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「殿下の全身には不気味な文様のようなものが肌という肌を埋め尽くすように浮かび上がっておりました。医師たちはこれは医術の及ぶ範疇ではない、魔術師を呼んでほしいと言い、ただちに魔術師たちが呼ばれました。魔術師たちは殿下とともに部屋へと籠り、回復の術を施しました。ところが、殿下の様態は一向に快方へは向かわず、魔術師たちも困惑いたしました時に、遠方へ出ていた魔術師長が城へと戻り、すぐさま殿下のもとへと向かわせたのです。そして、魔術師たちは結論を出しました。殿下は黒魔法による呪いにかかっていると…」


その時のことを思い出したのか、宰相の声は最後の方は震えていた。


「殿下の部屋へ到着したとたん、私はとても禍々しい気を感じました。それは部屋中に充満し、耐えがたいほどのものでございました。このままではこの邪気が城中、いえ、国中を覆ってしまうかもしれない、そう思い我々は出来うる限りの魔術を用いて殿下から邪気を祓おうといたしました。ところがどれ一つとして効果は無く、邪気の充満を遅らせるのが精々でした。そして白魔法の一切が通じないこれは、黒魔法だと、私は思い至ったのです」


師長も沈痛な面持ちで宰相の話を引き継ぐ。力及ばなかったことへの悔しさか、黒魔法への畏怖か、複雑な思いをローレンは師長から感じ取る。


「呪いに我々の力は歯が立ちません。殿下をお救いするには、もはや魔女様、代々伝え聞いてきたあなた様のお力におすがりするしかありません」


師長はまっすぐにフードに隠れたままの魔女へと視線を向ける。


「力不足な我々の尻拭いをさせてしまいますこと、大変申し訳なく思っております。しかし、この国の未来のため、どうか殿下をお救い下さい」


そう言い、深々と頭を下げるのだった。

魔女はしばらく師長を観察するようにじっと見つめる。

相変わらず言葉はなく、動きも最低限でなにを考えているのかわからず不気味なものだ、ローレンは魔女を見て思う。

部屋に緊張が漂う。

皆が魔女の答えを固唾を飲んで待った。

やがて、魔女はもう見慣れた仕草でコクンと頷いた。

宰相と師長はほっと胸を撫で下ろし、公爵も安堵したような笑みを浮かべている。

ほんの少しだけ、空気がゆるんだ。


「では、さっそくだが王子の容態を診てもらおう」


王が立ち上がった。


話がなかなか進まないなぁ…すいません。

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