弐
あれから、私はというと...
「もうッ!!どこまでついてくるの!?」
「まぁてぇぇ!!人間の女ァ!!」
妖怪たちに追われている。
理由は15分前...
あの時は、とぼとぼとただ歩いていた。
「はぁ、どこだろここ...」
ドンッと、その時誰かにぶつかった。
嫌な予感はしていた。
身の毛もよだつような感覚に襲われ、冷汗は止まることなく流れ続けている。
恐る恐る顔を見ると...
「鬼いいいいいいいいいいいい!?」
恐ろしい顔した赤鬼が涎を垂らしながら見ていた。
「おうおう、人間ちゃんよ。ちょっと俺の胃袋に入っちゃあくれねぇか!」
「きゃあああああああああああ!?」
私は走って逃げる、逃げる、逃げる。
そして今に至るのだ。
あの時よりは人数は増えている。
陸上部の和磨君と追いかけっこしてたため、足は速い方で、追いつかれることはない。
でも、走っても走っても出てくる妖怪たちにあせりと恐怖を感じていた。
それと、どこから情報が流れてきたのは知りたくないことである。
だいたいここなに!?え、妖怪!?
考えることに頭を使っていたせいか、足を自分の足に引っかけてしまい、転倒してしまった。
「うわっ!?」
そして、妖怪たちに追いつかれてしまった。
もうだめかと思ったとき、私を青い炎が取り囲んだ。
「えっ!?」
青い炎!?なんで!?ってか、妖怪燃えてるけど...
そして、その中から出てきたのは、背の高い男の人だった
といっても人ではなく、おそらく...
「お狐様...?」
狐の耳と9本に分かれたしっぽ。
間違いない、九尾だ。
それにしても、きれいな妖怪...
顔は整っていて、耳やしっぽも毛並よさそうだ。
しかも、この炎も...
例えるなら、海みたいな...
そこで、はっと気づく。
そうだ、私妖怪たちに追われて...
そこで再び、自分の立場を思い出す。
もしかしたらこの妖怪も...
そう考えたとき、大勢の妖怪がまた来た。
「ここでは分が悪い、場所を変えるぞ。」
そういって、私を抱えて走った。
「うえええええええええ!?」
そのスピードと揺れに酔うことを確信しながら、どうすることもできず、ただ相手に身を任せるしかなかった。