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悪魔王襲来

「フィリア、外で育ててる野菜を何個かずつ採って来てくれない?」

ある、任務が急に無くなり時間が空いた日、みんなで鍋料理を作り、食べることになった。

「あぁ、いいぞ」

そう言うと、フィリアはすぐに外に出た。

後で師匠も誘おうかな〜。

そんなことを考えながら、後で入れる肉を切っていると、外から衝撃音が聞こえた。


流石にもう慣れた。

高速で出た外は土煙に覆われ、フィリアを見つけるのに少し手間取った。

フィリアは、平気そうに土煙を見つめていた。

土煙が薄れると、一人の背の低い少女が目の前に現れた。

「え、何この人」

え、こちらの台詞だけど...

すると、少女は周りを見渡し、フィリアを見つけるや否やフィリアに飛び付いた。

「ねぇさん!!!」

「おぉ、フィオナ、やっと来たか」

「ねぇさんが神族側についたと聞いて、寝返ってきた!」

「おぉ、そうか、はは」

「それにしても、ねぇさんが生きていて良かった!」

「戦死したと聞いた時は生きた心地がしなかったよ」

「すまんな、そこのヘルンにやらてな、ははっ」

「ちょ、ちょっと、フィリア、その言い方は...」

「ねぇさんを虐めたの?許さない!」

「悪魔王フィオナ様が鉄槌を下してやる!!!」

そう叫び、フィオナという少女は僕に飛び掛かろうとした。

フィリアの妹だと戦えないし、厄介だな...

てかこれで悪魔王かよ...

そう思った矢先、フィリアがフィオナの服を引っ張った。

「ねぇさん!邪魔しないで!私はねぇさんの仇を!」

「やめておけ、お前が勝てる相手では無い」

「ねぇさん、今の私は悪魔王だよ!神族になんか負けない!」

「言っただろう、私はそいつに一度殺されたんだ」

「え?じゃあなんでここに居るの?」

「ヘルンが私を蘇生させたんだ」

「...え?」

「そ、蘇生?」

「そんなこと出来るの?」

「だから、お前が勝てる相手ではないと言っているんだ」

「えぇ...」

「ま、まあ、フィオナさん?今は僕とフィリアは仲間なんです...」

「え、それ本当?」

「あぁ、本当だ」

「ていうか、最初に自分で言っていただろう」

「私が神族側についたと」

「...あ!」

「相変わらずだな」

「ヘルンさん、ごめんなさい!」

「いや、良いんですよ、それより、フィオナさんも鍋料理食べていきます?」

「鍋?」

あ、そっか、悪魔や神族は普通魔力しか摂らないから、鍋料理を知らないのか。

「色んな食材を大きな器に入れて、煮込むんです」

「そして、それをみんなで分けて食べる」

「それが鍋の醍醐味です」

「な、なるほど?」

「後で僕の師匠も呼ぼうと思いますし、人数が居た方が楽しいですから」

「どうですか?フィオナさん」

「た、食べてみたいです」

「よし!じゃあみんなでちゃちゃっと作っちゃおう!」


沸かした湯に野菜を入れ、アクを取り、肉を入れる。

美味しそうな香りがしてきた頃には、良い感じのお昼時となっていた。

師匠を誘いに行ったものの、珍しく家に居なかったので、今回は諦めた。

フィオナは不思議そうに、僕が鍋を掻き回すのを見つめていた。

小皿にスープを注ぎ、味見をすると、予想以上に美味しかった。

実は僕も鍋料理初めてに等しいくらい、したことないんだよね...

「さ、器に注いで、昼食にしよう」

みんなで囲む食卓は、いつになっても大好きだった。

「これが食べ物か...」

フィオナは目を丸くして器を見つめている。

「熱いから気をつけてね」

「ほら食ってみろ、魔力なんかよりも美味いぞ」

静かに頷くと、フィオナは口元で器を傾けた。

「ん!美味しい!」

「だろ?」

「口に合って良かったよ」

ハネストもヘレナも満面の笑みで頬張って居た。

これが、幸せ空間〜。


「ところでなんだけど」

「どうしたの?急に改まって」

ハネストが不思議そうにこちらを見ている。

「フィオナ、君は今悪魔王なんだね?」

「うん、そうだよ」

「え」

ハネストとヘレナの声が揃った。

そういえば言ってなかったか。

「それで、君はどちらにつく気なの?」

「もちろん、ねぇさんが神族につくなら私も神族につくよ」

「そうか、良かった」

「うん」

「フィオナは、領地とか持ってるの?」

「ううん、私は貴族じゃなくて軍隊長って感じだから、領地とかはまだ無いよ」

「悪魔王になったばっかりだしね」

「そっか...」

フィオナはキョトンとした顔でこちらを見た。

「まあいい、フィオナはここに住むんだね?」

「うん、住みたい」

「分かった、いいよ」

「いいのか、ヘルン」

「うん、フィリアの妹を断る訳にはいかないよ」

「感謝する」

「ありがとう!ヘルン!」

「あぁ、よろしくね」

「よろしくねーフィオナちゃーん」

「よろしくね、フィオナちゃん」

ハネストとヘレナ、本当にこの二人は似てるな...


その夜、フィオナはとりあえずフィリアと一緒に寝てもらった。

フィオナも新しい環境にまだ慣れないだろうし、姉と一緒にいる方が安心するだろう。

それにしても、元悪魔王と現役の悪魔王が揃ったとなれば、いよいよ悪魔軍の戦力は絶望的だろう。

そろそろ、戦争をせずに圧力だけで悪魔軍と和解する案を進める時期かもしれない。


まあとりあえず、

いつも通りハデス様に報告だー!

例によって受付を済ませ、例によってハデス様の事務室に入った。

「ヘルフェン君、よく来てくれました!」

「はい、いつも通り相談、というか報告がありまして」

「ははっ、次は悪魔王を仲間にしたとでも言うつもりですか?」

「ご存知だったのですか、実はそうなんです」

「え、いや、冗談だったんですけど」

「え」

一瞬の沈黙を越え、ハデス様が口を開いた。

「ま、まあ、とりあえず話を聞きましょう」

「はい、実は、この前仲間にした元悪魔王フィリアの妹に当たるフィオナが、悪魔王であるらしいのです」

「それで、フィオナも神族側につくと言っております」

「なるほど、本当は悪魔軍の諜報員を疑わなければいけないのでしょうけど」

「ヘルフェン君から離した方が自由に動かれてしまうかもしれない」

「悪魔軍関係で仲間に出来そうな人が居れば、これからは報告は要りませんよ」

「ヘルフェン君は神王ですし、莫大な力も持っている」

「ただ、一つお願いします」

「はい」

「仲間にする時は、あなたが一人で、今いる仲間から一斉に攻撃されても勝てるようにしてください」

「了解しました」

「あ、でも、その報告が要らないからって、来る回数が減るとかやめてくださいよ!?」

「わ、分かりました、へへ」

相変わらずだな...


家に帰ると、フィリアとフィオナがまだ起きていた。

「二人とも、まだ起きてたの?」

「あぁ、ちょっとヘルンに言いたいことがあってな、うん」

すると、二人は急に並んで立ち、頭を下げた。

「ど、どうしたの!?」

「私達を仲間に迎えてくれてありがとう!」

「最初は退屈しのぎに入ったが、今では皆がかけがえのないもの家族のように感じている」

「私も、今日来たばっかりだけど、お姉ちゃんもいて、優しい人達に囲まれて、すごく幸せだった」

「だから、本当に、仲間にしてくれてありがとう!」

心に、嬉しさとは少し違う、優しい衝撃が来た。

これが、感動と言うやつかな。

「二人とも、顔を上げてよ」

「家族が頭を下げてるところなんて、見たくない」

家族を守るためにも、僕は強くならなくちゃな。

ここまで読んで頂き、ありがとうございます!

次話は、2025年10月12日18時に投稿します!

ご意見、ご感想、お待ちしています!

高評価、ブックマークもよろしくお願いします!

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