第十話「ALIVE」
陰由良杏里視点
何故こいつのユニットに俺が…?
俺がお前を嫌っていることはお前自身知っているはずなのに何故誘う?
絶対に無理
どうせ選ばれたっていっても親の力で…だろ。そんなの知ってんだよ。
鶴北家との出来事を思い出してしまう自分を殴った。
響に校庭に集まるよう言われ集まったがユニットの話だった。
作り笑いで俺はやらないと言った。親の血が入っているこいつを信用出来なかったのかもしれない。
次の日はモデルの仕事で学校を休んだ。今じゃ新人しかいない。顔覚えのない連中ばかりだ。
帰ると外は暗くなっていた。
課題を済ませ夕食を作りに翼の部屋へ行く。いつもの日常だ。
夕食を食べている時響が誘ったユニットの話になった。
「響が誘ってくれたユニットに入ろうと思うんだけど…」
恐る恐る言う彼に、何故前まで俺がいなければ何も出来なかったこいつが前に進もうとしているのか、内心置いていかれた感じがした。
前に進もうとしているなら俺はやめろとは言わない。
「別にいいと思うけど。できるの?」
あの中で上手くやっていけるのか心配だった。
「杏里がいれば怖くないかなぁ…とか」
下手くそ。…というか無理やり俺を入れようとしている。
翼が俺を追い抜くことは絶対になってはならないと思っていた。そんな気持ちが強かったから
「いいよ別に。臨時だろどうせ」
誘いに乗ってしまった。
「ほんと!?美影に伝えてこよっかな」
嬉しそうだった。
なぜ俺が入って嬉しがるのか。
いくら美影が同じアパートに住んでいるとしてもこの時間じゃ馬鹿は寝ているだろう。翼を引き止めた。
次の日、ユニットに入ると3人に報告すればとても嬉しそうだった。なぜ雲雀も嬉しそうなのかわからなかった。
「ありがとう杏里くん!」
なぜ響も嬉しそうなのか…企みも何もない本当の笑顔。
なんだか申し訳なかった。
構成、衣装、曲、ダンスの話になった。毎日毎日楽しそうにみんなで話して俺も楽しかったのかも。雲雀とも仲良くなったし、美影の事も徐々にわかってきた。翼も日に日に笑顔が増していく。
これが幸せなんだ。
たくさん話した。まだまだ日はあるのに話し足りなかった。
陰由良杏里率いる臨時ユニット
名前は…
ALIVE




