密会
ガゾラ城の武器庫にギュンノ将軍の姿があった。
「どの武器もマントの戦士には通用せぬのか?」
ギュンノ将軍は槍を取って片手で振り回してみた。
「違う! これじゃない」
ギュンノ将軍は槍から斧へと持ち替えようとしたが、武器庫の外に気配を感じ、槍を扉に向けた。
「入れ!」
武器庫に入ってきたのはガゾラ城を警護する衛兵である。
「気配まで化けるとは、恐れ入りました」
ギュンノ将軍は槍を元の場所へ戻し、衛兵に一礼した。
「こうでもしなければ、そなたとゆっくり話も出来ぬではないか」
衛兵は右手で顔を覆うと姿をパッと変えた。
「ガエーヌ夫人、むやみに術を使ってはなりませぬ」
「使わぬと、腕が鈍るからのう。オホホ!」
「心配御無用! アンドマンなどこの私めが切り捨ててご覧に入れまする」
「簡単に言うではないか。ワグルが二度も追い詰めたにも関わらず、最後はアンドマンの妙な術で敗れた事、セラドルの術でその様子を見たギデハがかなり傷心しておったわ」
ギュンノ将軍はワグル中尉がアンドマンを二度も追い詰めた事に焦りを感じていた。
「単なる大食い男かと馬鹿にしていたが、鉄を操る術を持っていたとは」
「しかも、魔獣になっても人間の心を保ち続けていた。パウマとはえらい違いじゃ」
「私は魔獣などにはなりませんぞ」
「分かっておる。そなたを化け物なぞにはせぬ」
ガエーヌ夫人は左手で顔を覆うと、衛兵の姿になった。
「では失礼致します。ギュンノ将軍」
衛兵に化けたガエーヌ夫人は一礼して武器庫をあとにした。
「ふう、ガエーヌ夫人もヒヤヒヤさせるな」
ギュンノ将軍はガエーヌ夫人との密会をギデハ大公に知られやしないかと不安で仕方なかった。
ガゾラ城内の墓地に供養塔がある。そこにはパウマ隊長やワグル中尉を初めとする戦死したギデハ一味の御魂が祀られているのだ。
その供養塔の前でセラドル神官が供養の呪文を唱えていた。
「そのまま供養を続けよ」
ギデハ大公は自分の気配を感じたセラドル神官にそう告げると、彼の左斜め後ろで跪き目を閉じてワグル中尉らの御魂に祈りを捧げた。
「終わりました」
セラドル神官はギデハ大公の前で跪き頭を下げた。
「そちの供養でワグルらの御魂も少しは慰められていよう」
ギデハ大公は左手をセラドル神官に差し出し、呪文を唱え波動を出した。
「その呪文は?」
セラドル神官は震えながらギデハ大公の左手に両手を下から添えた。
「受け取れ!」
セラドル神官は両手に重みとただならぬ妖気を感じた。
「こ、これは?」
「そちに授ける。見事、ワグルらの御魂を鎮めてみよ」
ギデハ大公は自室へと戻った。
セラドル神官は両手に紫と黒の格子模様が入った箱があることに気づいた。
「ギデハ大公は正気なのか? 国一つを滅ぼしかねない力を秘めた『邪石ブーガ』をなぜ私に?」
セラドル神官は恐る恐る箱を開けた。
「うわっ! この妖気は?」
箱からの光がセラドル神官を包み、その瞳を紫色に変えた。
「フフフ! 此奴が今度の依り代か」
セラドル神官に乗り移った何かが彼の深層意識に入り込むと、その瞳が元に戻った。
「はっ! 急いでギュンノ将軍の元へ行かねば」
セラドル神官はギュンノ将軍の部屋へと向かった。
いつもご愛読いただきありがとうございます。
また、前回からの投稿から空いてしまい、大変申し訳ありません。
打倒アンドマンで様々な思惑が交錯する中、ワグル中尉の仇を打たんとするギデハ大公は、セラドル神官に「邪石ブーガ」を授けます。
邪石ブーガに潜みセラドル神官を乗っ取ったのは一体何者か?
さあ、今回もやります。
アンドマン・スペックその5
アンドボーン・・・鉄同様の強度とアルミニウム並みの質量で、骨折しても即座に復元する。
骨髄液が全てのエネルギー源。
次回もお楽しみに!




