変態、ばれる。
一応終わっている話なんですが…半分から先が削除されてなくなっていたという衝撃的な事実に打ちひしがられています……
私が何をしたというのでしょうか…神様?
夏休みに入ってから律はなるべく変態と同じ時間を過ごさないように心がけてきた。
しかし、海だの律の水着姿萌えだの俺とテレビどっちが大切だの(もちろんテレビ)
りっつんへの愛または未来の二人夢と希望に満ちていルンルン(作詞作曲ぷりてぃゆずきん)だの
ゆずきには一種の喜びと痣と血と気絶の毎日だった。
しかし、律にはウザサ溢れる毎日を過ごす羽目になり、そのために少し精神的におかしくなりかけた。そんな律は今では番犬要素を忘れている変態ゆずきに対し屈辱的な遊びを行ってみた。
犬用フリスビーである。
しかし変態は変態そんなものでは屈辱など感じはしない。
一般家庭では以上に広い庭でゆずきは、喜び勇んで律の投げたフリスビーを全速力で追いかける。
そして人間業とは思えぬ速さで戻ると犬のごとく嬉しそうにほめてーーオーラを振りまきながら律の元に戻ってくるのだ。
その姿に気持ち悪さと悔しさを隠せない律がやけくそに飛ばしたフリスビーは遥かなたへと飛び去った。
すかさずゆずきは一目散にかけていく。
このとき律は、なぜ自分はこんなことをしてゆずきと二人でいたのか長い間後悔することとなる。
「「こんにちはーーーー」」
悪魔の声が聞こえた。
律は声のした玄関にすぐさま向かうとそこには案の定生徒会メンバーの二人が立っていた。
「な、なんのようですか」
できるだけ顔が引きつらないように気をつけながら微笑みながら律は聞いた。
冷や汗が出る出る。
もうすぐ変態はフリスビーを持ってここに来ることは必然的である。
そのときまでにこの二人をここから退場させなければならない。
フリスビーの行き先はよくわからない庭の片隅にある雑木林の中。
しかし、そのとき律は変態の律に対する異常なまでの動きの俊敏性をまだ把握していなかった。
それが誤算だった。
律の背からがたんと音が立ったかと思ったその瞬間…
「フォーエヴァーラブ!俺の心を~盗んだ~貴女のために取って来ま~した!!はい!りっつん取ってきたぞー」
そう歌いながらやってきた泥だらけのゆずきはがばりと後から律を抱きすくめた。
律は動かない。
いや、動けない。
前から二人の姿を固まったまま凝視する秀隆と南の視線のためであった。
そんな律の姿を不振に思ったゆずきはやっと前にいる二人に気がついた。
固まった…と思いきや
「てへっ」
ゆずきは笑うと手を前に突き出した。
「いらしゃ~い!俺とりっつんの愛の巣いわゆる新婚熱々他人が見てもウザイとしか思えないほど愛で燃え上がったホームにようこそ。歓迎するよ!イエーーイ」
言い終えた瞬間後から抱きすくめられていた体を自由にした律はそう蝶のように舞、蜂のように刺すアリの攻撃を仕掛けた。
その後もう気が飛んでいる変態の頭をつかみ壁にぶつけて完全機能停止し、白目をむいた元変態の生き物を引きずり昨日使ってまだ水の入っている風呂に変態を頭ごと沈めた。
顔色一つ変えず淡々とそれを終えた律は少しぬれた服を気にせずまだ固まったままの二人の所に戻ってきた。
そしてにこりと笑うと
「何か見ましたか」と問いかけた。
その言葉で正気に戻った二人はその笑顔におびえながらも沸きあがりつつある興奮から聞かずに入られなかった。
「「もしかして今のって、西村先生!!」」
「何がですか?」
まだ笑顔のままである。
「いつもとぜんぜん違うけど今のはどこから見ても西村先生やん」
「ちょっとどういうことなの!!二人は同棲してたって…さっき先生新婚が何かってもしかして二人は夫婦なの?きゃーー禁断んんんん」
「訂正を要求します。同棲ではなく飼っているんです。
もちろんペット以下です…なので結婚または婚約または恋人関係でもないです。
私が飼い主であり、あの変態は虫以下、また一応番犬という肩書きもありますが、そんなの無視での寄生する黴菌のようなものです」
「「……」」
「ここまで見られたのなら一応話しておきますがわたしと今頃溺死しかけているだろうけど、しぶとく生きている変態とは一緒に住んではいますがそこには恋愛感情はなく…」
そのとき「俺にはあるよー」と全身ずぶ濡れの男もといゆずきがひょっこり顔を出した。
律は無言で玄関に置かれている花瓶を風呂場の入り口に投げた。
「ひょあああ」叫びながらゆずきの顔にヒットした花瓶とともにゆずきはまた風呂場に落ちたらしい音が響いた。
呆気にその動作を見ていた二人の顔は青ざめていった。
「どこまで話たっけ。ああそれでわたしはあいつがだいっっっ嫌いなの。ウザイ、キモイ、使えない。この三拍子がついている時点でもうだめね。死ぬしか」
物騒である。
「あの」
南が手を上げた。
「何でしょう」
「学校の先生と彼は本当に同一人物なんですか?」
「はい。一応あんなのを学校には行かせられませんので、変態も一応自分が変態でキモイという自覚はあるようです。なので私への配慮でああなっています。仲が悪いというのは、あの変態が私と痛いからという愚劣な欲求から生まれた画策のせいですね。まぁそんなことしなくても嫌いですけど」
「はい」
次に手を上げたのは秀隆だった。
「そのこの前から聞きたかったんやけど、体育祭の時姫さんの手についてた血ってもしかしなくても先生の血ですか?」
「ふふ、もちろんですよ。あのときは気持ちよかった」
秀隆は口をつぐんだ。
それからずぶ濡れのゆずきが玄関に戻ってくると、秀隆が口を開いた。
「結局今日は二人で何をしてたんや?」
「ええ~何って、その~あの~」
くねくね身体を揺らすゆずきを秀隆はきみの悪いものを見るように見た。
「…二人で密やかな営みだよ」
それから、数秒後木戸家の花瓶の一つが割れた。
その後彼らは言い知れぬオーラを纏った律から脅迫され、今回のこと口止めされたことは言うまでもない。