1.入学式
私には姉がいるらしい。
らしい、というのは私には姉の記憶が全くないからだ。
私の自己紹介をするとどこにでもいる極々普通の女子高生!、と言いたいところだが残念ながら高校生には今日なる、ん?今日なるなら女子高生で良いのか?まぁいっか!
そうそう、姉の話だったね~、家に両親と女の子2人写ってる写真が物心ついた時にはもう飾ってあって、片方はあ~これ私だな~っていうのは分かったんだけどもう片方の子は見たことがなくて。
ほら、子供って純粋じゃん?今も子供だけど。
その頃超超超純粋な私は親にこの子だれって聞いちゃったんだよね~、言いにくそうに私のお姉ちゃんだよ~って教えてくれたのに空気読めない私はどこにいるのって聞いちゃったんだ。
その質問には答えてくれなくて、だから今私の姉だっていう人がどうなってるか知らない。
でも、子供にはわからないだろうみたいな感じでマウントとってくる大人ってどこにでもいるじゃん?そのうちの1人が昔この辺りで誘拐事件があって、気を付けないとねって話を私のこと見ながら言ってたから多分誘拐されたのかなって思ってる。ほんと、無神経な大人がいるものだよね~。
私はあんな大人にはなりたくないな~。
そんなわけで私は1人っ子みたいなもん、正直姉の事は覚えてないし悲しいとか思えない。
私にとって大好きなお父さんとお母さんがいて友達もいて、何不自由ない生活して幸せ者だなって思ってる。人によってはこれを幸せボケーとかって言うのかもしれないけど、いいじゃん幸せボケ。
ある人にとってはちっちゃい事でも私にとっては幸せな事だって事で!人生楽しまなきゃ損だし?
それにせっかく今日から高校生になるんだもん、テンションあげなきゃね。
「アイナー、まだー?早く出ないと入学式から学校遅刻しちゃうー!!やめてよねー、私はとっくに準備終わってるのにアイナのせいで遅刻とか!」
親友の大声が聞こえてきてすっかり待たせてた事を思い出した。
「ごめーん、今行く!」
初日から遅刻とかあるあるの展開とかいらないから!と思いつつ慌てて髪の毛を雑に結んで部屋を出た。