最強の死神、窮地に立つ
五人の悪魔王に上空を囲まれ、もはや撤退不可能な戦いが始まろうとしていた。
悪魔王、悪魔の頂点に立つそれは、様々な状況に対応するため、使う魔法の属性が被らないようになっている。
つまり、今から僕は、少なくとも五属性の魔法を受けることになる。
魔法障壁は複数属性の同時攻撃に弱い。
攻撃を避けつつ防御するとしても、非常に渋い戦いだな...
―面白い―
「戦う前に、一つお聞きしたいのですが」
「皆さんは、私と和解する気はございますか?」
「私、弱いものいじめはしないと決めているのです」
血気盛んで気の早そうな悪魔王(さっき、つい首を落としてしまった...)が、またもや腕を振りかぶり、突進してきた。
先程も怒って突撃してきて、もうそれの力量は分かっていた。
弱くはないが、振り払えなくもない微妙な攻撃。
打撃に炎魔法を乗せて威力を爆発的に上昇させているようだが、魔法構築が荒く、威力補正が上手くいっていない。
対複数戦だから無視は出来ないが、この人に気を使う必要は無い。
「あなたはさっきから感情的ですね」
「悪魔王の風格というものに欠ける」
「うるせぇ!すぐにぶっ殺してやるから黙ってろ!」
「そうですか、では戦いに集中するとしましょう」
「メノス、あまり一人で前に出るな」
「もしそいつが本当にバシレイアの守護神なら、既に神王化しているはずだ」
「お前が一人で勝てる相手ではない」
最初から比較的冷静で多少の風格を纏う男が、怒り狂う悪魔王に注意した。
そんなに冷静なら僕の和解交渉に乗ってくれないかな。
彼の目を見て、話しかけてみた。
「そこのあなた、私と和解する気はありませんか?」
「細かな条件は後に話し合いの元決めることになりますが、両者が五分五分になるような交渉を目指すことを誓いますよ」
「死神と悪魔が話し合えると?」
「はい!僕の仲間の四人中三人は、元悪魔王ですから!」
その瞬間、悪魔王たちに衝撃が走ったようだった。
「フィリアの情報は入っていたが、まさか三人も引き抜いているとは」
「ふむ、だが、和解はやはり難しい」
「我々は皆、魔神様に仕え、魔神様に命を捧げた者だ」
「今更魔神様を裏切ることは出来ない」
はぁ...いけるかなって思ったのにぃ...
仕方なく、交渉のために閉まっていたデスサイズを再び出現させた。
「じゃあ、そろそろ始めましょうか」
「デスマッチを」
まずは、全員の魔法属性と、能力値を把握するとこからだ。
メノスと呼ばれていた人は炎属性で確定。
あと四人の属性が分かれば、大分戦いやすい。
攻撃力は攻撃される度に都度観察するとして、全員の防御力を見るために、一度大きいのを行こうか。
「ネメシス」
悪魔王が全員入る範囲内が暗闇に包まれ、僕の座標から無数の死神属性の斬撃のような魔力体と衝撃が波のように広がってゆく。
並の悪魔なら即死する魔法に、悪魔王はどの程度耐えられるのだろうか。
案の定、悪魔王は全員生き残っていた。
メノスと、まだ喋っているのを見たことがない大人しそうな女性の悪魔王が、相当なダメージを受けていた。
魔法構築が雑なメノスがダメージを受けることは分かっていたが、女性の方の悪魔王はどういうことなのだろうか。
攻撃特化なのか、メノスと同様魔法構築の精度が悪いのか。
まあ、大体全員の防御力は分かった。
範囲攻撃では、死に至らしめることまでは出来ない。
最大火力の単体攻撃で各個撃破するしかないようだ。
そうだな...
単体攻撃の弱点は、言うまでもなく他の敵に攻撃出来ないこと。
僕が敵と一対一で戦う時、他の悪魔に入られるのは面倒くさい。
召喚魔法...いい魔法があるじゃないか。
まさかあの会がこんな風に効果をもたらすとは。
久しぶりの大変な状況に、少し笑みがこぼれた。
「ヴァルキリーダンス」
披露会で見せた魔法。
だが、今回は少し違う。
神々しい光とともに現れる強力なヴァルキリーが、百五十三体!
悪魔王を引き留めるくらいには十分だろう。
ネメシスからのほぼ間のない大召喚魔法。
悪魔王たちは、何が起きているのか分からないと言わんばかりの、戸惑った顔をしていた。
「僕が対峙する敵以外の敵の足止めをしろ」
ヴァルキリーは、五人相手にバラけ、戦闘を開始した。
披露会ではあまり感じることが出来なかったが、今は分かる。
彼女らの美しい剣舞には、一切の隙がなく、僕は一瞬見とれてしまった。
いけないいけない、早く各個撃破していかないと。
ヴァルキリーは確かに強いが、相対しているのは悪魔王、既に一、二体がやられてしまった。
まずはメノスから!
僕がメノスの方に高速で飛んでいく。
周りの音さえ置いていく僕に、ヴァルキリーとの戦闘で必死なメノスが気づくわけがなかった。
メノスがやっと一体のヴァルキリーを倒し、雄叫びをあげようとした瞬間、僕の大鎌がメノスを切り裂いた。
―デスボルト―
あんなに威勢を張っていたメノスは、呆気なく散った。
やはり、これくらいの防御力ならデスボルトでも倒せる。
次の標的は、先程メノス同様防御力が弱かったあの悪魔王。
女性の悪魔王とは色々関係があるからやりずらいけど...
僕がその悪魔王の所へ飛んでいくと、ヴァルキリーが全滅しかけていた。
他の悪魔王の方も見ても、メノスに当たっていたヴァルキリーのほとんどが、この悪魔王に割かれたようだ。
やはり、攻撃特化により、強力な攻撃力を持っているのか。
僕がその悪魔王の近くに着くと、生き残ったヴァルキリーは、他の悪魔王の所にバラけた。
ヴァルキリーの数は、既に五十を下回っているようだ。
緊急処置として、シャドーナイトを千体召喚した。
ヴァルキリーの力はシャドーナイト数体分はあるため、緊急処置にしかならないが、ないよりはマシだろう。
強化魔法をかけているから、それなりに戦えるはずだ。
「あなた、相当強いのね」
女性の悪魔王が口を開いた。
「召喚魔法を使う時間くれてありがとうございます」
「どうせ、あの時攻撃しても、致命的な反撃をされるだけだしね」
「礼を言われることでは無いわ」
「今更ですけど、僕と和解する気は?」
「本当はそうしたいところだけど、ピストスが言った通り、もう引けないのよ」
「ピストス?」
「あぁ、あの真面目そうな男よ」
メノスを止めたあの男か。
「まあ、なら仕方ありません」
「尋常に勝負です」
「ええ、よろしくお願いね」
悪魔王は残り四人、僕の仲間を傷つける奴は、僕が倒す!
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
投稿時間が連日遅れてしまい申し訳ありません!
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次話は、2025年10月20日に投稿します!
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