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私立光ヶ丘学院  作者: ひがしゆ
1章
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第五話「夢」

鶴北響視点


⚠️少し暴力的な場面があります

いつものように何気ない一日を過ごしていた。

前に校庭にいた橙色の髪の色をした男の子がいるかもしれない



校庭に向かおうとすると急に行く手を阻まれる。腕を捕まれ人気のない階段の踊り場に連れられる。



なんで



なんで僕ばっかり。これで何度目だろう


一発一人の男に腹を殴られた。抵抗しようとしたが僕は心の底では諦めていたのかもしれない。何も力が入らなかった。

邪魔者なのも知っている。周りの空気を悪くしていることも知っている。


僕はみんなが欲しがる金の力だけで夢いっぱいのアイドルになれるんだ。




もういっそこのまま死んだ方が




髪を引っ張られ男たちに次々こう言われた



「楽な道に進んで楽しいですかぁ?」



見下された気分だ。教師にも見下され俺と変わらない底辺な奴らにも見下される。また殴られそうになったのだがその拳は俺に向けられることがなかった。誰かがこんな僕を助けてくれたらしい。



二人…?いや三人…。赤い髪の毛の男の子が拳でその生徒を殴る。意外とあいつらが弱かったのかもしれない。僕が弱いだけなのかも。すぐにあいつらは逃げていった。


見覚えがある二人、一人はないが座り込んでいた僕の手を引っ張ってくれた。


「ありがとう…」


「大丈夫かよ。立てるか?」


お礼をいえば赤い髪の男の子が心配そうに優しく言ってくれた。なんでこんなに優しくされているのかも分からない。けど金目当てでこの男の子は助けてくれたようには見えなかった。


あとの二人は確か…



陰由良杏里くんと雪白翼くん


2人ともキッズモデルで活動していて僕の兄さんと仲良くしてくれた後輩の子達だ。この子達も"ここ"に入学したんだ。


赤髪の男の子がここじゃまずいからと手を引いて庭のある場所に連れてってくれた。なんでこんな僕を助けてくれるのか不思議だった。


初めて金目当てじゃなく僕自身を見てくれる人を見つけた。



「落ち着いた?悪いな。アイツらは友達か?…俺まずいことしてたらなんか言ってな。名前は?…あぁ、俺の名前は今宵美影。」



「美影くん…あと杏里くんに翼くん、助けてくれてありがとう。僕は鶴北響。なにか恩返しが出来たらいいんだけどあいにく僕には何もなくって…」


今宵美影くんかぁ。とっても凛としてる。正義のヒーローみたいだな。


「俺の名前は知ってるらしいけど…どこかであったかな?人の名前と顔を覚えるのが苦手で…、まぁよろしくね。」



杏里くんは僕のことが嫌いなんだよね。知ってる。だから知らないように言ってくる。何度も何度も自己紹介から。実際は何回も会ってるんだけどね。毎日毎日この子の笑顔は作り物。僕と同じで楽しくなさそう。演技が上手なんだ。何が本物で何が偽物なのか、僕でも時々わからない時がある。



「雪白翼…よろしく」



雪白翼くんは話すことが苦手で杏里くんが傍で見守ってくれている。親の手でいつまでも転がされてる可哀想な壊れたドールだって父さんが言ってた。この子は一人で生きていけるのかな。直ぐに死んじゃいそう




僕の親は会った人の色んなことを知ってて子供の僕にだって届いてしまう。純粋な目で君たちが見たかった。



「ありがとう。よろしくね」



美影くんはこれを機に沢山話しかけてくれるようになった。この子は僕が特待生なのを知らない。だからなんで殴られていたのかだって知らない。君にとって僕はとっても最悪な人間なんだ。


またひとつ苦しいものが増えた。



もう春は過ぎているのに雲雀のさえずりがとても良く聞こえた。春を告げる鳥だって言われているのに。



迎えに来てくれたのかな




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