表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/109

47.ゲーム補正でしょうか?

 呆気に取られていると、低い、静かな声がした。


「無礼者。手を放せ」


 え?と思ってみていると、アイザックが冷たくシャーリィを見下ろし、両肩を掴んで、引っぺがした。目を丸くしているシャーリィを無視して、そのまま背を向ける。


「ビアンカ、アウラリーサ。大丈夫か?」

「え、ええ」「は……はい」


「行こう。昼食の時間が無くなる」


 アイザックは私とビアンカの間に入り、私達の背に手を回して歩き出す。

 ……なんだよー。ちゃんとやれば出来るんじゃん。

 チョロイン王子、成長したなぁ……。


「え、待ってください! 王子様、お昼食べに行くんでしょ? 私も――」


 しつけぇ――。

 仕方がない。


「――止まりなさい。アイザック第一王子殿下に許可も無く触れ、話しかけるなど不敬ですよ」


 私は扇を手に取ると、足を止め、シャーリィに牽制するように向ける。

 シャーリィはビクリと肩を揺らし、足を止めた。


「なっ……誰よ! あなたには関係ないでしょおっ!?」


「関係ありますわ。わたくしはアウラリーサ・ブランシェル。アイザック殿下の婚約者、ブランシェル公爵家の娘です。殿下をお守りするのも臣下の務め。これ以上無礼をなさるおつもりなら、バーシル男爵家に重々抗議させて頂きます。お下がりなさい」


「ひ……酷いわ! わたしが可愛いからって邪魔をするのね?! うわぁぁぁんっ!!」


 シャーリィは顔を覆うと回れ右をして走って行ってしまった。


 可愛いって……。

 自分で言っちゃうんだ?

 凄いな……。


 ため息をついて扇を仕舞う。


「申し訳御座いません。つい、口出しを」

「いや。しかし、何だあれ……。頭どうかしてるのかな」


 ビアンカを見ると、真っ青になって震えている。

 まぁ、気持ちはわかる。過去の自分を見ているような気分だろうしね。

 

 しかし。

 やっぱりあれはどう見てもざまぁ系ヒロイン。


 一体何が起こっているんだろう。


***


「お、おおおおおお姉様、ごめんなさい、私……あんなだったんですねっ! もう、もう、私、お庭に穴を掘ってきます! 穴掘って埋まります!!」


 うんうんうん。

 恥ずかしいよねー。自分見てる気分だったんだろうね。良かったね、矯正出来て……。

 よしよし、とビアンカの頭を撫でてやる。


「いや、ビアンカはあんなじゃなかっただろう?」

「いいえ。ビアンカも最初はあんなでした。つまり、殿下も良識をしっかりと学んでおられなければ、シャーリィにコロっと陥落されていたかと思います」

「あれにか!?」

「相手はビアンカだったかもしれませんが、状況は恐らく先ほどと同じであったと思います」

「ぅぅぅぅぅ……」


 顔を覆って縮こまっているビアンカ。

 まぁ、ゲームの中では、ビアンカが廊下で転んで、アイザックにぶつかり、それをアイザックが受け止めて、ビアンカが「ごめんなさい」って謝ると、アイザックの方から優しく声を掛けるのだけれど。

 多分当時のビアンカなら、あの子と同じようなセリフをぶちかましていた確信がある。


「何か手を打たなくてはなりませんね。このままだとあの子、殿下に付きまとってくると思いますよ」

「ひぇぇ……」

「殿下、側近候補はお決まりですか?」

「何人か候補はいるけれど」


 ゲーム通りなら、殿下の側近候補は同じクラスの辺境伯子息、ヴァルター・サグラモール、宰相子息、ユーヴィン・ストムバートの二人。


「わ……私、負けませんっ。お姉様、ユーヴィン・ストムバートは、Aクラスにいらっしゃいますの?」

「え? いいえ、居ないわ。Bクラスではないの?」

「いや? Bクラスにはいないぞ?」


 あれ?

 やっぱりゲームとちょっと変わってきているみたい。

 ユーヴィンは脱落か。


「殿下。隣国のヴァイゼ王子は如何でしょう? Aクラスにいらっしゃいませんでしたわ」

「ん? そういえば見ていないな。Bクラスにもいなかったぞ。ただ、彼はこっちでやることが色々あるから、留学するにしても、時期は遅れるのかもしれない」


 ふーむ。攻略対象の何人かは脱落したのかな?


「殿下。側近候補にヴァルター・サグラモールは入っておりますの? 彼はAクラスにおりましたわ」

「うん。候補には入っているな」


「とりあえず、早急に殿下の周りを固めた方が宜しいかと存じます。ご学友として親しくなさる分には自由でしょうから、お声を掛けてみられては?」


「そうだな……。明日、Aクラスに行くよ」

「殿下、私もご一緒致します!!」


「はい。畏まりました」


 今の殿下ならシャーリィには陥落しないだろうし、ヴァルター達には悪いけど、当て馬になって頂こう。あの子が逆ハー狙うなら、分散される分、殿下を守りやすくなる。


 これがゲーム補正ってやつなのか?

 回避出来たと思ったのに……。


 ガックリ。

いつもご拝読・いいね・ブクマ・評価・ご感想、ありがとうございますー!!

感謝感謝です!次は夜、20時くらいに投稿予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ