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たまには師匠に甘えたい!

ある日の、数日前から数世界を束ねた国を作ることについてとか魔神討伐とか悪魔王との和解とか考えることが多すぎて一睡も出来ず死神だから特に害は無いものの気分的にめちゃくちゃ疲れてるし体力も少しずつ削られてるんだよなーって悩んでるとヘレナが連れ去られようとしている所を思い出してまた色々考え出し死神には起こりえないはずだが脳がパンクしそうになっている、朝。


そうだ、師匠に会いに行こう


起きてきたみんなに師匠に会いに行くと伝えると、僕は早々に家を出た。

前、顔を見せろと怒られたし、久々に師匠に甘えたくなってきたからちょうどいい!

でも、甘えるってどうするんだっけ...

いつの間にか僕は誰かに守られる側から誰かを守る側になっていた。

んー...

ま、とりあえず一緒にどこかへ出かけようかなっ。

そんなことを考えながらルンルン歩いていると、(転移魔法の発動により現れる空間のズレを繋ぐ空間を)瞬く間に師匠の家の前に来た。(本当に瞬きする間など無かった)

ドアを優しく叩き、師匠!と呼ぼうとした瞬間、ドアが思いっきり開き、師匠の顔が目の前に現れた。

「わぁ!?」

「ははは!やっと会いに来たか!」

「遅くなりました」

「本当だぞ!」

「ごめんなさい...」

「まあいい、今日は何の用だ?」

「用は特には、少し気分を変えたくて」

「なるほど、つまり、暇なんだな?今」

「まあ、そうですね」

「よし!私も今日はたまたま休暇日なんだ!」

「アナパウシスへ行くぞ!」

...どこそれ...


師匠に連れられ、世界と世界を繋ぐ空間を通り見知らぬ世界へ着くと、目の前に美しい純白の門が現れた。

「どこですか?ここ」

「ん?知らないのか?言ってなかったか」

相変わらずだな...

「ここは、神のリゾート地、アナパウシスだ」

「神のリゾート地?」

「あぁ、神族が休暇中に好んで来る、神の為に作られた、神の休息のための世界だ」

「なるほど?」

「死神に合う丁度いい魔力を揃えてあったり、遊べる所やゆっくり休めるホテルまで、上げたらキリがない」

「おぉ...」

「なんだ?乗り気では無いのか?」

「いえ、楽しそうなんですけど、師匠が楽しんでるイメージがあまりなくて」

「...似合わないか?」

あ、そういえばこの人、イメージを大事にしてるんだった!

「いえ、楽しんでる師匠も素敵だと思います!」

「そ、そうか?」

「はい!あ、あれ!さっき言ってた魔力で出来たお菓子みたいですよ!行きましょう!」

「あ、あぁ、行こうか」


その後、僕と師匠はアナパウシスを満喫した。

食べ物や温泉など、人間らしいものから、魔力ビールなど、神向けのものまで、幅広く備わっていた。

「そういえば、この世界に夜は無いんですか?全然日が落ちてる気がしないのですが」

「あるにはあるが、このエリアには昼しかない」

「夜エリアと昼エリアがあってな」

「気分に合わせて行き来出来るんだ」

「なるほど」

「少し疲れたし、夜エリアでちゃんと休むか」

「そうですね、休息が目的ですし」

「最近寝れてなかったので助かります」

「そうか、ではあっちだ、行こう」

少し歩いていると、徐々に空の輝きが弱くなり、すぐに優しい暗闇と静寂が訪れた。

「凄いですね」

「あぁ、落ち着くなぁ」

「どこの家に泊まりたい?」

「どこの家?」

「このエリアの所々にある家に泊まることが出来るんだ」

「そこの看板に色んな家の詳細が載っていて、空いてるか埋まっているかも載っている」

「まあ、とんでもない数の家があるから、全部埋ることはまず無い。」

「そうですねー、やっぱり、師匠の家が良いですね」

「ん?このエリアの家じゃなくていいのか?あの家とは比べ物にならんぞ」

「いえ、師匠の家が良いんです!」

「そうなのか?」

師匠は困惑した顔で転移空間を開いた。

「さ、帰りましょ」

「あぁ」


師匠の家、僕の心の居場所。

やっぱり、ここが一番落ち着く。

「本当にうちで良いのか?」

「はい、ここが一番落ち着けるんです」

「そうか、なら良いのだが」

「久しぶりに、一緒に寝ませんか?」

「はは、お前も可愛い時があるんだな」

「だめですか?」

「いや、まあ、いいんだ」

「今日は楽しめたか?」

「はい、久しぶりの師匠との時間、とても心地の良いものでした」

「ならよかった」

「そういえば、最近寝れていないと言っていたな」

「何かあったのか?」

「いや、僕が数世界を束ねる国を作るとか、悪魔と和解するとか、色々言ってますけど、元々の僕なんてただの体の弱い子供」

「今更逃げる気はありませんけど、色々考えちゃうんですよ」

「僕が統治した世界が滅んだらどうしようとか、僕の身の回りの人が悪魔に奪われたらどうしようとか」

「そんなことを考えていたらとても寝れなくて」

「なるほどな」

「私がお前に出来ることはもうほとんど無い」

「お前はもはや私と同等、いや、私以上の実力を持っている」

「となれば、私に出来るのはお前の相談に乗ることくらいだ」

「ゆっくり聞いてやるから、なんでも話せ」

それから数刻、僕の口は止まることを知らずに、師匠に自分の思いを話し続けた。

その時の師匠は、まるで子供の話を聞いているかのように、母性を感じる優しい目で見守ってくれた。

「少し話し過ぎました、すみません」

「いいんだ、こんなに話したのはいつぶりだろう」

「今日はお前のおかげでとても有意義だった」

「そうですか?」

「もちろんだ、大切な弟子と一緒に過ごせたんだからな」

僕の頬は少し赤くなった。

「僕も、師匠と過ごせて良かったです」

「さぁ、とりあえず寝ろ」

「死神に睡眠は必要ないが、寝ると精神面に安らぎを与えることが出来る」

「隣についていてやるから、落ち着いて寝るといい」

「はい、ありがとうございます」

その夜、僕は久しぶりに、人間時代の夢を見た。


朝起きると、僕は師匠に抱きついていた。

え、やば。

「うわぁ!ごめんなさい!」

「私たちは親子なんだ、問題無いだろう」

「いや、大ありですよ...」

「そうか?」

「まあ、昨夜は一緒に寝てくれてありがとうございました」

「久々に師匠に甘えることが出来て良かったです」

「束縛すると嫌われると聞いたからあまりこういうのは聞きたくないのだが、その、次はいつ来るのだ...?」

「え?はは、近いうちにまた来ますよ」

「本当か?約束だぞ!」

「はい、約束です」

「それに、師匠からの愛を束縛だと思ったことはありません」

「これからもいっぱい愛してください!」

「お、お前、そんなことを軽々しく言うな!全く」

「はは、では、僕はこの辺りで仲間の所に戻ります」

「その後すぐに任務に出なければなりませんし」

「分かった、寂しいが仕方がない」


いつもの外着の服を着て、玄関に向かった。

「お前は強い、だが、この世には何があるか分からない」

「気をつけるんだぞ」

「はい、師匠を一人にはしませんよ」

「ふむ、いい心がけだ!」

「では、行ってきます!」

「あぁ、行ってこい!」

さぁ、また仕事を片付けに行こう!

次話は、2025年10月12日18時に投稿します!(恐らくそれまでに1話分投稿すると思います)

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