迷い。
「うーん。えー。あー。うー。」
さっきから小1時間、僕はこうして唸っている。
「黙れ。不快。帰れ。」
横から友達の冷ややかな言葉を浴びせられる。
今日は大学の講義が3限からなので
友達の家でこうして時間までくつろいでいるのだが
なにしろ僕は家に来て以来ずっと唸っているのだ
それはさぞかし不快だろう。
「しゃーないやんかー。この子がこんなこと言うてく
るんやからぁ。そら困るで。まぁ見せへんけどな。」
『好きなのに』
どういうことだろう。そんなはずない。
それとも信じていいのだろうか。
本当に好きなのかな。俺のこと。
「どうやらこの子は俺のことを困らせたいらしい。」
「お前は俺を怒らせたいらしい。」
横で友達が愚痴をこぼす。もちろん無視する。
こっちはそれどころじゃない。返信のメッセージで
今後の人生が大きく左右されるのだから。
当たり障りのない文にするか。
付き合う方向にしてしまうか。
知らないふりをしてしまうか。
なんだかどれもパッとしない。
『僕も君が好きだ。』
うん。これが一番しっくりくる。
なにも隠す必要なんてない。自分の気持ちを
そのまま言葉に表す。単純だ。
『君よりもね』
一言付け足しておいてあげた。
「お前ひねくれてやがんな。笑」
いつの間にか友達が覗いてきていた。