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無能探偵とミルトンの仮面怪盗  作者: しまむら
3/3

エピローグ

 昨日の探偵たちが大方はけたあと、ケイはグラディス・ベンフィールドと二人きりで指揮長室に居た。

「今回の経緯はだいたい提出書類で分かった。見事な働きだった」

 グラディス総指揮は今回の経緯が書かれているであろうケイの書類に、握りこぶしほどもある大層な印を押す。

「しかし今でも分からないのだ。なぜホンプキンはああまでして病を隠そうとしていたのか……」

「それについては目が覚めた息子さんに直接聞いてみたらどうですかね」

 グラディス総指揮の印を押した書類を受け取り、ケイは上着の中から縦長に折りたたまれた紙をもう一枚広げた。

「あぁ、それと任意でこちらの書類にもサインをお願いしているのですけど」

「見せてみたまえ」

 いつから書き溜めたのか、著名人たちの印が添えられたサインが列挙していた。この用紙はおそらくその一部だろう。

「これは……。こんなものをあつめて戦争でも起こすつもりかね」

 その内容は、ケイゼル・クラークという男を全面的に信用し、自分の信頼と権限を

 一時譲渡するというものだった。

「いいえ、ただこれにサインをいただければ私は一度だけ、この町に公園をひとつ作ることも、ミルトン隊舎の捕縛隊全員に自害を命ずることもできます。……ただそんなことは望んでいません。どうしても助けたい女性がいるのです」

 権限を譲渡するということはそういうことだ。グラディス総指揮はその重大さに息を呑む。

「詳しく聞かせてくれないか」

 その言葉にケイは嫌がるでもなくどこか困った表情を見せる。

「シャルロット・ランバートをご存知ですか?」

 一瞬眉をひそめるがグラディス総指揮は記憶を探り当てた。

「歴史に残る殺人鬼の妻だ。彼女自身にも幇助の罪があったはずだ。まてよ……ランバート、もしや……!」

 グラディス総指揮はフィオの名を覚えていたようだ。

「ええ、フィオナ・ランバートは彼女の連れ子です。助けたいというのはまさにそのシャルロット・ランバートです」

 ケイは珍しく感情的になり、目の前の机を鳴らした。

「彼女は! ……私の手違いで有罪になった、無罪の女性なのです」

 グラディス総指揮はその絶望にどう接したらいいかわからないようで視線を床へとはずす。その上、シャルロット・ランバートが冤罪だったということが本当であれば帝国に汚名がつく大問題だ。彼は冤罪のその可能性を思考し、ふと気づく。

「シャルロット・ランバートは確か元国家探偵…………まさか内偵か」

 ケイはゆっくりと頷いた。

「シャルロットは連続殺人の証拠をそろえるべくウィリアム・ロジャースに内偵をしていましたが、未熟な探偵は彼女が無罪だという証拠を欠く段階で彼女ごと捕らえるしかありませんでした……」

 ケイは自らの過ちを悔いるように言い切った。

「君が多くの権利を求める理由は分かった。しかし、しかしどうするというのだ、彼女は……」

 グラディス総指揮はそれ以上ケイの顔を見てられないというようで立ち上がり、窓の外を見上げた。

「――――彼女はすでに、処刑されたではないか」

 ケイは机の上におかれた契約用紙を広げなおす。

「たとえ死んでいても、法の上では彼女を罪から解放することは可能なはずです。その際に多くの援護が必要なのです」

 可能は可能だろうが、ただそれには帝国の顔に泥を塗る覚悟が必要だ。この書類に判を押していない有権者たちは全力で彼の行いを阻止するだろう。 

 グラディス総指揮は椅子に座りなおすと、判を握った。

「最後まで策士であったな。秘密裏に行動してもらった立場上……そして一人の父親として、協力せざるを得ん」

 印を確認し、それが乾くまでケイは紙を軽く振るう。

「ただ気をつけろケイゼル・クラーク。その計画が明るみに出れば全国のならず者、いや国王までもがその書類を狙うだろう」

 その気迫はさすがと言うしかない。ケイは緊張を新たにその書類を上着の中へとしまう。代わりにあの歴史館から借りた手帳を取り出すと、「これを返しておいてください」と苦笑いした。




「それでは失礼します」

 ケイが大勢の使用人たちに見送られグラディス総指揮の屋敷を出たところに、フィオが笑顔で待っていた。

「ケイは大荷物をもって行くわりに仕事の話は早く終わりますねぇ」

 ケイにあわせフィオも歩み始める

「まぁ書類には大人の事情というものが詰まっていますからね。それよりも……」

 フィオはニコニコと気持ちの悪いくらいの笑みを浮かべながら、ケイの少しうしろをついてくる。通りにはまだ出店が残っている箇所もあり、ところどころからいい匂いを漂わせていた。

「三階から突き落とされたにしては機嫌がいいですね」

「いえ、あれは私が悪い所もありましたから」

 フィオは得意げに指を立てて続ける。

「それに結局エリカのことを庇ってくれたので、いよいよケイに人間の心が芽生えたのかと思いまして」

 その言葉を聞いてケイは帽子のつばを引いた。

「あぁ、彼女は貴女には話さなかったのですね」

「何がです?」

 フィオはケイの顔を覗き込むが、帽子の陰になったその表情はいつにもまして読み取れない。

「今回の爆弾騒ぎ……彼女の仕業だったと言うことは既にグラディス総指揮に伝わってますよ」

 ふとフィオの歩みが止まる。

「……へ? どういうことです? まさか奇跡的におとがめなしとか」

「そんなわけないじゃないですか。テロリスト扱いですよ」

 ケイはそんなフィオを無視して歩みを進める。汽車の時間にも余裕があるのに、その姿は何からか逃げているようでもあった。

「……それを黙って見てたということですか! このままだとエリカは……」

 そこで初めてケイは歩みを止め、振り返る。

「当然処刑されます」

 彼らにも大義名分というものがある。これは事情を知っていて求められるようなものでもない。

「私今から文句を言ってきます!」

 きびすを返すフィオを屋台から沸いてでた巨躯がせき止める。

「止めとけって。嬢ちゃんの話じゃ俺並に相手にされねぇよ」

 ガルト・ラブロックは負傷していないほうの片手に数本ものイカ焼きを抱えて、その一本を頬張る。

「心無いケイだけじゃなく、貴方までいてどうして……」

 ガルトは視線を落とすとケイと同じ方向に歩みを進め始めた。

「わりぃな嬢ちゃん。俺も同罪だ、自白を覆すには俺の頭が……少しばかり足りなかったんだ」

 悪態と共にイカ焼きの串をバリッと噛み砕いた。

「エリカ・ハートソン本人ですら逃れる意思は無い。俺らにできることは一秒でも早くあいつが目を覚ますことを祈るだけだ」

 ホンプキン・ベンフィールドは街で一番有能な医者が観ているが、未だに昏睡している。予想以上に危ない状態なのかもしれない。ただ彼ならグラディス総指揮にも並ぶ権力を持っている。

 フィオは黙って二人の歩みに従った。

「所でこれからお前どうするんだ」

 ガルトは残りのイカ焼きを頬張るとその串をくず籠へと放る。

「エリカに頼んでいた荷物を受け取りにいきます。そういえばこれの開け方はまだ彼女に伝えていないですが仲介料はまけてくれるんですかね」

 ケイは銀時計を取り出すとそれを軽く手のひらで遊ぶ。ケイの口添えがあるといえどエリカは今頃尋問を受けているころだろう。この時計は磨き職人の元へ置いて帰る事になりそうだ。

「……前そんなみみっちい約束してたのか! まさか無償で引き受ける訳ねぇとは思ったが」

 そのやり取りにフィオが駆け寄り、時計を不思議そうに眺める。

「これは一体何なのです?」

 何の功労者でも無いガルトがフィオに向けてこれでもかというくらい得意げな顔をする。

「この時計の謎を解明した結果な、ホンプキンとエリカは兄妹だということが分かったんだ」

 フィオは鼻で笑いながら、

「知ってますよ。エリカはホンプキンがハートソン家に来た日のことを長々と語ってくれました。七年も一緒に暮らせば兄妹みたいなものです」

 そのリアクションにガルトは少しばかしテンションを下げるが、ケイは例の時計を開けると、ただならぬ様子でフィオを問い詰めた。

「フィオ、これをみてください」

 ケイのその勢いにおびえながらフィオは時計の裏蓋にはめ込まれた、小さな写真を凝視する。

「おいおい、いくら自分の謎解きが無駄になったからってだな……」

 あきれるガルトに違いますよとケイは言う。

「この写真にはすでにホンプキンが写っています。こんない幼い日の記憶がそんなに鮮明に残りますか……?」

 それに先ほど七年とフィオは言った。グラディス総指揮の養子になった三年間を除いても辻褄が合わないが、そこはフィオの言い間違いかもしれない。ケイは次の反応を待っていたがフィオは予想外の部分に食いついた。

「…………エリカの母親は彼女が生まれたときに死んだと聞きました」

 ガルトがパチンと指を打ち鳴らす。

「な、ならこれはホンプキンの母親だな! おそらく元からこの家族は仲がよかったんだ、それで後々彼女の身に不幸があれば辻褄はあうだろう」

 いいえ、とフィオの体が震える。

「……これはエリカの母親で間違いないです。私、エリカに写真を見せてもらったので分かります……!」

 エリカからか社会からか、隠す事情があった母親の存在。初代怪盗の失踪と共に、孤児としてエリカの家に来たホンプキン。そしてこの時計は怪盗の所持していたものと、とてもよく似た時計。

 ケイは薄笑いと共に時計を納めた。

「…………蛙の子は蛙と言う事でしたか」

 ボソリと呟くその言葉が理解できず、フィオとガルトは共に首をかしげる。

「これのあけ方はなるべく黙っておいてください。私も解けなかったということでおとなしく仲介料を払います」

 ケイはそれいじょう二人の為に解説してやる気などさらさら無いようで、彼らに背を向け歩み始める。

「そうかそうか。どうせ途中まで一緒なんだ道中色々聞かせてもらうぜ」

 ガルトはケイを追うと逃がさないぞと言わんばかりに無理やり肩を組んだ。

「それはどうでしょうか」

 ケイの目線の先にドレス姿で待ち構えていたのはあの貴族探偵、アネット・エンライトだった。しかしどうにも様子がおかしく、小用を我慢しているかのようにもじもじとしている。

「あ、あのっ」

 ガルトはそれをなるべく無視しようと通りかかるが、案の定呼び止められた。彼女とは面倒な約束事があったがケイの一人勝ちだったはずだ。

「……マジか。まだなんか言うことあるのかよ」

 半ばやけくそでガルトは彼女を威圧する。

「え、あ、あるわ! あの、撃たれた腕は……」

 アネットを庇い負傷した腕は肩から三角巾で吊られている。

「……? あぁ、これに懲りたらもうシャシャリ出てくんなよ」

「あ、そのっ!」

 嘲笑気味に立ち去ろうとするガルトは再度呼びとめられ、勝ち誇ったような心境を害した。

「なんだ! あのだのそのだのじゃわからん! 俺はガルト・ラヴロックだ。ガルト様と呼んでもいいんだぜ」

 ビシリと親指を立てて決めるガルトに、アネットは頬を染めた。

「…………ガルト様」

 耳元でそうささやかれたかのような気味悪さに、ガルトは総毛立つ。

「まてまて、やっぱり普通でいい。……どうしちまったんだ一体、傷のことなら気にするこたぁねぇぞ。俺が自分から飛び込んだんだ」

 そう言われるとアネットはまた耳まで赤く染めて俯いてしまう。一連のやりとりを見ていたケイがそれに近寄った。

「どうやらガルトは養生する宿を探しているらしいのですが、どこかこころ当たりはありませんか?」

「いや俺は帰……」

 ガルトの言葉を待たず、アネットが明るい顔を上げた。

「――それでしたら! 是非うちのお屋敷にご招待状致しますわ!」

「いや俺はだな……おいなぜ俺を置いてくんだっ!」

 腕を捕らえられたガルトは、無理やりそれを振りほどくほどにも無骨な男ではない。それを無視してケイとフィオはガルトに背を向け歩み始める。特にフィオのニヤつき顔といったらこれ以上ないほどイラつかせる。

「私たちは先を急ぐので遠慮します」

 俺もと言うためガルトがアネットに目をやると、一層断りにくくなった。

「……ご迷惑でしたか?」

「うあっ、いや。そいういう訳じゃ……」

 瞬間、腕を引かれ、駅とは別の方向へと誘導される。

「では参りましょう! 近くに馬車を待たせてありますの」

「おい! 助けてくれ!」

 悲鳴を上げるガルトの声は民家の影に消えていった。




 二人はすでに帰りの客車でくつろいでいた。ケイは磨き職人から受け取った漆黒の珠を太陽にかざす。一方のフィオはまだきょろきょろと辺りをうかがっている。

「ガルトの姿は無いですよ」

 ケイが半ば笑みを浮かべそういう。

「あれを断ってきたら私が蹴り降ろしてやるところでしたよ」

 フィオは足を振り回しながら鼻息を荒くする。

「でも珍しいですね。ケイが気を回すなんて」

 ここからほぼ一日の道のりを思うと、フィオはやわらかい座席に腰を下ろし、ほっと安堵する。

「……考えてもみてください。あんなのが道中一緒にいたら暑苦しくてしょいがないでしょう」

 ははっと苦笑をすると急にフィオの声はトーンダウンした。

「…………エリカのことはどうしようもないですか?」

「どうしようもなくはないですよ。本人の覚悟を無駄にすれば、爆弾騒ぎを怪盗に擦り付けることだってできます」

 せめて怪盗を止めようとしたとして減罪にまで持っていけたかもしれない。けれどケイはそれをしなかった。フィオにはエリカを救う力はないし、何よりも彼女がそれを望んでいない。

「……もう私わかんないです。結果怪盗はいなくなりましたが、これが一番正しいんですかねぇ」

 フィオは車窓を半分ほど開けると短くなった髪を風に揺らしながら、遠ざかるミルトンの町を眺める。

「正しい? そんなはずないですよ。怪盗を失ったこの町はいずれ廃れるでしょう。怪盗が消えた話題で盛り上がるはほんの一瞬ですよ」

 でも、とフィオは尚もふてくされた、かすかに震える声で続ける。

「エリカは間違っていないと思うのです。先日の事件のほうも、レイラが犯人だったとしても彼女は正しいと思います。でもケイはレイラを助けてエリカは助けませんでした。…………その差は私にはとても理解できません」

 しばらくの間があり、ケイはフィオが顔を出している窓を閉じた。

「あのパーティー会場であなたとエリカが悪ふざけを企んだとき、私たちはなぜわかったと思います?」

「……それは…………」

 悩んでいるうちに列車はトンネルの中に入った。これを抜けるともうミルトンは見えなくなっているだろう。ケイは騒音で声がかき消されないように顔を近づける。

「今みたいにガラスに映っていたんですよ。あなたたちの動きが」

 フィオは車窓に映る自分の顔に手を打つ。

「ああ!」

 ケイは手帳を取り出しなにやら間取りを書き始める。それは大きさからしてあの大広間のものではない。

「暗い時間帯、室内で灯りを炊けばガラスは鏡のように背後を写します」

 レイラが犯人だったと後から聞かされた、あの事件があった部屋だ。

「殺されたマクドウェル氏も同じ状況だったはずなのですよね」

 ケイは手帳の丸から丸へと窓に反射された矢印を引く。

「……ってことは後ろに迫る犯人が見えてたってことですか!?」

 ケイはいたって冷静にコクリと頷く。

「なのに避けなかった。もちろん偶然鏡を見なかった可能性もありますし、自分の体の陰になって見えない場合だって考えなくてはいけません。まぁこれらは推測ですがね」

 ペラペラと手帳をめくると、そのページのどこにとどまるでもなく目線を走らせる。

「マクドウェル氏は確かに現在では禁止されているはずの奴隷を買っていましたが、その大半を彼の持っている工場で働かせ社会復帰させています。だからこそ彼には捜査の手が入らなかったといってもいい」

 ケイの言い草はまるでレイラを貶めるかのような発言だった。

「でもレイラはエロいことされそうになったところ偶然助かったと、そうだ! 実際に配管だって壊れていて、オーナーが修理しているのを見ました!」

 いくらトンネルの騒音の中でも声を大にしすぎた。数人の乗客がこちらを気にしていると気づき、フィオは自粛する。

「それを偶然だとするのはフェアじゃありません。誰かが様子を疑い、レイラを助けたと思ったほうがいいでしょう」

「…………助けた?」

「ええ、……配管に細工をしたとすれば、フレデリック・シップマンか、オーナーのデニスでしょうね」

 フィオの頭では物事を処理しきれない。だから息を呑み緊張しながらも単刀直入に聞いてみることにした。

「ではケイはこう言いたいんですか? レイラが計画的に殺人をしたと」

 予想に反してケイは首を横へ振った。

「それは違いますね。あくまで今のは推論の域を出ません。ただ、身内を売るようになるまで衰退した集落が、盗賊団に堕ちることは珍しくありません」

 ふと雑音が消えた。列車がトンネルを出たのだ。そのせいか今の間がとてつもない静寂に思える。

「……まだレイラは善人ですか? それとも悪人ですか?」

「それは…………」

 フィオはうつむいたまま何も言葉を返さなくなった。いや、かすかに唇は動いたかもしれない。

「いいと思いますよそれで。『わからない』が正解です。レイラ・レオノールの件で諸悪の根元を辿れば我々が便利な生活を追い求めたのが罪なのでしょう」

 一向に面を上げないフィオの頭を少々強引に押し上げ、見えた涙にケイは最近で一番大きなため息をつく。

「まぁ、推論といったでしょう? 子爵が実際に体目当てのロリコンだった可能性だってあります」

 フィオはその涙を恥ずかしそうに拭う。もう数時間も列車が行けばレイラの居る村が見えてくる。しかし帰りのこの列車はその村を通過するだろう。

「だからこそケイは自ら犯人を捕まえるということはしないのですね」

「…………そうですね。エリカとレイラに差があるとすれば助けを求めたことでしょうか、私は最初に助けを乞うた者の味方です」

 それが例え善人に見えようが、悪人に見えようがケイならそれを通すだろう。それは彼にとって事実にもとづいた教訓なのだ。

「でもやっぱり、エリカにも笑ってほしいと思うのです」

「彼女が助かるかどうかはホンプキン次第でしょう。一応有能そうな医者は回ってみるつもりです」

 ケイはそういい捨てると立ち上がり、荷棚から自分の鞄を漁る。

「……目が覚めたとして本当にエリカを助けられるのでしょうか?」

 心配するフィオをよそに、ケイは座りなおすと一冊の本を読み始めた。

「彼は怪盗ですよ。ほしければ手に入れるでしょう」





(完)






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