アナーク王国の歴史
ハヌリーロ宮殿の学びの間に桃馬とサティル博士
サティル博士は先代国王の代から教育係を務め、ユフラ王女も彼の教え子の一人である。
「我がアナーク王国の始まりは千年前に遡る。元々はタプハと言う小国に過ぎず、隣国のブーガル帝国の脅威にさらされていた」
「何か古文書でも残っているのですか?」
「石碑に残っておる。じゃが、全てを解読出来ている訳ではないのじゃ」
「では口伝えですか?」
「亡き父から聞かされておる。わしも又、三人の息子に伝えておる」
「そんな大事な事を僕に聞かせて良いのですか?」
「王女様からの命令じゃ。トウマよ、そなたはアナーク王国の守護神じゃ」
「サティル博士、僕は違う世界から来た者です。いつ、アナーク王国を離れるか分かりません」
「千年前にも同じ事があった、と石碑に記されておる」
「アナーク王国にも年月と言う概念はあるのですね」
「千年前、異世界の戦士と共に戦った賢者アルザが暦を初め、この国の法、富の分配、教育等をお決めになられた」
桃馬は千年前に異世界から来た戦士が自分と関係あるのか、少し疑問を抱いたが確かめる方法が無いと思い、見知らぬ国の歴史をファンタジー小説を読むように楽しむ事にした。
「博士、ブーガル帝国は異世界の戦士によって全滅したのですか?」
「帝王ガルを倒し、魔神ブーガを封印したのじゃ」
桃馬は「封印」と聞いて首を傾げた。
「その後、異世界の戦士は?」
「戦いが終わるとすでに姿がなかった。アルザが残した記録には空からやってきて妙な術や技、武器でガル率いる魔獣団を次々と退治したとある」
「魔獣って、一体何なんですか?」
「ブーガル帝国の特別兵士がブーガによって変化したものじゃ」
「魔獣は元々は人間だったんですか?」
桃馬はある特撮ヒーロー作品を思い出した。
「帝王ガルは人間だったんですか?」
「トウマよ、人間が悪魔になることもある。そこにこだわっては戦士の務めは果たせぬぞ」
「罪を受け入れろ! って訳ですか?」
「覚悟じゃよ。そなたは選ばれたのじゃ、神なる者に」
桃馬は「ノブナガ様」であろう織田信長が天下統一のために比叡山を焼き討ちしたことを考えた。
「博士、パウマやワグルはブーガル帝国兵団の末裔ですか?」
「一概に言えない。山の数多の国々にも魔獣や妖怪などの類いが住むと言われておる」
桃馬は「さすがは異世界」とつぶやき、ユフラを初めとするアナーク王国を守る事に専念しようと思った。
「その石碑なんですが、博士以外に解読を試みた者はいるのですか?」
「ギデハ大公じゃ。わしの教え子でもあれ程の学問好きはおらん」
「学びを求め、諸国を旅したと王女様から聞きました」
「千年前の戦い以来、アナーク王国は穏やかに歴史を紡いできた。じゃが、他国に比べて文明が遅れていることは否めない」
「民は何も求めなかった?」
「幸い肥沃な土地に恵まれ、ブーガル帝国を滅ぼしたと言う事で、他国も我が国を攻めようとはしなかった。無論、万が一を考え最低限の備えは怠らなかったが」
「備えは王族が担っていたと?」
「アナーク王国の初代国王に仕えた兵団が子々孫々、その役目を果たしておる」
桃馬は「職業選択の自由って無いんだろうな」と呟いた。
「ギデハは他国と比べてアナーク王国が遅れていると感じ、文明を取り入れようとしたが先代国王、つまり実の兄に拒まれてしまった」
「文明は自然を汚す。人間を堕落させる。そう、先々代国王に教えられたのじゃ」
「帝王学として?」
「長子は生まれながらにして次期国王の地位が授けられる。無論、男児に限る」
「今まで女児だけだった事は?」
「今回が初めてじゃ」
「継承順位は?」
「ユフラ王女が一位じゃ。が、王女の身に万が一の事があったならば」
「ギデハが王位を?」
サティル博士はため息をついた。
桃馬はギデハ大公の人望の無さを痛感した。
「博士、血は重要なのですか?」
「血じゃと? 否、あくまで法じゃ。アルザが決めた法なのじゃ。長子を最優先に王位を決めろとな」
サティル博士は「本日はここまでだ」と分厚い本を抱えて自室に戻っていった。
「ギデハを倒さねば、王女様が危ないって事か」
桃馬は「魔神ブーガの封印」が気になって仕方なかった。
いつもご愛読いただき、ありがとうございます。
前回から投稿が空いてしまい、申し訳ありません。
(毎回、同じ事を書いているような?)
さて、魔神ブーガは邪石ブーガと何か関係があるのか?
桃馬はユフラやアナーク王国の人々を守りきり、ギデハ一味を倒すことができるのか?
さあ、今回もやります!
アンドマン・スペックその6
アンドラング・・・水中や宇宙では酸素を永久に循環できる。二酸化炭素はドライアイスにして、冷凍弾=アンドブリザードとして使用可。
本作以外にも、
良寛さんにはなれない
阪下駅のおにぎり屋
先輩を高杉クンと呼んだ夏
をお読みいただけたら幸いです。
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次回もお楽しみに!




