表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/66

死神修行

「死神は基本的に、動物や人間、魔物などの生気を吸い取ることで、栄養を得る」

「そして、神王様の元で、天使と共に働いている」

「まあ、天使とはそんなに仲良くはないがな」

「条件は色々あるが、一般的に死神は、死にかけている生き物からしか生気を吸い取ってはいけない」

「そして、死神が生気を吸い取らない限り、生命が死に至ることは無い」

「つまり、死神が働かなければ、世界は一瞬で滅ぶ」

「これが、死神としての最低限の知識だな」

「なるほど...ちなみに、その、死にかけている生き物からしか生気を吸ってはいけないってやつを破るとどうなるんですか?」

「詳しくは神王様が決めるが、最悪、消される」

「ひぇぇ」

「はっはっ、まあ、相当なことをしない限り、そんなことにはならない」

「よかったぁ」

「ところで、ずっと気になってたんですけど、話し方最初と変わってません?」

「え!?あ、そ、それはだな」

師匠は急に頬を赤らめた。なんだか恥ずかしそうにしている。

「私は、死神の中でも結構上の方の階級でな...その、雰囲気を出すために、すこーしだけ話し方を変えているのだ...」

「師匠は師匠のままで十分素敵ですよ」

「な、何を言っている!と、とりあえず、訓練の話をするぞ!」

「あ、そうでした...まだその話が残っていましたね...」

「訓練と称されているが、実際は修行と言った方が近いだろう」

「なるほど?」

「最初にやるのは、魔力増強訓練だ」

おぉ!異世界っぽいの来たァァ!

「頑張ります!」

「ぶっちゃけ、これが一番きつい」

「え?」

「死神は、生気を魔力に変えて、仕事や戦闘を行う」

「つまり、魔力が無くなれば終わりだ」

「そのために、生気から魔力に変換する時の効率化や、魔力の蓄積上限の底上げ、魔力回復の習得などが、この魔力増強訓練の目的だ」

「それのどこがつらいんですか?」

「訓練の中には、魔力をギリギリまで使い果たす工程が何度もある」

「魔力を使い果たすということは、死神にとって瀕死を意味する」

「後、魔力が完全に無くなれば、回復するまで普通にぶっ倒れるから、気をつけろよ」

・・・え?

む、無理なんですけど...

「それ、絶対やらなきゃダメですか?」

「まあ、死にたくなければやった方が良いだろうな」

「う...頑張ります...」

「さ、では始めようか」

「どうしたらいいんですか?」

「まず、魔法を教える」

おぉ!魔法!

「よろしくお願いします!」

「どんな生物にも、必ず魔力がある」

「それは死神も同様だ」

「それを、外部に放出、または干渉させることで、魔法を使う」

「魔法を教えると言ったが、最初は、魔力を感じるところからだ」

「なるほど...」


で、なんで今僕は外で座らされているんだろう...

「あの、これ、何をしてるんですか?」

「魔力、と名前は仰々しいが、実は結構感覚的なものでな」

「簡単に言うと、心を無にしたら、いつの間にか感じられるようになる」

「なる、ほど」

とりあえず、ゆっくり目を瞑る。考え事を全て排除するように。心を暗く無にしていく。

すると、心の奥深くに柔い灯りが見えてきた。

もう少し強く見えるまで頑張ってみよう。

その灯りに意識を集中させると、少しずつそれは大きくなっていった。

おぉ!

「師匠、心の中に灯りが見えるのですが、これで合ってますか?」

「あ?え?灯りが見えたのか?」

「はい、違うんですかね...」

やっぱりこれじゃなかったのか、こんな簡単なはずないもんな。

「もう少し頑張りま」

「いや、それで合っている」

「え?」

「まさかこんなに早く習得するとはな」

「やはりお前は普通では無いようだ」

普通じゃない、か...あんまり嬉しくないな。

まあ、前向きに行こう。

「では早速、魔法訓練に入ろう」

「おぉ」

「先程感じた魔力を手に集中させてみろ」

先程?今もずっと感じてるけど...まあいいか

「わかりました!」

心の中にある淡い灯りを手に流していくように...

すると、僕の白い手が小さく光った。

体の力がどんどん削れていく。

これでいいのかな。

「すごいではないか、それが肉体強化だ」

「最終的には、それを常時発動出来るように訓練していく」

「え...」

「でも、魔力が切れたら倒れるんじゃ」

「だから、魔力回復効率を高めるのだ」

「それが肉体強化による魔力消耗に追いつけば、常時発動に耐えられる」

「なるほど...」

「だが、その前に、干渉系魔法も覚えてもらう」

「干渉系魔法?」

「その名の通り、自分以外のものに干渉する魔法だ」

「炎を出したり、物体を飛ばしたり出来る」

ついに来たァ!ファンタジーの中でも一番楽しそうなやつ!

「今から教えるのは初級魔法だから、お前ならすぐに習得出来るだろう」

「やることとしては、指先に火を灯してもらう」

おぉ、早速火か!

師匠は、人差し指をピンと立て、説明してくれた。

「まず指先に魔力を集中させるんだ」

「そして、その魔力を熱エネルギーと光エネルギーに変換する」

そういうと、師匠の指の先に小さな火が灯った。

・・・?

「わからないよな、まあとりあえず、魔力を燃やすイメージでやってみろ」

「わかりました...」

人差し指を立て、魔力を指先に集中させた。

明るく、熱く、明るく、熱く、明るく、熱く、...

意識を集中させるしんどさに耐えながら、そのイメージを練り続けた。

その時、急に、ボッと鈍い音がなり、周囲が暑くなった。

目を開けると、僕の指から、炎が立ち上っていた。

「やった!出来た!」

「おぉ、出来たじゃないか!」

「だが強すぎだ、もう少し抑えろ」

「はい...」

「ただ、もう疲れましたぁ...」

「あ、あぁ、そうだな」

「お前の成長が早くて、ついやらせすぎてしまった」

「今日はもう休もう、さ、中に入れ」

「ありがとうございました」

リビングの椅子に座ると、急に力が入らなくなり、ぐったりした。

あ、あれ、僕は強く生まれ変わったはずじゃ...

「死神にとって、魔力は使うことは体を使うより断然疲れるからな、それが普通だ」

「そうなんですね...」

しばらくすると、師匠がリビングに来て、机の上に器を置いた。そこには、病院食とは違う、誰かが自分の為だけに作った料理が入っていた。

「ほら、晩飯だ、普段あまり作らないからそんなに美味くは無いかもしれんが」

「って、何泣いてるんだ」

「こんな温かい料理、初めてで」

「冷や飯でも食っていたのか?」

「そういう意味じゃないですよ」

泣きながら笑うことを覚えたのは、師匠に引き取られてからだった。

「あれ、ところで、死神って普通のご飯食べられるんですか?」

スプーンを口に運びながら聞いた。

「食べられないことは無いが、摂取効率が絶望的に悪い」

「なら僕も、食べても意味ないのでは?」

「いや、お前は元は人間だから、普通くらいには栄養を取れる」

「便利ですね」

「まあ、それでも多少は効率が悪いがな」

「半人前のお前を仕事に行かせることも出来んし、仕方がない」

「僕は人とか動物とかの死ぬところなんて見たくないですし、恵まれた体質かもしれません」

恵まれた体質...こんなことを言う日が来るなんて

「死ぬところなんて見たくない、か...」

「なら、お前はどうやって生きていくつもりだ?」

「特に決めてないですけど、とにかく、前世の分まで楽しみたいです」

「まあそれは構わんが、神王様からお前の使命を伝えられていてな」

「使命?」

「今いるこの世界、バシレイアと呼ばれているのだが、この世界は、数多の世界の中で、最も神との繋がりが強いのだ」

「なるほど?」

「そして、この世界を将来守るのがお前の仕事って訳だ」

・・・え?ん?

「というと?」

「だから、お前は、この世界の守護神になるってことだ」

えぇぇぇ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ