第八話「外の世界」
雪白翼視点
回想
僕は芸術家から生まれた人形
子供なんて作らなければよかったじゃない、座っているだけで嬉しがる。僕を見る目はいつも芸術作品としてなんだ。
感情を持つ物は汚いだとか何も持たない方が美しいだとか。置物のように扱われてきた。学校も数回ほどしか行ったことがない。沢山の人が集まって何かをしている場所だ。
長時間座ることにも慣れた。僕の友達は人形。この頃はうさぎの人形と仲がいい。
外の人達と話したことがない。
どうやって話しかけるのかも知らない。いつも人形が僕の練習に付き合ってくれるんだ。
これで合っているのかな
写真を撮るお仕事をやることになった。モデルという今までやってきたことと同じようなものだった。
自己紹介と言われても何を言えばわからなかった。
陰由良杏里くんが話しかけてくれた。最初は作り笑いで誤魔化していて楽しくなさそうだった。
でも時間が経つにつれて沢山外の世界を教えてくれた。沢山笑顔で話してくれた。
杏里くんは優しい。優しい人間もいるんだって教えてくれた。なんだか空っぽだった僕に少しだけ光が見えた気がした。
よくわからないけどお仕事がたくさんこの頃入る。人気になったんだって。
美波聖羅くん?が僕を応援してくれているらしい…、手紙とか沢山くれる。なんで僕なんかを応援しているのかよく分からないけど嬉しかった。
中学生になった。けど学校にはあまり行けない。杏里くんと同じ学校らしいけどお仕事でしか会えなかった。
時が経てば外出の許可が降りた。
杏里くんが小学生の時の勉強を教えてくれるって言っていたから少しの時間だけど沢山杏里くんの家に行って算数とか国語、色々教えてもらった。
心が満たされる気がした
杏里君みたいに僕も誰かを助けられる人になりたい。そう思った。
私立光ヶ丘学院に入学することになった。アイドルになれるらしい。興味はなかった。教育もまともにしていないのにアイドルなんてやらせるものじゃない。
そう思った。でもお母さんとお父さんは嬉しそうにしていた。誰かが満足なら僕はそれでいいと思った。それに杏里くんも一緒の学校だ。
沢山勉強を教えてもらったけどみんなについていけない。それでも杏里は勉強を教えてくれた。この頃は僕も話ができるようになってきた。これが本当の僕なんだって杏里は教えてくれた。
月日が経ち一人暮らしをするようになった。親には散々反対された。どうして変わってしまったのか、絶望していたけど杏里がよくしていた無視をして僕は籠の外に出た。光に満ち溢れた心地の良い瞬間だった。
外に出たのはいいものの、教育不足の僕がわかることなどなにもなかった。自分の無力さを初めて痛感した。
そんな僕を見て、杏里も一人暮らしをするようになり同じアパートを借りるようになった。部屋は違うけど心配そうによく僕の部屋に訪れる。
まだまだ人形が居ないと寂しいなんて子供だなって思うけど今になっては贅沢な言葉で。
一人はとっても暗くて寂しいものだ。
この頃は今宵美影って奴に振り回されてばかり。1番だかなんだかよく知らないけどこんなに目がキラキラした人間なんて見たことがなかった。嫌だけど美影とも同じアパートに住んでいたことがわかった。内心嬉しかったのかも。
3人で遊ぶことが多くなってまだまだ知らないことを2人が教えてくれる。
親とは縁を切ったものだと思っていたがしっかりと毎月のように親から仕送りをもらう。今更もういいのにね。
実家を出てから生きていると実感することがある。生きている、そう思えることが俺にとって1番いい事なんじゃないのかな。今度は俺がみんなを助ける番。杏里がしてくれたことを何倍にして返さないと俺が嫌だ。
絶対にみんなで笑顔になろう____
「初めまして。俺の名前は雪白翼。よろしくね」
俺はちゃんと変われていますか




