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駆逐

僕とヘレナが修行を始めてから数年が経った。

「お兄ちゃん、おはよう」

朝起きると、ヘレナがご飯を作って待ってくれていた。

ヘレナは大分成長し、僕との年齢にあまり差を感じられなくなった。

悪魔も死神も、零歳から十年程度で人間でいう十八歳から二十歳くらいまで成長し、そこで成長がほとんど止まり、数千年から数万年を生きる。

僕ももう少しで成長が止まるので、既に大分成長が遅くなっている。

ヘレナとの年齢差は六歳程度で、数年前はその差は見た目にも大きく響いたが、成長が遅くなった僕と急速な成長をしているヘレナとでは、あまり差が無いのだ。

「ヘレナ、今日は僕が魔法を見るよ」

「本当!?やった!」

「うん、そろそろ修行に区切りを付ける時期だしね」

「なにかあったの?」

「神王様から、悪魔軍の大進行の報告を受けたからね」

「倒しに行くの?」

「うん、死神は忙しいから」

「都合の合う僕が一人で請け負う事になった」

「一人で!?」

「相手は九万体程度だから、すぐ終わるよ」

「九万って...」

「ただ、上級悪魔も多数報告されているから、ヘレナは連れて行けない」

「嫌だ!私も行く!」

「僕は必ず帰ってくる」

「ヘレナは、もう安心して留守を頼める」

「でも、上級悪魔が居る所にヘレナを連れて行くのは、僕が怖いんだ」

「分かった、じゃあ、家は任せてね!」

「うん、任せるよ」

ご飯を食べ終わると、草原に出て、ヘレナの魔法を見始めた。

「まず、防御魔法を見せてくれる?」

「使える中で、一番硬いやつをお願い」

「じゃあ、上級防御魔法にする」

「おぉ、やってみて」

「ハイプロテクト」

ヘレナの周りに、魔力を数百倍に凝縮した魔法障壁が構築された。

速度も、硬さも、申し分ない。

「いいね、防御魔法は合格だ」

「いずれは、何層も重ねられるように頑張ろう」

「はーい!」

「じゃあ次は、一番威力が大きい攻撃魔法をやってみて」

「分かった!いくよ!」

「ヘルフレイム!」

ヘレナの手の前に、大きな炎が登った。

威力は僕のものには劣るが、発動スピードには才能を感じた。

「いい感じ」

「これなら、中級悪魔くらいなら余裕で倒せるんじゃないかな」

「じゃあ、ついて行ってもいい?」

「それは駄目だよ」

「ちぇー」

「家は任せたよ」

「うん、任せて!」


それから数日後、僕はバシレイアを発った。

次元世界を通じて、別世界への派遣となっていた。

そこの守護神は天使らしく、悪魔への対抗力が弱いため、僕が派遣されたのだ。

神王化条件の事もあるしね。

九万体、そう、数年前の悪魔の巣と合わせて、この進行を止めれば倒した悪魔の数が十万体を超える。

神王化条件の一つが達成されるのだ。

現場となる世界に着くと、既に何国かが滅びかけていた。

進行が早すぎる!天使は何をしているんだ!

その世界を飛び回っていると、悪魔軍を見つけた。

そこに、それに敵対しようとする勢力は居なかった。

天使は既にやられたのか!?

これは少し手強いかもな。

「ネメシス」

悪魔にしか効果を持たないようにしたネメシスは、九万の悪魔をたった一体を残して消し去った。

その残った悪魔は、こちらを見ると、笑いながら飛んできた。

「お前強いな!」

溌剌とした若い女性の見た目をしたその悪魔は、とても悪い人には見えなかった。

「神王とまでは行かずとも、神族の中で相当上の者だろう」

「あなたがこの世界の守護神を殺したのですか?」

「ん〜殺したと言われると違うかもしれないが、まあ、倒した」

「そうですか、なら、死んでもらいます」

「お、おい、ちょっと待てよ」

「俺達は、今回の進行で一人たりとも殺してないんだぞ」

「ほう?」

「全員眠らせただけだ」

「まあ、建物はちょっと壊しちゃったけど」

「で、何か要求でもあるんですか?」

「聞く気もありませんけど」

「要求と言われてもなぁ」

「悪魔王である俺に欲しいものなんて特にないしなぁ」

「暇つぶしかな」

「暇つぶしで人を殺すのは駄目だろ?だから、眠らせたんだ」

「悪魔王!?」

「え、あ、そうだが」

「悪魔王でもなければ、あの攻撃を耐えられるわけが無いだろう」

「それでも結構危なかったしな」

「あなたを殺す理由がまた増えました」

「なんだ?神王にでもなりたいのか?」

「はい、悪魔に殺された仲間を生き返らせたいのです」

「なるほどなぁ、なら、俺を殺すといい」

「え?」

「なんだ?俺を殺したいんだろ?」

「まあ、そうですが、良いんですか?」

「あぁ、世界を征服したり、神族と敵対したり、もう飽きたんだよなぁ」

「でも、一つだけ条件がある」

「なんですか?」

「お前の、最大火力の魔法で俺を葬ってくれないか」

「僕も一つだけ、聞いていいですか?」

「あぁ、いいぞ」

「あなたが今まで殺した人達は、あなたに敵対した人だけですか?」

「あぁ、もちろんそうだが」

「そうですか、お名前は?」

「フィリアだ、お前は?」

「ヘルフェンです」

「では」

僕の最大火力の魔法。複数体相手ならメネシスだが、単体相手ではメネシスではない。

悪魔王にとどめを刺すために開発した魔法。

神族固有魔法

「ジャッジメント」

目が潰れてしまいそうな程の神々しい光が、フィリアを覆った。

「おぉ!これは!」

「私を潔く滅ぼしてくれそうだ!」

フィリアが光とともに消えた時、僕は目眩と共に地上に倒れた。

どうやら、神王化が始まったようだ。

魂に干渉される感覚は、師匠と出会った時を思い出させた。

師匠...ハネストを生き返らせることが出来たら、会いに行こう。

怒られるかな。許してくれるかな。

あぁ、会いたいな。

意識が徐々に消えていく。

早くヘレナの所に帰らないと...

でも、少しだけ休もうかな。


次の投稿は、2025年9月21日18時の予定です!

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