5.お願いしました。
とりあえず、善は急げ。
うーん。どうやってビアンカを探そうかな。
公爵の力ってどうすれば使えるんだろう。
影とかは居そうだけど、どこにいるのかもどうすれば頼めるのかもわからないし。
――うん。回りくどいのはやめよう。
力がないなら力のある人に頼めばいいじゃない。
「お父様、お願いがあります」
食事を終えて、まったりとお茶を飲んでいた父にお願いポーズで声をかける。
「うん? なんだい? アリーのお願いごとなら何でも叶えて上げたいが」
デレっとしたお顔のお父様。お母様とお兄様はきょとんとこっちを見ている。
「私、探して欲しい人がいるのです。ネーヴェ男爵には、かけおちした妹さんがいませんでしたか?」
「ネーヴェ男爵の妹――ああ、クロエ様ね? 昔社交界でずいぶんと噂になったから覚えているわ」
お母様が小首をかしげる。
「クロエ様と仰るのですね。その方に、六歳になる、ビアンカという娘さんがいるのです。その子を探して欲しいんです」
「ふむ……。アリーはどこでその子の事を知ったんだい? 誰かに聞いたのかな?」
「……。ゆ。夢のお告げです!」
ぅっ。苦しい言い訳になってしまった。
でもここは押し通す。父は娘にデロ甘だと踏んだ。押し通せば押し切れる。多分。
「うーん、そうか。夢のお告げか……。アリーはその子を探してどうしたいんだい?」
「んー……」
いきなり養子に迎えてほしい、は無理かな? 無理だろうな。意味わかんないし。
今のビアンカは平民なんだよね? 平民の六歳の女の子を、いきなり公爵が連れて行ったら、貴族の横暴になっちゃいそうだし……。
よし。
「お友達に、なりたいんです。でも、私が貴族だって知ったらビアンカがびっくりしちゃうので、貴族なのは内緒にして、仲良くなりたいんです」
まずはお友達から。
いきなり貴族の令嬢が友達になりたいなんて言ったら、絶対警戒するだろう。特にあちらのご両親が。
まずは、ビアンカと仲良くなる。
そしてアイザックとビアンカを引き合わせる。
あわよくば、向こうの両親を懐柔して、ビアンカを引き取れるようにしたい。
可能性としては、ゲーム通りか、ざまぁ系に発展するか。
ゲーム通りなら、私が悪事を働かず、ビアンカと仲良くなれば、ストーリーが破綻するはず。なんせアウラリーサ、ラスボスだからね。
ざまぁ系なら、先に婚約解消目指します宣言すればいい。
向こうも転生した子なら、ざまぁ展開はごめんだろう。
ハーレム展開はざまぁになる可能性が高いからおすすめしないが、アイザックときゃっきゃうふふする分には応援するし。
何なら協力するのもやぶさかでない。
お父様は、何だか楽しそうに笑っている。
「ふーむ、そうか。お友達か。いいよ。お父様が必ず探してきてあげよう」
「わぁ! ありがとうございます!」
ぴょんと椅子から飛び降りて、お父様に駆け寄って、ぎゅぅっと抱き着く私。娘ちゃんサービス。
お父様はデレッデレで私を抱き返してくれた。
――チョロいな、父。
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