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奴の正体は?

 ガゾラ城の作戦会議室とも言うべき「策略の間」でギデハ大公

挿絵(By みてみん)とガエーヌ夫人

挿絵(By みてみん)が玉座に座り、ギュンノ将軍とセラドル神官がギデハ大公らの前で跪き、少し遅れてワグル中尉が飛び込んで来た。


「ワグル、遅いぞ! ギデハ大公とガエーヌ夫人をお待たせするなど有り得ぬ」

「まあ、堅いこと言うな。ご馳走を食い過ぎて腹が苦しかったのだ」


 ガエーヌ夫人とセラドル神官は顔を歪め、ギュンノ将軍は更に苦言を呈しようとしたが、ギデハ大公がそれを止めた。


「もう良い。ワグルよ、パウマがなぜ死んだか知っておるか?」

「妖術使いともマントの戦士とも聞いておりますが」

「左様じゃ。セラドルよ、ワグルにも見せてやれ!」


 セラドル神官は「ワグルのために術を使わなくてはいけないのか!」と口を歪めつつ、テーブルの真ん中にカードを積んだ。


「フン!」


 セラドル神官の左手から竜巻が起きカードが舞った。


「キエエエッ!」


 セラドル神官が左手でX字を切ると、カードはワグル中尉の目の前で重なり、カード一枚ずつにアンドマンが写真の如く写し出されて次々とめくられる事で、動画のようにアンドマンを見るワグル中尉である。


「魔獣になったパウマがいとも簡単に倒されるとは」


 セラドル神官は息を切らして塞ぎこんだ。


「セラドル、お前はもう下がっていなさい」


 ガエーヌ夫人はセラドル神官に退室を促したが、彼はそれを拒んだ。


「お心遣い、感謝致します。ですがガエーヌ夫人、私とてギデハ大公の配下の一人」

「俺とてギデハ大公の配下だわい。その俺にマントの戦士のことを知らせぬのは貴様の私情がさせた事であろう!」

「口が過ぎるぞ!」

「ギュンノ将軍、あんたもあんただ! パウマを含めた四大幹部の一人である俺をないがしろにしやがって!」

「貴様!」

「あんたは四大幹部のリーダーを気取っているが、俺はあんたの家来じゃない」


 剣に手をかけようとしたギュンノ将軍をギデハ大公が諌めた。


「この城を血で汚す事は許さん! ワグルよ、見事マントの戦士を討ち取ってみるか?」

「そのお言葉、首を長くして待っておりました」


 ギデハ大公は「行け!」とばかりに、錫杖をワグル中尉に向けた。ワグル中尉は「必ずや!」と言い残し、ガゾラ城をあとにした。


「ギデハ大公、あやつに任せて大丈夫なのですか!」

「ギュンノよ、いつからそんなに偉くなったのだ?」


 ギュンノ将軍は冷や汗をたらし、ガエーヌ夫人をちらりと見た。


「あなた、今は仲間割れをしている時ではありません」

「仲間? わしの知らぬ間にパウマに魔獣の力を授けたお前が?」

「それは、わざわざお耳に入れる事でもないと」

「お前はいつもそうだ。勝手にギュンノやセラドルを城に入れおって」


 ガエーヌ夫人は何も言い返す事が出来なかった。


「まあ良い。言っておくが、ただの大飯食らいを雇っていると思うな」


 ギデハ大公は錫杖をギュンノ将軍の左肩に当て、ガエーヌ夫人を睨みつけて自室に戻っていった。


「ギュンノ将軍、もう少し言葉に気をつけよ」

「申し訳ございませんでした」

「黙っていても、そちの才能が語ってくれる。時を待て」


 ガエーヌ夫人はギュンノ将軍の左肩をさすり、セラドル神官に目を向けた。


「セラドル、部屋へ戻りなさい。私の命令です」

「恐縮です」


 セラドル神官は少しふらつきながら、部屋に戻っていった。


「ギュンノよ、私はそちを失いたくない。だからこそ、ギデハの前では余計な事を言うな」

「ガエーヌ夫人のためならば」


 ギュンノ将軍は深く頭を下げた。


「マントの戦士、セラドルの占いではこの世界のものではないと?」

「魔獣と化したパウマを倒せる者、策をたてなければ」

「ワグルには倒せぬと?」

「おそらく、パウマの二の舞になるのではないかと」


 ギュンノ将軍は、ギデハ大公の言葉を聞いてもワグル中尉を見下していた。


 部屋に戻ったギデハ大公は黒い蒸留酒をあおっていた。


「どいつもこいつも信用ならぬ!」


 グラスを投げつけようとするギデハ大公の手を握ったのはガエーヌ夫人である。


「御身体に触ります」

「どの口が言っておる?」

「ギュンノにはきつく言っておきました」


 ガエーヌ夫人はギデハ大公の手からグラスを離した。


「本来ならば、頭の切れるあなたがアナーク王国を治めるべきです。ですが、温厚なだけの兄上に国王継承権が与えられ」

「毒殺を進言した。否、させた」

「滅相もございません」


 ギデハ大公はガエーヌ夫人への不信感を打ち消そうと話題を変えた。


「マントの戦士をどう見る?」

「異なる世界から来たと言う事は、いずれこの世界から去ると言う事、勝機はあります」


 ギデハ大公はガエーヌ夫人がマントの戦士ことアンドマン攻略法をギュンノ将軍に委ねていると感じた。


「アナーク王国を焦土にすることは避けねばならぬ。あの肥沃な土地は我らを満たしてくれる」

「農作物はもちろん、ユフラらが気づいていない鉱脈も豊富にありますから」


 ガエーヌ夫人は酒を片付けてベッドに入った。


「少し風に当たってくる」


 ギデハ大公は「星見の塔」に向かった。

 

 



皆様、いつもご愛読いただきありがとうございます。


今回は、ギデハ一味の人間?関係を描きました。


どのキャラクターも一筋縄ではいかないくせ者揃い。


彼らはアンドマンの正体をつかめるのか?


そして、ワグル中尉の隠された能力とは?


それは次回以降のお楽しみにとして。


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