど使えない。

つまり、僕が今すべき攻撃は、炎魔法最大火力の

“ヘルフレイム”

毎日の修行で、ヘルフレイムなら数発打てる。それで出来るだけ悪魔の体力を削ぐ。

となれば、悪魔に直撃させる必要がありそうだ。

出来るだけこちらに引き付けて、目の前でヘルフレイムを決める。これしかない。

逃げる速度をほんの少しだけ弱める。

「あれ、少し遅くなりましたね」

「魔力温存でしょうか」

「では、ここらで決めさせて頂きましょう」

「甘く見ないで下さいよ」

「言葉より実力で語りなさい」

悪魔がまた速度を上げて追いついて来た。

──今だ

悪魔の顔に両手をかざす。

「ヘルフレイム」

その瞬間、悪魔は業火に焚かれ、攻撃は止んだ。

「なにしやがる小僧」

その声も、見た目も、最初の時とはまるで違い、もはや獰猛な獣のようだった。

炎から抜け出した悪魔は、傷は無いものの、それなりに消耗しているようだった。

でも、もう同じ戦法は使えない。どうしたものか。

少しふらついていた悪魔が、急に野太く恐ろしい声を出した。

「ドミネーター」

悪魔固有魔法!本で見たことがある。悪魔の中でもそれを使える個体は少ない。悪魔の絶対的な必殺技。

それをここで使ってくるとは。

ドミネーターはたしか、領域魔法。その領域の中で、この魔法の使用者は大きな強化が施され、使用者以外の能力が大幅に制限される。

詰んだか...

「これで終わりだ」

悪魔が片手をこちらにかざし、ゆっくりと唱える。

「デーモンブロー」

領域内で、攻撃系の悪魔固有魔法。

つまり、終わりだ。

防御魔法をいくらかけても、領域内では紙と変わらない。

どうせ、元から僕は死んでたんだ。

たまたま、師匠に拾われただけ...

師匠...僕が居なくなったら悲しがってくれるかな。

師匠を悲しませていい弟子とは言えないな。

師匠・・・

そういえば、僕は何のために戦ってるんだっけ。

そうだ。師匠の情報を守るためだ。

師匠は、死神の中でも重要な人。

師匠の情報を盗まれちゃいけない。

だめだ。まだだめ。まだ死ねない。師匠の情報を盗まれる。その情報は何なのかは分からない。大したものじゃないかもしれない。でも、それを盗まれて師匠が困るなら、それを守るのが僕の使命な気がする。

僕は、まだ死ねない!


次話は、2025年8月18日(月)12時に投稿します!

ご意見、ご感想、お待ちしております!

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