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第七部 ニセコインパクト

「サッカー部に入れて下さいっす!」

 と懇願するのは、ニセコという少女だ。小柄で華奢な体躯に癖毛の眼鏡という、男子の股間に来る見た目の彼女だが、どうしてもサッカー部に入りたくて全裸土下座してしまう。その場にいた平、千両、佐々木くんなどの男子生徒は皆例外なくフル勃起してしまう。そしてその場にいたシノブ、サクマヒメ、ウラララ‼ など女子生徒は皆例外なくその汚物に冷たい目を向け、勃起力を加速させてしまう。

「まあ、別に良くね?」

「可愛いしな‼」

 了承する平とそれに力強く呼応する千両だが、シノブとしては少し看過しがたい。何というかこの二人は下心で歓迎しているように見えるのだ。一応平はシノブの彼氏であるため、彼の気が少しでも彼女に移ったと思うと、なかなか容認しがたい。

「うーん、じゃあ入部テスト」

「えー、別に良いじゃん」

「そうだぜシノブさん‼」

「平くんと千両くんは黙ってて‼ もしくは勝手にオナってて‼」

 平と千両は少し寂しくなり、二人で今週のブルーロックについて語り出す。ニセコは冷や汗が止まらない。尿も少し漏れてしまうほどに緊張している。いや、おもらしは宜しくないが、膀胱の暴行は自分の意思で止められない。馬狼と同じく制御不能のイレギュラーなのだ。


「ニセコちゃんはサッカー部の?」

「性奴隷‼」

「ニセコちゃんは牛尾中学校の?」

「性奴隷‼」

「ニセコちゃんは新潟の?」

「性奴隷‼」

「ようこそサッカー部へ‼」

 シノブはニセコの入部を認める。

「いや、シノブ、今のはおかしいだろ‼ ウーマンかよ‼」

「じゃあもう一回。シノブ様はサッカー部の?」

「神様‼」

「シノブ様は牛尾中学校の?」

「神様‼」

「シノブ様は新潟の?」

「神様‼」

「ほら!」

「ほら! じゃねえよ! ただ言わせてるだけじゃねえか!」

「もう服を着ていいですか?」

「駄目だ! 君はまず人間の尊厳を捨てろ!」

「は、はい!」

「捨てさせるなよ! 俺らは人間のまま仲間にしたいんだよ!」

「見くびってもらっては困ります、キャプテン!

 私はプライドをゲームのチップに出来る女、蛇喰偽子です!」

「賭ケグルイ⁉ 尚更入る部活間違えてる気が!」

「賭博部の許可が下りず」

「下りないだろうね! 令和ロマンになるぞ!」

「じゃあ私とキャプテンがコンビになればM-1獲れるのでは?」

「いや趣旨変わってるだろ! サッカーしたいんだろ⁉」

「はい! ブルーロックにハマりまして!」

「志望動機浅いなー!」

「トゥーガンボレー出来るようになりたいです!」

「多分アレは練習しても無理だと思うけどね」

「あとカイザーインパクトも!」

「どっちかにしなよ。そしてアレはカイザーが使うからカイザーインパクトなのであって、君が使うとニセコインパクトになるけどね」

 夢想家のニセコに平は呆れる。しかし、動機は何であれやる気は高い。まあ部活をやる理由など、漫画やアニメの影響で特に問題はない。スラムダンクの影響でバスケ部に、テニプリの影響でテニス部に入る奴も多かった。

「シノブ、入れてやろうぜ」

「うん、私はさっきからそう言ってるけど」

「ありがとうございます、キャプテン、副キャプテン!」

 こうしてニセコという少女はサッカー部に入り、まずは性奴隷として聖頑宮さんに師事するのだった。エロからしか人間は始まらないのだから。


牛尾中学校 生徒分布


3-A シノブ 千両 バカボンド B 羽葉堂 七瀬

2-A 平 聖頑宮 幻野 B サツマヒメ 枷 葉子

1-A サクマヒメ ウラララ‼ 佐々木 B 駄目太 ニセコ


牛尾中学校 サッカー部 フォーメーションA


LFW サカ神シノブ

RFW 平京崩

CLMF サクマヒメ

CRMF 青野葉子

LWMF 千両勘吉

RWMF 幻野大地

CLDF 佐々木貴志

CRDF 駄目駄目太

LWDF 羽葉堂綾乃

RWDF 七瀬虹子


GK1 春麗ウラララ‼

GK2 枷格子牢


控え サツマヒメ バカボンド ニセコ


牛尾中学校 サッカー部 フォーメーションB


CFW サツマヒメ

LFW サカ神シノブ

RFW 平京崩

CLMF サクマヒメ

CRMF 青野葉子

LWMF 千両勘吉

RWMF 幻野大地

CDF 佐々木貴志

LDF 羽葉堂綾乃

RDF 七瀬虹子


GK1 春麗ウラララ‼

GK2 枷格子牢


控え 駄目駄目太 バカボンド ニセコ


「戻りました、貴央先生」

「幻野くん⁉」

「ありがとう、ハーハラ」

 ハーハラは幻野くんを送り届けたら、夢の世界へ帰る。

「ムドー倒したのでしばらくはこちらに居れそうです」

「マジ⁉ じゃあ入れ入れ。丁度サクマヒメも来ているぞ!」

「ありがとうございます」

 貴央先生は家を買って良かったと、肩を撫で下ろす。これであわよくば幻野くんと

「いかんいかん、一応は教師と生徒なのだから」

 貴央先生はスパーキングしてしまう性欲を抑制する。駄洒落ではない。しかし、上手いことを言うと上手く行く。というジンクスが出来上がりつつあるのも事実だ。現に幻野くんは戻ってきたのだから。


「ではシノブ殿。ワシを抜いてみてくれ」

「はい」

 シノブはサツマヒメのズボンとパンツを下ろし、可愛らしいおちんちんを扱こうとするが

「いやいや、違う違う。ドリブルじゃよ」

「あ、そっちか」

 シノブはボールを持ち、少し離れてからドリブルを開始する。しかし

「甘い」

「あ」

 シノブのドリブルは簡単に取られてしまった。

「マジかよ」

 近くで見ていた平も驚きの声を上げる。シノブのドリブルを初見で防ぐなど、いくら選抜帰りの天才といえど可能なのか。改めてサツマヒメという男の凄さを思い知る。妹同様ギャグみたいな頭身なのに。

「私の、ドリブルが」

 シノブのショックは尋常ではない。彼女はドリブルの上手さこそがアイデンティティだったのだから。

「ああ、いや、取れたのには一応理屈がある。シノブ、お主のドリブルは感性に頼っている」

「感性?」

「ああ。つまり考えて動くのではなく、動いてから考えている。だから取りやすいんだ」

「つまり、考えてから動くべきだと?」

「うーん、それも違う。考えない方が良い場合もある。平殿、シノブ殿の相手をしてみてくれ。シノブはさっきのように、いつも通りに」

「は、はい」

 平は実はシノブとこういう勝負はあまりしたことがない。しかし、シノブのドリブルの癖、呼吸は何となく理解している。つまり、シノブの思考を読めば

 と思っていた平だが、簡単に抜かれてしまった。これは平が似合わず余計なことを考えてしまったからだろうか。

「な。平殿のような相手の場合はこれで正解なんだ」

「つまり、相手に合わせてスタイルを変える……?」

「まあそうだ。シノブ殿のいつものドリブルは電光石火といい、速さ特化のスタイル。もう一つは逆に考えて読み切って抜くという疾風迅雷。速さこそ電光石火に劣るが、格上相手にはこっちのが有効だ」

「つまり、平くんみたいな雑魚には電光石火、サツマヒメさんみたいな格上には疾風迅雷」

「おい、雑魚って」

「まあそういうことだな」

 シノブの不躾な言い方に傷つく平だが、今のサツマヒメの理論は一応理解できた。速さに拘ってきたシノブに、減速を覚えさせ確実性を増す。いや、二択攻撃により敵ディフェンスへの負荷を強める。これはある種、シノブにとっての奥義といえる、最強のスタイルなのではないだろうか。


「次に、平殿」

「は、はい!」

「君はタイラーインパクトというシュートが武器のようだが、さらに上の武器が欲しくないか?」

「上の武器?」

 何かめちゃくちゃワクワクする響きだ。つまり、銅の剣から鋼の剣にクラスチェンジするということだろう。

「最高と最高をぶつけるんだ」

「最高と最高?」

「足の最高点とボールの最高点だな」

「それってみんな普通にやっていることじゃないの?」

「いや、やっているようで出来ていない。というよりも偶発的に出来ることもあるが、それを意識的に引き起こすことが肝要なんだ」

「意識的……出来るんですか?」

「ああ。まあ見ていてくれ」

 サツマヒメはボールをPK地点より少し離れたところに置き、助走を付ける。そしてインパクトの瞬間

「殺魔砲‼」

 というやたら洒落た必殺技名と共に飛んだボールは黒い火花を纏いゴールに突き刺さる。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼

 かっけええええええええええええええええええええええ‼」

 平のテンションは爆上がる。隣で見ていたシノブも「すご」「やば」と漏らしていた。声を。尿をではない。尿は少しだけだ。

「平殿もタイラーインパクトをやってみてくれ」

「ああ!」

 平はタイラーインパクトを何度も繰り出し、その度にサツマヒメにアドバイスされていた。シノブは少し羨ましそうに眺めていたが、お前もドリブル教えてもらったのだから良いではないか、というとドリブル練習に戻る。


「電光石火‼ 疾風迅雷‼」

 シノブは完全に二種類のドリブルを物にしていた。そして平は

「殺魔インパクト‼」

 とタイラーインパクトに殺魔砲の概念を取り入れた新必殺技を会得していた。いや、そこの名前を弄るべきではないような気もするが。もうほぼサツマヒメのインパクトではないか。


「聖頑宮先輩、あの方は……?」

 ニセコが示した方にいた人物は、

「ああ、サツマヒメさんですよ」

「サツマヒメ先輩……‼」

 ニセコより小柄なのに、凄まじいシュートを放つ。何というか、物凄く

「憧れるなあ……‼」

 ニセコの胸は高鳴る。ニセコにもいつかあのような


「サツマヒメ先輩‼ 弟子にして下さい‼」

「ん? ニセコくんがワシに?」

「はい‼ 殺魔砲を伝授して下さい‼」

「殺魔砲か。恐らく君に教えても、ワシほどの威力は」

「分かってます‼ でも覚えたいんです‼ どうしても‼」

 ニセコは殺魔砲の虜になっていた。まあそりゃああんなロマン砲を目の当たりにしたら、自分も撃ちたくなるのが中学生心というものだ。

「いいよ。練習しよっか」

「はい‼」

 サツマヒメは優しく受け入れ、二人の秘密の特訓は始まる。


 ニセコはそもそもシュートの経験すらないため、まずは基礎的なシュート練習から始めることにした。

「いやあ、ニセコちゃんのシュート、可愛いねえ。サクマヒメに教えていた頃を思い出すよ」

「サクマヒメ先輩も、最初は」

「ああ、駄目駄目だった」

 ニセコの中のサクマヒメのイメージは、同じ一年なのに堂々としていてパスセンス抜群の完璧司令塔というイメージだった。しかし、彼女にも未熟な時期が、ニセコのような時期があったのか。

「当たり前だけど、みんな始めるまでは素人さ。俺は夢中でやってたら自然とここまで来たけどね」

 やはり、サツマヒメ先輩は天才だ。とニセコは改めて尊敬する。こんな素敵な先輩に指導して頂けるなんて、それだけでサッカー部に来て良かったと心から思う。


「亜殺魔砲‼」

 ニセコのシュートから黒い火花が出た。どうやら成功のようだ。

「成功だ。しかし」

「え?」

「今、『亜』を付けなかった?」

 ニセコは癖毛を掻きながら、

「はい、師匠の技名をそのまま拝借するのは気が引けて」

「成る程。『亜殺魔砲』か。良いじゃないか、ニセコ」

「はい! 本当にありがとうございました、師匠‼」

 二人は抱き締め合う。こうして短い師弟関係は完結した。いや、もしかしたらここから始まりなのかもしれない。しかし、ニセコもFW志望なのだろうか。さすがにFWが多すぎる気もするが。


牛尾中学校 生徒分布


3-A シノブ 千両 バカボンド B 羽葉堂 七瀬

2-A 平 聖頑宮 幻野 B サツマヒメ 枷 葉子

1-A サクマヒメ ウラララ‼ 佐々木 B 駄目太 ニセコ


牛尾中学校 サッカー部 フォーメーションA


LFW サカ神シノブ

RFW 平京崩

CLMF サクマヒメ

CRMF 青野葉子

LWMF 千両勘吉

RWMF 幻野大地

CLDF 佐々木貴志

CRDF 駄目駄目太

LWDF 羽葉堂綾乃

RWDF 七瀬虹子


GK1 春麗ウラララ‼

GK2 枷格子牢


控え サツマヒメ バカボンド ニセコ


牛尾中学校 サッカー部 フォーメーションB


CFW サツマヒメ

LFW サカ神シノブ

RFW 平京崩

CLMF サクマヒメ

CRMF 青野葉子

LWMF 千両勘吉

RWMF 幻野大地

CDF 佐々木貴志

LDF 羽葉堂綾乃

RDF 七瀬虹子


GK1 春麗ウラララ‼

GK2 枷格子牢


控え 駄目駄目太 バカボンド ニセコ


牛尾中学校 サッカー部 フォーメーションC


LFW サツマヒメ

RFW ニセコ

CLMF サクマヒメ

CRMF 青野葉子

LWMF 千両勘吉

RWMF 幻野大地

CLDF 佐々木貴志

CRDF 駄目駄目太

LWDF 羽葉堂綾乃

RWDF 七瀬虹子


GK1 春麗ウラララ‼

GK2 枷格子牢


控え サカ神シノブ 平京崩 バカボンド


 いや、フォーメーションCはさすがに博打が過ぎる気もするが、元々賭博部志望だった蛇喰偽子には相応しい起用方法かもしれない。さあ、賭ケグルイましょう‼

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