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フィリア

ハネストとフィリアを蘇生させた僕は今、フィリアと2人で家の前の草原に立っている。

臨時で立てた家だけど、結構愛着が出てきたなぁ。

「ヘルフェン、用とは何だ?」

「ヘルンで良いよ」

「分かった」

「用というよりは聞きたいことがあるんだ」

「ほう?」

「君はどんな魔法を使える?」

「ん?使えんぞ」

「え、なんで」

「なんでって、一度お前に倒されたからに決まっているだろう」

「それでなんで魔法を使えなくなっちゃうのさ」

「悪魔は魔神から力を与えられているだけだからな」

「悪魔の強さとは、魔神の魔力との共鳴度によって決まるのだ」

「なるほど...つまり、悪魔でなくなったフィリアは今は何も出来ないと...」

「うぐっ、お前に倒されたからなのだー!本当はもっと強かったのだー!」

「分かった分かった」

「じゃあ僕が、君が悪魔王時代レベルの力を与えるから」

「え?」

「え、どうしたの」

「倒した相手に力を与えるのか」

「復讐されたり裏切られたりしたらどうするのだ」

「フィリアは復讐したり裏切ったりするの?」

「いや、しないが、そういうことでは」

「そういうことだよ」

「僕は今まで、自分の力不足でハネストを一時的に失い、ヘレナも失いかけた」

「少しでも戦力が必要なんだ」

「悪魔王レベルとなれば、僕も安心して任務に行ける」

「なるほどな」

「分かった、お前が私に力を与えた時、私はお前の配下になろう」

「配下になんてならなくていい」

「僕が生まれた場所では、お互いに助け合う集団を、家族って呼ぶんだ」

「家族...」

「悪魔にもその概念はなくはなかった」

「しかし、私は生まれつき悪魔王の素質があり、家族と引き剥がされて、特別な教育を受けた」

「家族の顔すら覚えていない」

「なら、僕達が最初の家族だ」

「それじゃだめかな」

「いや、それでいい」

「よろしくな、弟よ」

「いやなんでそうなるの...」

「年齢的には弟ではないのか?」

「悪魔って寿命がほぼないんだっけ」

「あぁ、私は大分若い方だがな」

「まあ家族関係はなんでもいいや」

「まあそれもそうだな」


「よし、じゃあちゃちゃっと力を与えちゃお」

「あぁ、よろしく頼む」

「悪魔王時代は、悪魔固有魔法以外に何魔法が得意だった?」

死神である僕には、悪魔固有魔法を与えることは出来ないのだ。

「強いて言うなら、闇属性魔法だな」

「なるほど、じゃあとりあえず、闇属性魔法適性を悪魔王級まで上げるね」

「そんな軽く...お前は魔神とも戦えるのではないか?」

「あ、そういえば、その魔神!」

「まだ死神界では情報が回ってないんだよね」

「後でハデス様に報告しないと」

「そうなのか?私が倒した天使は知っていたようだったが」

「え?それ本当?」

「あぁ」

天使と死神の間にある溝は、ここまで広がっていたのか...

「まあいいや、儀式を始めよう」

「分かった」

儀式の内容は、具体的には、師匠が最初に僕にしたような身体改造だ。

フィリアの魔力器官に干渉して、闇属性適正を極限まで上げる。

神王となった僕には簡単なことだ。

しかし、誰でも力を与えられる訳では無い。

魔法はイメージが大切。

元々持っていたことがある力までしか与えることは出来ない。

つまり、この身体改造でフィリアは悪魔王時代の力を取り戻すというのが正しい言い方だ。

「じゃあいくよ」

創造魔法の一種、人の本質に干渉出来る魔法。

「オルタ」

フィリアの頭に置いた手が、綺麗な輝きを放った。

数秒で終わった身体改造は、一応成功したようだった。

「終わったのか?」

「うん、気分はどう?」

「少し疲れた気がするが、悪くは無いぞ」

「よかった、じゃあ魔法を使ってみよう」

「手慣らしに闇属性最上級魔法、シャドーストライクとかどう?」

「手慣らしに最上級魔法って...お前本当に人間か?」

「だから、僕は死神だよ」

「あぁ、そうだったな」

「まあ、じゃあ打ってみるぞ」

「うん、頑張って」

「シャドーストライク」

フィリアがそう唱えた時、闇属性魔力で形成された巨大な腕が、目の前半径数十メートルの草原を殴り潰した。

「おぉ〜いい感じじゃない?」

「これは...」

フィリアは何故か驚いた顔をしている。

「どうしたの?威力足りない?」

「いやいや、足りすぎている」

「悪魔王時代でも、半径数メートルの大きさがやっとであったのに...」

「ま、まあ、強くなれたならいいんじゃない?」

「まあそうだが...」

「あの頃の私は驕っていたようだ」

「ヘルン、お前は本当に強いな」

そんなに見つめられながら言われたら照れてしまう...

「そ、そうかな」

「あぁ、私は大変驚いている」

「わ、分かったからぁ」


フィリアと共に家に帰ると、なんだか凄くいい香りがした。

「あ!おかえり!ヘルン、フィリア」

「お兄ちゃん、フィリアお姉ちゃん、おかえりー!」

「なにしてたの?」

「フィリアを改造してたんだ」

「おい、もう少し言い方は無いのか!」

「ところで、二人は何を作っているの?」

「夜ご飯はシチューにしようかなって」

「おぉ!いいね!」

「今更だが、ヘルンは死神なのに普通な飯を食べているのは何故だ?」

「え、あぁ」

少し迷った。

僕が元は人間だと言うこと。

まあ、隠す理由も無いか。

「僕、実は、元々人間なんだ」

「え?」

フィリアとハネストは目を丸くして驚いている。

ヘレナはそうでもないようだ。

「元人間で、そこまでの力を得たのか!?」

「ヘルンが元々私と同じ人間だったなんて」

「まあ、もう今は死神だし、人間だった時の記憶もそんなにないけどね」

「僕は小さい頃に病気で死んで、それを受け入れようとした時、師匠に死神にしてもらって、拾われたんだ」

「んん?人間を死神に?神王でもないのにか?」

「うん、師匠が言うには、僕に適性があったから楽だったらしい」

「にしてもそれは神業としか言えないが」

「まあ、死神だからね」

「ん?あ、あぁ」

「なんかごめん」

「ま、まあ、とりあえずご飯食べよ!」

「うん、シチュー楽しみだよ」

「私も食べたことがないな、楽しみだ」

程なくして、グツグツと煮える艶やかなシチューが入った鍋が食卓に置かれた。

みんなで一つの鍋を囲む...僕はもう、一人でご飯を食べることが出来ないかもしれない...

そう思うと、自然に涙が溢れてきた。


「いただきます」

次の投稿は、2025年9月28日予定です!(多分水曜日か木曜日あたりに1本あげます)

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