聖剣伝説
「凄まじい、これが全裸の剣という奴か‼」
全裸の剣なるものを手にした全裸の美少女は、感動で少しチビる。
「俺は究極の力を手にしたのだー‼」
全裸の美少女は全裸の剣片手に、両腕と両脚を広げる。その格好は変態そのものだ。
「勝てる、相手がどんな奴でも‼」
全裸の美少女は全裸の剣片手に駆け出した。その様は変態としか言いようがない。しかし、それを指摘する者はいない。皆股間を勃起させ、扱いているだけで指摘はしない。それはオナニーが気持ち良いから。という理由だけではなく、それこそが全裸の剣の特性なのだ。全裸の剣を手にした者には全裸権という全裸になっても問題ない、という権利が与えられるのだ。それゆえ、現実世界のように全裸だから逮捕、みたいなことはない。
「俺も全裸の剣欲しいなあ」
「なあ、最高だよなあ」
「しかし、アレを抜けるのは勇者だけだからなあ」
「そして、我々はその勇者で抜くと」
村人達が何やら上手いことを言う。いや、下手だ。下ネタなのだから。
「待たせたな」
「待ってましたよ、クッコロさん!」
全裸で腕を組むクッコロだが、コハンもそれを気にしない。
「あれが魔王フリーチンか。どれ、全裸の剣の試し斬りと行こうか」
戦闘力530000の化物を
「衣替え‼」
独特の技名で真っ二つにして見せた。フリーチンの衣服は真っ二つになり、全裸になってしまう。フリーチンは羞恥に顔を焼き、すぐさま退散していく。さすがに身体を真っ二つにするようなスプラッタは起こらない。まずはストリップからだ。上手い。
「ストリップを経ないとフィギュリップに至らんからなあ」
「深いなあ」
全く浅いがコハンくんには響いたようだ。フリーチンはふたなりおちんちんを振り回しながら退散していく。そして途中でこけて時間を稼ぐ。エロの化身のような大魔王だった。
「コハン、お前」
コハンくんのおちんちんが行儀よく起立していた。
「えへへ」
「可愛い奴だな、全く」
クッコロさんはコハンのおちんちんを軽く摩る。コハンくんは「あ、あ、あ」と「あ」しか発音できないいつも通りの状態に陥ってしまった。
「クッコロ、服頂戴」
フリーチンは恥を忍びクッコロさんに泣きついた。まあそれも致し方ない。何故ならフリーチンが走って行ったところには服屋などないのだから。先には海で、たまに亀や仙人が遊びに来るだけなのだから。フリーチンのような小娘など、そいつらにズリネタを提供する程度の存在でしかないのだ。
「良いだろう、格好良いのをプレゼントしてやる」
といい、Tシャツとジーンズを与えた。
「ださ」
「うっせ」
クッコロさんはフリーチンの唇を奪い、黙らせた。コハンくんは「あ、あ、あ」と猿族の超細胞を目覚めさせていくばかりだった。
「へへー、やっほー!」
「サン!」
「お父さん!」
謎の男の登場に、クッコロさんとコハンくんは喜ぶ。
「誰?」
「ドラゴンボール読んでないのか、貴様は‼」
「私、フリーレンとブルーロック以外疎くて」
「ジャンプへ行け‼」
「東大へ行け‼ みたいに言われても」
そう、ジャンプとは漫画界の東京大学なのだ。早稲田レベルのフリーチンには理解できない。
「でもま、そんなことはどうでもいいさ! さあ、みんなでセルティを倒しに行くぞ!」
コクウが出した雲に皆が乗っかり、セルティなるもの目指して突き進む。
「何だい、私と戦うって? アンタ達みたいな粗品が?」
人のことをいきなり粗品と蔑称するセルティだが、それは粗品さんにも悪くないだろうか。
「粗品さんを……馬鹿にするなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」
コハンくんがセルティに突っ込むが、
セルティはコハンくんの顔をおっぱいで包み込む。
「ふぐぐ!」
「可愛い子だねえ」
そしてコハンくんのパンちゃんを目覚めさせていく。
「コハああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああン‼」
「クッコロさあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああん‼」
呼び合う師弟だが、セルティの指捌きにより
コハンくんは逝かされてしまった。
「あ、あ、あ」といつもの状態に陥る。
「あちゃー、コハンの奴簡単な色仕掛けに引っかかっちまったなあ」
「仕方ない。コハンはまだ子供なんだ」
「よし、次はオラに行かせてくれよ」
「断る‼ 衣替え‼」
クッコロさんはコクウの意思を無視して、
全裸の剣をセルティ目掛けて振るう。
「涼しい風だねえ」
そう、セルティはまさに涼風のサービスシーンのように、
突如服を剥がれ全裸を曝し出す。
「な、何だい、これは⁉」
「ひゃー、えれええれえ」
「コハンの痛みは……こんなものじゃなかったぞ‼」
「喜んでた気がするけど、コハンくん」
「てかピッコロかキリトか統一しろ‼」
クッコロさんはコクウとフリーチンからツッコまれるが、
「す、すまん」と申し訳なさそうに顔を下げる。
「すまんじゃ済まないんだよ‼ この緑髪‼」
「緑を馬鹿にするなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」
クッコロさんは怒りで髪がオレンジに発光する。まさにオレンジクッコロだ。オレコロだ。オレオレコロコロペッパーズだ。どこかに逝っちゃいそうなほどにぶち切れるクッコロにチビるセルティだが、全裸のため服が濡れなくて良かったと安堵する。いや、良くはない気がするが。
「ブ( ゜д゜)ウム」
「これが……魔人ブ( ゜д゜)ウム‼」
「ブ( ゜д゜)ウムううううううううううううううううううううううううう‼」
ピンクのデブは高らかに咆哮する。クッコロやコハンはチビるが、これくらいでチビっていては始まらない。いや、終わらせるんだ。全裸の剣を。全て投げ捨てて。
「全斬り‼」
次元そのものを斬るその技を受け、魔人ブ( ゜д゜)ウムは真っ二つにされてしまった。これにより、クッコロの全裸の剣伝説は一旦の終焉を迎える。
「終わった」
「終わりましたね、クッコロさん」
「ああ、コハン」
クッコロさんはコハンと軽くキスを交わし、全裸の剣の全工程は完結を迎える。
「いや、こんな終わり方で良いの?」
「まあ良いじゃねえか、フリーチン」
「そうそう」
「葬送?」
セルティの同意に突っ掛かるフリーチンだが、コクウが何とか「まあ良いじゃねえか」と丸く収める。
「さっきの奴どっかで見たような」
「クッコロさん?」
「ああ、いや、気のせいだよな」
「?」
クッコロさんはコハンの顔を見て、何かもうどうでもよくなってきた。
「さあ、行こうみんな」
「おう‼」
彼らは光のような片割れに吸い込まれていく。不潔だよ。尻が臭いよ。嗅がれるほど。
「いや、姫様の肛門は臭くない‼」
クッコロ一行は姫様の肛門に吸い込まれ、現実世界へと帰っていく。逆門番ピエロだ。メルヘヴン世代なのだ。無限に広がっていけ。
「虎水! 虎水ギンタ!」
「は、はい!」
ギンタは飛び起きる。クラスメイトは爆笑し、幼馴染の小雪は嘆息する。
「夢か、今のは。これで152回目だ。同じ夢さ!」
ギンタは誰に説明しているのだろうか。大切な物を無くしたのだろうか。悲しみにただ心が涸れたのだろうか。君が誰かを傷つけたとして
「責めることはできねえよなあ」
一人きりで旅立つ君を
「遠く見守っているよ」