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岬鷺宮「陰キャになりたい陽乃森さん Step2」(電撃文庫)感想

18 陰キャになりたい陽乃森さん Step2

(岬鷺宮/2018年1月/電撃文庫)


 【前作「Step1」については過去記事を御参照ください。

設定やキャラの詳しい紹介はそちらへ譲ります。】


 発売日(1/10)に購入。

 前作が面白かったので楽しみに待っていました。


 本書は、東京駅構内の小さな書店にも数冊置かれていました。

 ラノベコーナー自体、わずかしかないのに。うれしかった。


 感想を一言で述べれば、買ってよかったです。

 続編を更に読みたい感じ。


 今回は、陰キャ女子二名が、陽キャ目指して頑張る話。

 まさしく前回の逆ですね。

 変われそうで変われなかったり、変わり過ぎて本人も周囲も

戸惑ったり。引き続き、物語はにぎやかに展開していきます。


 もっとも、大満足とまではいかず。

 それも含めて、以下、本書を読んだ詳しい感想を。


・前作は何回も声を立てて笑ったが、今作はゼロ回。

ギャグが滑り気味。狙い過ぎというかマニアック過ぎ

というか。

 私が大好きな某不良漫画もネタに出てきて、大変

うれしかったのですが(笑)、今の現役高校生が

御存じとは到底思えませぬ(苦笑)。


・ヒロイン陽乃森ひのもりのキャラが若干ブレてるような

気がする。

 例えば、物語冒頭にて、自分のスカートをつまみ上げて

主人公の鹿家野かげのを誘惑する場面があるのですが、

品がなく、陽乃森らしからぬ行動かなと。セレブなお嬢様

なのだし。

 陽乃森本人は余り意識していないのに、服装や言動を

男目線で見るとドキッとさせられる、というラインが

よかったんですけどね(それはそれで今作にも出てきますが)。


 ただ、一方では、鹿家野の関心がほかの少女へ向いて

いる時、強引に自分へ意識を向けさせようとするシーンが

あり(鹿家野が飲食中の物を、突然向かいの席から取る

など)、これはとてもかわいくてよかったです。

 こういうのをもっと増やしてほしかったなと思います。


・登場人物が多過ぎて十分に描き分けられていない。

美少女総勢六名が、狭い場所(別荘)へ一堂に会するのは

やはり少々無理があったかと。

 今作では、陽乃森の「陽キャ女友達」二名も本格的に

物語へ絡むのですが、特にこの二人が私の頭の中で

うまく区別できず。思い浮かべにくかった。

 これは、過去作の「踊り場姫コンチェルト」にも

見られた弱点。今回も出てしまったようで残念。


 あとですね。

 ここまで来ると、さすがに鹿家野が恵まれ過ぎでしょと。

 美少女六人とお泊まり会、って……。もはや、陰キャとか

あんまり関係ないじゃんと。やや、当初のテーマから

ずれていってる気がしてなりません。

 そりゃ読んでる分には楽しいけれど、別にこういうものを

読みたくて二冊も読んできたわけじゃないんだぜと。


・「陰キャ部」の女子二名が、それぞれ別の道を歩んで

いったのは素晴らしかった。

 片や華やかに変身し。片や趣味を究め。


 後者の女の子は、砂浜で「あること」をし大勢の度肝を

抜きます。陽キャの面々も、これにはただただ圧倒される

ばかり。痛快でした。ちゃんと伏線も張られていたし。

 ここは、もう少し掘り下げてページ数を費やしても

よかったのでは。

 立派に、準クライマックスとして通用した場面です。


・そして、クライマックス。前作は終盤が少々盛り上がり

に欠けたけれど、今作は大丈夫。

 鹿家野が根性を見せます。仕事帰りに通勤電車にて読んだ

私は、「よしっ!」と、心の中で拳を握り締めていました。

 仕事の疲れもあったにせよ、涙ぐみそうになりました。


 巧みに回想シーンを挟んで感動へつなげる手法は、

過去作「僕らが明日に踏み出す方法」にもありました。

 もう、まさにあれです。


 前作の感想を書いた時、私は、「僕らが明日に踏み出す方法」

と同じ作者が書いたとは思えないと述べましたが(ギャグが

すごいので)、今作ではっきりしました。

 ああ、やはりこれは紛れもなく、岬鷺宮先生の作品なのだなと。

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