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命日がわかればいいのに(仮想現実)
終焉が近づいている。
冬弓の人生。
昔みた「リボンの騎士」の
アニメの終わりに
かかるラッパの音楽を
憶えている人はいるだろうか。
子供だったけど、
冬弓はあの音楽を聞くたびに、
ハッピーエンドで
あろうがなかろうが、
人生の終焉を感じた。
人生が終わるときは
こんな荘大なラッパ音が
流れるんだろうな、と。
18のとき、電車から奈良の盆地に
沈む夕焼けを見たときも
同じ音が流れた。
あれは冬弓自信の終焉ではなく、
過去生の終焉が、
奈良の田舎だったのだろうと、
若いなりに痛感した。
そして今、ラッパ音が
鳴り続けている。
彼と楽しく過ごしている
ときでさえ、聞こえてくる。
冬弓は、命日を知りたい。
20XX年に亡くなりますよ、ではなく、
たとえば、9/5が命日ですよ、と。
そしたら、その日にむかって
一年間、全力で生きられる。
もし、その年でなければ、
もう一年、踏ん張ることができる。
逆に20XX年だけ知らされると、
その年のいつ最期の日に
なるのかわからなくて
すっきりしない。
あのラッパ音が聴ける日は、
きっと誕生日と同じくらい
おめでたいな。