絶無の記憶中編
数日経ち田中と遊ぶ日が訪れた。
「いやー、神崎君と遊ぶのは久々だから楽しみだね」
「俺は記憶に無いんだがね」
「昔のことだから仕方がないよ」
「そちらの人は宮木さんでしたよね、これからよろしくお願いします」
「よろしくね」
「それより今日はどこで遊ぶんだ?田中」
「ああ、そうだったね、今日は駄菓子屋に行こうと思っているんだ」
「いいね」
「それじゃあ、行こうか」
そうっ言って田中は駄菓子屋に案内してくれた。
「こんなところに駄菓子屋があるなんて、初めて知ったよ」
「俺もだよ」
「ここ僕のお気に入りのお店なんだ」
「いい場所だね」
「そうだろう」
「確かにいい場所だな」
「気に入られたそうで嬉しいよ」
そう話しながら三人で駄菓子を買った。
一通り駄菓子を買うとベンチに座り、三人でしゃべり始めた。
「そういえば宮木さんには自己紹介していなかったね。改めて僕は田中悠人、新潟の長岡市の学校から転校してきたんだ」
「へぇー私のおじいちゃんの家も同じ長岡市にあるんだ」
「そうなんですか」
「懐かしいなー昔夏休みの間だけだったけど一緒に遊んでくれた子がいたんだ。あの時も楽しかったなぁ」
おれは田一瞬だったが、田中が狂気に満ちた目をしていた気がした。
「偶然ですね」
「そうだね」
「世は狭しと言うけど本当なのかもな」
「そうだったら、面白いね」
そうして三人で話していると気がついたら夕方になっていた。
「そろそろお開きにするか」
「そうだね」
「今日は誘ってくれてありがとな田中」
「いえいえ」
「じゃあな」
「また学校でね」
「そうですね、さようなら」
そうして田中と別れて瑠璃と歩いている時に俺は一つ質問をした。
「瑠璃」
「どうした?優斗」
「今日一日田中と遊んだけど見覚えある?」
「ないね」
「単なる人違いなんじゃない?」
「そうかー?」
「そう言うことにしたこ」
「ま、そうだな」
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次の日
「昨日は楽しかったよ、誘いに乗ってくれてありがとう」
「いやいや、こっちも楽しかったから、ありがとう」
「また今度遊ぼうよ、三人で」
「わかった、瑠璃にも声かけておくよ」
瑠璃という名前が出た時に田中からいつもと比にならないの恐怖を感じた。それと同時に俺はとても嫌な予感がした。
瑠璃を本当に誘っても大丈夫が悩み誘わないことにした。当日は風邪になったとでもいうことにしよう。