僕、意外とちゃんと働いてます〜ついでに世界選びもしちゃおっかな〜
魔法披露会翌日、今日から数日間、家に帰る間もないほど任務が詰まっている。
なぜそんなことになったのか。
そう、各地で悪魔の小規模進行が多発しているのだ...
一気に殲滅出来ない分、やはり時間がかかってしまう。
人手不足となっている神族陣営にとっては、大規模進行より厄介だ。
まあ、いずれ作る、数世界を束ねた国に入れる世界を選ぶのにはもってこいの任務ではあるからな...
任務はさっさと終わらせて、視察に時間を使おう!
そうこう言っているうちに、任務の発生した、アバンダントという世界に着いた。
バシレイアと比べてしまえば見劣りするが、動植物もそれなりに繁殖しており、住みやすそうな地だった。
数十体の悪魔による小規模進行が起きているらしいが、一見何もなさそうに見えた。
もう少し近づいてみるか。
アバンダントの周りを回るように、ゆっくりと上空から地上へ向かって飛んでいると、急に、濃い悪魔の魔力が漂い始めた。
悪魔には、全体的に襲うのではなく、一部を壊滅させた後別の地を滅ぼしに行く特性がある。
僕が早めに来たからか、この世界で悪魔に襲われているのは、この辺りだけのようで、生存者と死者の数を見比べて、三割くらいの人間が致死的な被害に遭ったようだ。
考えている暇は無い、なるべく早く、悪魔を駆逐する。
効果対象を悪魔だけに絞った、ネメシス。
発動スピードも格段にあがり、もはや対複数の戦闘では欠かせない魔法となっていた。
辺りは一瞬深い暗闇に包まれ、それが晴れる頃には、悪魔は一体たりとも見当たらなかった。
人も結構居るし、自然も良好な状態を保っている。
この世界は国に入れるのに良さそうだな。
有力候補にしておこう。
神王ともなれば、悪魔の小隊を倒す程度で一日の任務は終わらない。
異常発生した魔物の退治とかやってた時が懐かしいなぁ...
この後も三、四件の任務がある。
そのどれもが悪魔討伐。
早く行かないと被害が大きくなってしまう...
行くかぁ...
離れるには惜しいこの世界を尻目に、僕は次の世界へ向かった。
次の世界は、自然こそ豊かなものの、文明が他の世界と比べて大幅に遅れていた。
まだレンガなども生み出されておらず、藁のようなもので作られた家が何個かで固まって、集落を築いているようだ。
実は、バシレイアはもちろん、アバンダントなども、非常に恵まれた世界に入るのだ。
実在する世界の八割は、人間が住むには環境が厳しいと言われており、平和に暮らせる世界は、一パーセントに満たない。
そして、文明こそ発展していないものの、自然溢れるこの世界も、大分恵まれている方なのである。
さて、とりあえず悪魔討伐っと...
しかし、少数の悪魔を探すには、この世界は大きすぎた。
高速移動て探せなくはないけど、疲れるからなぁ。
ネメシスの効果範囲をこの世界全域にするか。
発動スピードは遅くなるけど、まあいいでしょ。
ネメシスに増強魔法を組み合わせることで、効果範囲を広げる。
悪魔の死滅を確認できてはいないが、さっきまでほんの少しだけ感じていた悪魔の気配が消えたし、まあいいだろう。
んー、でも一応探知魔法かけとくか。
探知魔法で悪魔の死滅を確認すると、僕はまた同じように他の世界に攻めてきた悪魔を討伐していった。
その中で一つ気になったのが、悪魔が揃いも揃って下級の者ばかりだということだ。
普通、軍隊長クラスが居らずとも、少なからず中級から上級が小隊を引っ張る。
この、自然に出来た群れのような、統率のされなさは、悪魔らしくない。
これが何か悪いことの兆候じゃないといいけど...
多少の不安を残しながら、僕はハデス宮殿に報告に行った。
普通、任務を完了したら、ハデス宮殿の受付に報告する決まりなのだが、報告しなくても確認する方法はあるため、わざわざ報告しに行く死神は少ない。
でも、僕は一日の任務をまとめて報告をするタイプだった。
確認するのも、わざわざ現地に使いを出したりして、結構面倒みたいだしね。
ハデス宮殿に着くと、珍しく受付の近くにハデス様が居て、捕まってしまった。
「また来てくれたのですね!本日はどうされました?」
「今日こなした任務の完了報告をしようと思いまして」
「おお!それは助かります!ヘルフェン君は真面目ですね!」
「いえいえ」
「それよりも、ハデス様に一応伝えておきたいことがありまして」
「ほう、その感じ、重要なことのようですね」
「事務室で話を伺いましょう」
ハデス様の事務室に入れてもらい、今日の出来事を簡潔に伝えた。
「なるほど、下級悪魔のみの小隊ですか...」
「前例が無くはないとはいえ、ヘルフェン君が討伐した小隊がほとんどそうだったというのは奇妙ですね」
「シンプルに中級、上級悪魔の数が減り、足りなくなったというだけなら良いのですが」
「ですね...」
「まあ、もうじき神王会議が開かれますからね」
「その時の議題としましょう」
「分かりました、ありがとうございます」
「いえいえ、重要な情報共有、ありがとうございます」
しばらくいつも通りの雑談をした後、僕はハデス宮殿を出た。
今日は家に帰れないかと心配していたが、僕は自分で思っていたよりも仕事が出来た。
少しなら帰れそうかな。
家に帰ると、ハネストが少し驚いた顔で迎えてくれた。
任務に出る前に、念の為に数日間帰れないかもしれないと伝えていたのだ。
「今日は帰れたんだね、良かった」
「うん、なるべく帰りたいと思って、早めに任務を終わらせてきたんだ」
「手のかかるような敵も居なかったしね」
「うん、良かった良かった」
「みんなはもう寝た?」
「うん」
「フィリアが早く寝るなんて珍しいね」
「今日ずっと魔法の練習してたから、疲れたんだと思う」
「そっか、昨日の披露会で熱が入ったのかな」
「そうかもね」
「明日は帰って来れるの?」
「んー、どうかな」
「世界によっては、悪魔を倒しただけで守護神祭?みたいなのを開いてくれるんだけど」
「嬉しいのは嬉しいけど、時間取られちゃうんだよね...」
「あー、難しいところだねぇ」
「まあ、なるべく早く終わらせるよ」
「うん、みんなもヘルンと会いたいと思うし、大変だと思うけどね」
「それにしても、なんで悪魔は勝ち目がない戦いを起こすんだろう」
「いっその事悪魔全員を引き連れてきた方が可能性があるのに」
「確かに、なんでだろう」
「最近は特に弱体化してるしね」
「何か悪いことが起きないといいけど...」
「まあ、とりあえず、少しでも寝なよヘルン」
「疲れてるでしょ?」
「そうだね、ちょっとだけ寝るよ」
「おやすみ、ハネスト」
「うん、おやすみ、ヘルン」
悪魔の異常行動、これからどうなるのかな...
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次話は、2025年10月18日に投稿します!
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