暴動
はぁ、想定していたよりも最悪だ...
今、数百万体の悪魔が、バシレイアを中心とする神族が統治する世界群に向かって進行しているようだ。
もう少し先に開かれる予定だった神王会議が急遽開かれた。
開催者がハデス様なので、会議はハデス宮殿で行われる。
ハデス宮殿に入ると、入ったことの無い会議室に案内された。
部屋に入ると、丸い机に3つの席が置かれ、既にハデス様が座っていた。
「ヘルフェン君!よく来てくれました」
「もうすぐテア様も来られると思います」
ハデス様がそういった時、ちょうど部屋の扉が空いた。
「お二人共もうお揃いなんですね、少し待たせたようで申し訳ないです」
これが、天使の王テア様。
白いドレスに身を包み、愛想の良さそうな女神は、本当に死神と仲が悪いのだろうか...
「いえいえ、二人とも急な招集に応えて頂き、ありがとうございます」
「もうお分かりかと思いますが、この度皆さんを呼んだのは、数百万の悪魔がこちらに向かって進行しているということです」
「そして、偵察からの情報では、未だに最後尾が確認されてないらしく、まだまだ増えていく可能性があります」
まじか...
「なるほど...」
テア様も困ったという顔でため息をついた。
「とりあえず、死神を招集して対応に向かってもらう予定ですが、異論はありますか?」
「私はありませんよ」
「僕もないと言えば無いのですが」
「どうしました?ヘルフェン君」
「僕も、悪魔の対応に向かわせて貰えませんか?」
「んー、確かに、ヘルフェン君が行ってくれればこの件はすぐに解決するかもしれません」
「しかし、この件の主犯格がいつどこに現れるか分かりません」
「絶大な力を有する神王は、バシレイア付近で待機するのが最善でしょう」
「なるほど、確かにそうですね」
そうして会議が徐々に止まり、話が終わりかけた時、急に部屋の扉が開き、受付嬢の人が飛び込んできた。
「失礼します!ご報告がありまして!」
「大丈夫ですよ、落ち着いて話してください」
「先に向かわせていた三百人程度の死神軍が、全滅しました」
「えっ...」
たしか、既に送られている死神達は、師匠などには及ばずとも、低級悪魔に負けるような人達では無い。
つまり、数百万の悪魔軍が、中級、上級悪魔も含んで構成されている可能性がある。
「こうなっては四の五の言っていられません」
「ヘルフェン君に向かってもら」
ハデス様が言い切ろうとした時、もう一人の受付嬢の人が、また部屋に走ってきた。
「ご、ご報告が!」
「悪魔王が五体、バシレイア上空に出現しました!」
脳内は整理が追いつかなかったが、身体は既に動き出していた。
転移魔法で家に戻ると、家はまだ無事なようだった。
早くみんなを避難させないと!
そう思い扉を開けると、家には誰も居なかった。
どこに行ったんだ!
家の中を見渡すと、机の上に紙が置かれていた。
紙を取って見ると、フィリアが不穏な気配を感じたから全員で偵察に行くと書いてあった。
それは不穏な気配なんてものじゃない!
一体の悪魔王なら、全員でかかれば何とかなるかもしれないが、五体の悪魔王を相手にするのは流石に無理だ!
早く援護に行かないと!
バシレイアに着いてからずっと感じている濃い悪魔の魔力を頼りに、僕は光速で移動した。
メガロス帝国付近に着いた瞬間に目に入り込んできた景色に、僕は息を呑んだ。
地面にフィオナ、ヘレナ、ハネストが倒れ、フィリアがボロボロになりながら悪魔王達の攻撃を防ぎ続けていた。
その光景に、僕の心は意外と冷静だった。
冷静に、ブチ切れていた。
目の前が真っ暗になり、ある意味脳内は整っていた。
僕の脳内には、もう純粋な怒りしか残っていなかった。
デスサイズを出しても、特に感情に変化を感じなかった。
フィリアとハネスト達を囲むように魔法障壁を張り、
全員に治癒魔法をかけた。
悪魔王達が魔法をぶつけてきたが、僕が改良した魔法障壁はビクともしなかった。
「ごめん、遅くなった」
「ヘルン...すまない、みんなを守りきれなかった...」
「いや、十分だよ」
「全員生きてる、フィリアのおかげでメガロス帝国も無事そうだ」
「痛みは引いた?」
「あぁ、治癒魔法もこんなにできるとはな」
「流石だ」
「いいんだ、これくらい」
「それよりフィリア、頼みたいことがある」
「なんだ?」
「今、悪魔の軍勢がこちらに向かってきている」
「既に三百程度の死神が殺されたらしい」
「僕は悪魔王との戦いで、そちらに対応する余裕が無い」
「みんなが起きたら、その軍勢の対応をして欲しい」
「僕だってみんなにこんなことを頼みたくないけど、もうこれしか」
「分かった」
フィリアは僕の言い訳を遮るように言った。
「理由なんて要らない」
「私たちは、お前が好きだから手伝うんだ」
「それだけ、ちゃんと分かって、絶対に死ぬなよ」
真空になっていた僕の心に、何かが生まれた。
まだそれに気づく余裕は、僕にはなかった。
「じゃあ、行ってくるよ」
「あぁ」
「みんなを家に飛ばすから、ゆっくり休んでから行くんだよ」
「分かった、そう伝えておく」
「ありがとう」
フィリア達を家に転移させ、魔法障壁を消した。
「魔法障壁を張るのは得意なようだが、お前一人に何が出来る」
悪魔王の一人が笑いながら言った。
「やめろ、可哀想ではないか」
「そうだよ、こんな弱そうな死神でも、必死に悪魔王に立ち向かおうとしてるんだから」
悪魔王が次々に僕を嘲笑した。
「ピーチクパーチクうるさいな」
「君達が揃いも揃ってバシレイアに送られた理由が分かる?」
自分達でも気になっていたのか、少し動揺しているようだった。
「この世界の守護神が、最強だからだよ」
悪魔王達が一瞬固まった後、大笑いをし出した。
「だからなんだ、悪魔王が五人も集まっているのだ、負けるはずがな」
「うるさい」
その時、喋っていた悪魔王の首が落ちた。
地面に落ちた首は消え去り、胴体からまた頭が生えてきた。
周りの悪魔王は目を見開き、今起こったことを理解しようと必死そうだった。
「まだ、喋りたい?」
首を落とした悪魔王は、顔を真っ赤にして突撃してきた。
悪魔王全員が戦闘態勢に入り、歴史上でも特に激しい戦いが始まった。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
投稿時間が普段より1時間遅れてしまい、申し訳ありません!
1週間毎日投稿3日目!ここからも頑張ります!(投稿時間のズレはご容赦ください)
次話は、2025年10月19日に投稿します!
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