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15.重厚感が凄いです。

 夕食の後、すぐにお風呂に入れられて、凄く良い香りのする香油で磨かれた。

 もぉねー、リティの手ってば、めちゃくちゃ気持ちが良いんだよ。

 きゅーっと引き締めるみたいに手を滑らせると、全身ぽっかぽか。

 昨日眠れなかったのもあって、本の事なんて綺麗にすっぽぬけて、うとうと。いつの間にかマッサージ受けながら寝ちゃってたみたい。


 すっかり爆睡しちゃって、気づいたら朝。リティに起こされ目が覚める。


「おはようございます、お嬢様。今日はよくお休みだったようですね」

「おはよう、リティ。私お寝坊しちゃった?」

「いいえ、大丈夫で御座いますよ。でも、今日はお城に行きますでしょう? まずは湯浴みをいたしましょうね」

「あ、じゃ、ラジオ体操――」

「今日はお時間が御座いません」


 言い切る前にすぱーんっと切り捨てられた。

 ……くっ……。取り付く島もない…っ。


 いいもん。明日から頑張るもん。 …くすん。


***

その後は、めちゃくちゃ慌ただしかった。

 ゆっくり食事する暇もなく、薔薇の花びらが浮いたお風呂に入れられ、香油を塗られてマッサージされ、薄紫色のレースとリボンがいっぱいついた、ロリータファッションみたいなドレスに着替えさせられる。

 そしてドレッサーの前で髪を梳かして貰うんだけど、ちょ、リティ。何してる……?


「……ねぇリティ。それ、何してるの?」

「……? 髪を巻いております」

「……ねぇ……。それってもしかして、くるっくるの縦ロール?」

「はい、左様で御座います。しっかりと巻いて、二つに結って、大きなリボンをお着けになるのがお好きでしたから。とっても良くお似合いになるんですよ」

「やっぱり――――! 待って待って待って、良い、巻かないで!」

「え? でも」

「良いの、ほんとに巻かないで! 巻くならせめてゆるーく巻いて、ドリルはやめて!!」

「左様ですか……?」


 こら、そこ! 残念そうな顔しない!

 あっぶな――!!


 いや、可愛いのかもしれないけどさ、なんかもう、ドリルは抵抗あるんだよ……。

 それでなくてもドレスがパニエとレースとリボンで盛り盛りのぶりっぶりなんだからさ。

 そこにドリル頭にツインテールででかリボンなんて、主張激しすぎでしょうよ。

 何をアピールしたいんだ。

 王様に会うのにむしろ失礼にならんのか?

 ……お子様だから良いのか。


「ゆるく巻いて、サイドもゆるく編み込んで、ハーフアップが良いな! 派手にならないように、可愛くしてねっ」


 にこーっと笑ってお願いすると、俄然やる気が出たようだ。

 リティは目をキラキラさせて、お任せください、とぐっと拳を握りこんだ。


***


 リティの腕は流石です。めちゃくちゃ可愛くして貰いました。

 インスタとかに上げたら、バズりそうな可愛さです。


 丁度着替え終わったら、コンコンコンっとノックの音。

「アリー。準備は出来たかい?」

「お父様! はい、大丈夫です」

「アリー!」


 およ。お兄様もご一緒だった。

 今朝はお部屋で朝食を摂ったから、会えると何だかちょっと嬉しい。


「おはようございます、お父様、カシー兄様。カシー兄様もお城へ呼ばれているんですか?」

「僕は違うよ。アリーがお城に行くって聞いたから、馬車までエスコートしようと思って」


 流石ですお兄様――!!

 うちの兄、紳士! んもぉ、キュンキュンしちゃうよ!


「やれやれ、カシーにエスコートを取られたな」


 お父様がくすくすと笑う。

 いつの間にかお母様も来ていた。


「おはよう、アリー。まぁ、とっても可愛いわ。今日は髪を巻かなかったのね」

「あ……あはは……」


 うん、ドリルはね、ちょっとね……。


「さぁ、そろそろ時間に遅れてしまう。行こうか」

「お手をどうぞ、アリー」

「はい、お父様。有難うございます、カシー兄様」


***


 兄のエスコートで馬車へと乗り込む。


「それじゃ、行ってくるよ」

「行ってらっしゃい、あなた。アリー、お父様の言うことをよく聞くのよ?」

「はい、行ってまいります、お母様、お兄様」

「行ってらっしゃい!」


 お母様とお兄様に見送られ、馬車はガタゴト走り出す。


 お城か――。

 国王陛下の謁見は気が重いけど、お城は大分楽しみだ。

 こっちに来てから、街を見るのも初めて。せっかくだから、楽しんじゃおう。


 ブランシェル公爵邸があるのは、貴族街。

 高い樹木でお庭から屋敷の向こうは見えなかったけれど、屋敷を囲う高い柵の向こうには、大きなお屋敷がいくつも並んでいた。


 小説なんかだと、広いお庭がある屋敷から馬車で出ると、賑やかな街まではワープしちゃうから、どういう状況なのか分からなかったし、気にしたことも無かったけど、この世界では、通りに面した側にはお庭が無くて、道側から見えない方にお庭があるみたい。

 ブランシェル公爵家も、屋敷はコの字型になっていて、振り返って屋敷を見ると、見慣れたブルーグレイの屋根の屋敷は、窓が幾つも並ぶ、街中の高級デパートみたいな作りに見えた。


 面白ーい。

 こっち側はモロに街中って感じなのに、裏側に回ると、広い庭と木々に囲まれた、静かな景観なのが嘘みたいだ。

 多分道幅は片側二車線の道路くらいありそうなんだけど、綺麗な四角の石畳になっていて、凄く広く感じる。

 いかにも貴族の街並み! って感じだ。


「アリー、あっちを見てごらん」

「え? あ、うわぁ――!」


 反対側の窓にかじりついてて気づかなかった。

 反対側の窓の向こう、十字路で道が開けたとたん、白亜のお城が目に飛び込んできた。

 丘の上にあるのかな? 高い城壁に囲まれて、とがった屋根の塔みたいなのが幾つもそそり立っている。凄く綺麗なんだけど、歴史を感じさせる重厚感。まるで迫ってくるみたいな迫力。


 すっご――!!


 なんかこう、もっと煌びやか~~な感じかと思ったけど、ガチじゃん!

 いや、ガチなんだけど、ゲームの世界ってもっとこう、姫っぽいっていうか、可愛いっていうか、天使が舞ってそうなイメージかと思ったんだよ。

 私的には、こっちの方が好きかも。


 お城はゆっくり近づいてくる。胸がドキドキした。気持ちがピリリと引き締まる。


 厳めしい甲冑に身を包んだ、槍を持った騎士が直立する横を通り過ぎ、目の前いっぱいに広がる大きな門をくぐり、くねくねと伸びる坂を上っていく。

 そして、馬車はゆっくりと止まった。


 ついに、国王陛下との謁見だ。

更新遅くなりましたっ;

いつもご閲覧、いいね、評価、ブクマ、ほんっとーに有難うございますー!

誤字報告も、有難うございました!とっても助かります!


朝8:00、出社前にチェックしまして。んで、今23:00(ちょい前)と比較をしてみました。

ブクマ252件→397件

評価37人→53人

総合評価836pt→1272pt

いいね→68件→94件

PV数累計27,000→47,000

日刊総合ランキング98位→64位……64位ッ!?


はゎ――――!!

ぅわー、もう……ほんっと頑張ろう……(感涙っ) 感謝感謝ですっ!

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