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鉄の一団、宮殿にせまる

 ハヌリーロ宮殿ではヤスケが単独で戻って来たことで、桃馬に何かあったと思うユフラを中心に兵士が武装して鉄の一団との決戦を覚悟していた。


「よいか! あの鉄の人形共を操る者がいるはずじゃ!」

「王女様は数人の兵士と共に捜索に当たって下さい。我等は鉄の一団をなんとかします」

「民を一箇所に集め、警護せよ! 皆の者、配置につけ!」


 ユフラは弓矢を取って馬小屋に向かった。


「スファニア、共に戦ってくれ」


 王族専用馬のスファニアは「もちろん!」とばかりに鼻息を荒くした。


「行こう」


 ユフラはスファニアに跨がり、宮殿の門へ向かった。


 ハヌリーロ宮殿の前にユフラが率いるアナーク王国の兵団が鉄の一団を待ち構えていた。


「王女様、何か聞こえませぬか?」


 宮殿に向かって鉄の一団がまたも毛皮で身を包み、音程を外しながらも演奏しながら行進してきた。


「性懲りも無く、ふざけた真似をしおって」

「あれは、我が国に代々伝わる鎮魂歌(レクイエム)。どうしてあやつらが知っているのか?」


 鉄の一団の先頭で指揮棒を握り、両手を奇妙に動かしていた者が一団の歩みと演奏を止めた。


「ユフラ王女、大人しくギデハ大公に王位を譲られよ」

「その声は、ワグル中尉?」


 先頭で指揮を取っていたワグル中尉は毛皮を投げ捨てた。


「覚えておられたか?」

「ギデハが外遊中にお前を勝手に国の兵士として雇い、亡き父先代国王に叱責されていたのをな」

「お言葉に気をつけよ」


 ワグル中尉が鉄の一団にユフラらを襲わせようとした時、ギターの音色が彼等の耳に入ってきた。


「だ、誰だ? (鉄の)人形共には演奏をやめさせているのに」


 一団の後ろから毛皮をまとい、ギターのような弦楽器を弾きながらワグル中尉の元へ歩み寄る者が一人。弦を爪弾いているのは人間の指である。


「ワグル中尉、ようやく顔を拝めた」

「その声は?」


 ギターを置き、毛皮をワグル中尉に投げつけたのは、


「トウマ?」

「馬鹿な、鉄の頭から逃れる術など?」


 ユフラは一瞬だけ口元をゆるめたが、すぐに表情を引き締めた。


「王女様、宮殿の守りを固めてください」

「分かった。そちもすぐに宮殿に戻れ」


 桃馬はうなずくと同時にメガネを外し、ユフラは兵士と共に宮殿へ向かった。


「グラスオフ!」


 アンドマンは左右に割れた鉄の頭部をワグル中尉に投げつけた。


「どうしてだ? その姿でなければ鉄の頭を外せないはず?」

「確かに、変身しなければ最大限の能力を発揮出来ない。だが、桃馬の姿でも身体を細胞単位で分解させて鉄の頭から脱する事は可能なんだ!」


 ワグル中尉は「細胞」と言う言葉を理解出来なかった。


「ワグル中尉、お前も細胞を透明化出来る事は分かっているぞ」

「何だと?」

「お前は宮殿での宴の子牛の丸焼きの肉の焦げた匂いの事を言っていた。匂いのみならず子牛の丸焼きの事まで知っていると言う事、お前があの宴の場にいた何よりの証拠だ!」


 ワグル中尉は指揮棒を振り下ろして地面に叩きつけると姿を消し、鉄の一団にアンドマンを襲わせた。


「宮殿へは一歩も入らせないぞ!」


 アンドマンはジャンプして鉄の一団をかわし、空中で額のアンドクリスタルからある場所へ光線を発射した。


「見破られたか」


 光線が当たった場所に現れたのは、全長約5メートルの錆色のカメレオンの魔獣

挿絵(By みてみん)である。


「ワグル中尉、それがお前の正体か?」

「そうだ、この姿になると鉄の一団が強力になるのだ」


 魔獣になると言語を話せなくなる者と話せる者の違いに興味を持つアンドマンである。


「行けー!」


 ワグル魔獣は鉄の一団に身体を分解させ、アンドマンをがんじがらめにした。


「アンドスクリュー!」


 アンドマンは空中で身体を高速回転させ、その遠心力で鉄の一団を振り払った。


「おのれ!」


 ワグル魔獣は舌を伸ばして空中にいるアンドマンの左足首に巻き付けた。


「しまった!」

 

 アンドマンは瞬く間にワグル魔獣に飲み込まれてしまった。ワグル魔獣は腹をさすった。


「グフフッ! マントの戦士を食ってやったぞ。俺の胃の中で骨まで溶かしてやる」


 鉄の一団がワグル魔獣の腹にまとわりついてきた。


「何をする? マントの戦士は俺の胃の中で、ウエッ!」


 ワグル魔獣の腹部から無数の光が出て、鉄の一団を次々と消滅させた。


「ワグル中尉、鉄の一団に僕の息の根を止めさせようとしたのが仇になったな」

「まだ生きていたのか?」

「アンドマンの能力を見くびるな!」


 ワグル魔獣の腹部が裂け、強い光と共にマントに包まれたアンドマンが飛び出してきた。


「馬鹿な、そのマントで俺の胃液から身を守っていたというのか?」


 人間の姿に戻ったワグル中尉は腹部から大量の血を流しながらも、アンドマンに歩み寄っていた。


「マントの戦士、いやアンドマンよ。俺の負けだ」


 ワグル中尉は歩みを止め両膝をついた。


「ギデハ大公に栄光あれ!」


 ワグル中尉は前のめりになって爆発四散した。


「ワグル中尉、恐ろしい相手だった」


 アンドマンは宮殿へと飛んでいった。


「アンドマン、無事だったか」

「王女様こそ、お怪我は?」

「大事無い。ヤスケが私を警護してくれたお陰で、他の兵士は宮殿警護に専念出来た」


 ヤスケは「エヘン!」と言わんばかりに鼻息を荒くした。


「ヤスケ、よくやってくれた」


 桃馬の姿に戻り、ヤスケの首元を優しくなでた。


「トウマ、大変な目にあったそうだな?」

「御心配をおかけしました」

「まずは湯に入れ。疲れを癒やし身を浄めるがよい」


 桃馬はワグル魔獣の胃液にまみれ、異臭を放っていることに気づいた。


「ご、御無礼致しました! すぐに湯に浸かってきます」

「ゼルバ、すぐに湯殿の仕度をせよ!」

「かしこまりました! トウマ殿、すぐに用意致します故、こちらへ」


 桃馬はゼルバにかしこまられて何とも申し訳ない気分になりつつ、ユフラの好意を受け取っておいた方が良いと判断し、堂々と湯殿に向かったのである。



 


 

 


 


 


 

 


 

いつもご愛読いただきありがとうございます。


前回から間が空いてしまい、大変申し訳ありません。


アンドマン、いや桃馬はどれだけの能力を秘めているんでしょうか?


遺伝子の活性化って何でも有りなんですかね?


あっ、巨大化は出来ないんでした!


今回は、桃馬のプロフィールを少し紹介します。


氏名:安土桃馬(アヅチトウマ)


年令:27歳


職業:フォークリフト運転士


趣味:特撮ヒーロー作品の動画鑑賞(亡き父の影響で1970年代前半の作品が特に好き)


特技:似顔絵を書くこと(特徴を捉えていると評判)


家族構成:妻と実母、飼い猫との三人+一匹


では、次回もお楽しみに!



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