2.(浜菜視点)
「ここはあなたがたのいた世界とは違う世界、いわゆる異世界という場所のラペント王国という場所です。」
「は?」
私の名前は九島 浜菜。日本の高校生。みんなと一緒に帰ってたはずがいきなりこんなところにいて…あの子は今なんて言ったのだろう。『いせかい』って『異世界』だよね??いやいやそんなことあるわけないよね。ちゃんと聞いてみないとね。
「いきなり異世界と言われてもあなたの事を信用することは出来ません。何が目的なのですか?」
すると女の子がこう答えた。
「そうですね。いきなり信じては貰えないと思います。ですがこれを見れば信じていただけると思います。」
炎だった。私の知る常識だといきなり手の中から炎が出たりしない。じゃあほんとうに…
目の前に突きつけられた現実にもう何も考えられなくてただただ呆然としていた。
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「本日からこちらでお過ごしください。私共は常にこちらで待機しておりますので何かあればお申し付け下さい。侍女も待機させます。」
案内をしてくれた男の人について行くと…なんだここは。部屋広すぎじゃない?ベット大きいな。夕飯はいらないと伝えてから私はベットにダイブする。
「はぁ…夢……では無さそうだよね」
元の世界と思いたい景色の端に青い月を見つけて現実を突きつけられる。
「みんなどうするんだろう?」
例え元の世界に戻ったとしてももう家族にも友達にも会えないんだよね。お父さんにもお母さんにも弟にも師匠にも。私すごい親不孝者だよね。あぁこんなことになるならもっとありがとうって言えばよかった。こんなことになるなら授業中寝ないでちゃんと聞けばよかった。こんなことになるならもっと色んなところに行けばよかった。こんなことになるなら…
「………っ……ぁぁあ」
泣いた。なりふり構わず赤ん坊のように。
「ああああああああぁぁぁどうしてっ…どうしてっ……」
泣いたところで何か変わる訳でわない。そんなことはわかっていたのに泣き続けて、泣き続けて、泣き続けて、目が覚めた時には朝だった。
「………酷い顔」
いつも制服のポッケに入れている雪の結晶がモチーフの手鏡を見ながらそう呟いた。夜どうし泣き続けたから目元はパンパンに腫れてしまっている。
「別にどうでもいいけどね」
特に何かをするわけでもなくただただベットに入りぼーっとする。朝ごはんがどうたらって聞こえた気がするけど…いらない、そんなもの。ただ、何もしていないとどうしても考えてしまうわけで
「目が覚めたら全部夢なら良いのに…」
淡い期待をいだきながらまた眠りへと落ちていく。
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