ガエーヌ夫人の執念
アンドマンはヤスケを駆り、ガゾラ城に向かっていた。
「ヤスケ、危ないと思ったら迷わず逃げろ」
ヤスケは小さく鼻息をもらした。
「来たな」
前方から騎馬隊が向かって来るのに気づき、アンドマンは彼等を出来るだけ傷つけずに済む策を考えた。
「飛ぶぞ!」
アンドマンは手綱を引いてヤスケの前脚を上げさせ、右脇腹を蹴って空中へと駆け上がらせた。
「出来るだけ槍とかだけを蹴り落とせ」
ヤスケは「ここは任せろ!」とばかりに身を揺らして、アンドマンを振り落とした。
「分かった! 騎馬隊はお前に任せる」
アンドマンはガゾラ城へと飛んでいった。
「アンドマンめ、騎馬隊は化け物馬に任せたか」
ガゾラ城の門の前でガエーヌ夫人は水晶玉を覗きこみ、アンドマンの行動を監視していたのだ。
「空を飛んでガゾラ城に入るつもりだろうが、そうはさせぬわ」
アンドマンの眼下に不気味な城があった。
「サティル博士の資料にあった城の絵と同じだ。あれがガゾラ城か」
アンドマンが高度を下げようとした時、全身に衝撃が走った。
「うわっ! この衝撃はザンタ?」
アンドマンはセラドル神官の式神達を探したが、地上にいたのは妖気を纏ったガエーヌ夫人だけであった。
「セラドル神官達はどうした?」
アンドマンはガエーヌ夫人の目の前に降り立った。
「さあて、とこにいるかな?」
「まあいい。ガエーヌ夫人、行くぞ!」
アンドマンは足元に冷気を感じた。
「その手には乗らんぞ!」
アンドマンはジャンプして足元が凍りつくのを避けたが、瞬く間に業火に包まれた。
「アチッ! グレアか?」
アンドマンはマントで風を起こして業火を吹き消した。
「式神達が姿を見せない? ようし!」
アンドマンはアンドクリスタルからガエーヌ夫人に向けて光線を発射した。
「ガエーヌ夫人! 我らが盾になります」
ガエーヌ夫人の前に姿を現したグレア、ゴルド、ザンタら式神達が光線を受け、カードとなって消滅した。
「馬鹿な奴らだ! 一人だけ盾になれば良いものを」
ガエーヌ夫人は燃えカスとなった式神達を踏みつけた。
「やはり、式神達を操っていたのはお前か」
「何故分かった?」
「セラドル神官の気配を感じなかったからだ」
アンドマンはアンドセンサーを動かしながら地上に降りた。
「ガエーヌ夫人、覚悟しろ!」
「たわけめ! 護衛がいないからと思って甘く見るでない!」
ガエーヌ夫人は呪文を称え、妖気を全身にまとった。
「キューン!」
「出たな! キツネ魔獣!」
ガエーヌ夫人は白い毛で覆われ眼は赤黒く、爪は長く鋭く伸び、更には九本の尻尾が触手のように動いている。
「魔獣などと呼ぶな。恐れ多くも太古の神の眷属である白狐一族の『血』が蘇ったのじゃ」
アンドマンは「長いわ!」と突っ込む代わりに、ブーツ底からガトリング砲を発射させた。
「キューン!」
ガエーヌ白狐
「これならどうだ? アンドキーック!」
アンドマンはジャンプして空中から両足にエネルギーを集中させて、ガエーヌ白狐にキックを浴びせたが簡単に跳ね返されてしまった。
「アンドマンよ、魔獣には通用しても神の眷属である私には通用せぬ!」
ガエーヌ白狐は尻尾四本を伸ばしてアンドマンの両手首と両足首に絡ませた。
「しまった!」
アンドマンは四本の尻尾によって宙づりとなり、更に尻尾の先で電流が走った。
「うわあああーっ!」
アンドマンは両手足を動かす事が出来ずにいた。
「うぐっ!」
アンドマンは右首筋に鋭い痛みを感じた。ガエーヌ白狐の左手がアンドマンの血で染まっていた。
「伸びるのは尻尾だけではない」
ガエーヌ白狐はアンドマンの血を舐めた。
「腕も伸びるのか? かっ、身体がしびれる。爪に毒が仕込まれ?」
アンドマンは身体に力が入らなくなり、アンドセンサーさえも地面に垂れてしまう。
「アンドマンよ、苦しみながら死んでゆくがよい」
アンドマンは何も答えなくなった。
「キューン!」
ガエーヌ白狐の尻尾四本が何者かによって切断されて、アンドマンの両手足に絡んでいた四本の尻尾が地面に落ちた。
「何だ? 地面から変なモノが二本生えているぞ」
ガエーヌ白狐は地面に生えているのがアンドセンサーであることに気づいた。
「ガエーヌ白狐、アンドセンサーを地中に入れて毒を排出させて、更にお前の尻尾を切断した」
「おのれ、またしても小賢しい術を」
「これがアンドマンの能力だ! シャイニングブレード!」
アンドマンはバックルを右手で触ると、瞬く間にシャイニングブレードに変形させた。
「行くぞ!」
アンドクリスタルが七色に輝き、アンドセンサーが金色になった。ガエーヌ白狐も又、両手の爪を更に伸ばして黒く染めた。
「この爪でお前の心臓をえぐり出してやる!」
ガエーヌ白狐は甲高い笑い声を残して姿を消した。
「そこだ!」
アンドマンはシャイニングブレードを左斜め後ろに突きつけた。ガエーヌ白狐の爪がアンドマンの右肩と左脇腹に当たっていたが、アンドスーツを貫く事は出来ずにいた。
「ギュンノ将軍が地獄で待っている。早く行ってやるんだな」
アンドマン、否桃馬は亡祖父が好きだった時代劇の主人公になりきっていた。
「馬鹿な、私はお前の心臓と引き換えにギデハから財宝を山ほどもらい」
シャイニングブレードがガエーヌ白狐の腹を貫き、妖気が放たれる様に刺されている箇所から火花が出ていた。
「面白おかしく生きてやるんだ」
アンドマンはシャイニングブレードを引き抜いた。
「ああ、金貨が降っている。誰にも渡さんぞ」
元の姿に戻ったガエーヌ夫人は天を仰ぎながら甲高い笑い声を出し、全身から火花を出して燃えカスと化した。
「まともに働くって事を知らなかったのかな」
そう言いつつもラクをして生きていきたいとも思う桃馬の心もあった。
「はっ!?」
アンドマンの周囲で次々と爆発が起こった。
いつもご愛読いただき、ありがとうございます。
窮地に陥りながらもガエーヌ夫人を倒したアンドマン。
いよいよガゾラ城へ突入かと思いきや、周囲で爆発が起きてアンドマンの運命や如何に?
さあ、今回もやります!
アンドマン・スペックその14
アンドブーツ・・・特殊ゴム製で天井や壁に立つことが可能。
ブーツ底からガトリング砲を発射。
ドリルの役割をして地中に潜る事も出来る。
高所からの落下のショックを吸収する。
次回もお楽しみに!




