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斬られた王は血を撒き散らし、断末魔の叫びを上げながら床へと倒れ伏し、やがて動かなくなった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
血を流し倒れている王の身体を見下ろしながら、バーデナ―は荒い息をつく。
「バーデナ―公爵様」
部屋の入口に立っていたローレンが、静かに中へと踏み入った。団長も、さりげなく入口を塞ぐように立つ。
「なんだ、言っておくがこれは陛下に対する謀反でも反逆でもない。お前たちもみていただろう。大罪を犯し、狂われてしまった陛下をお止するにはこうするしかなかったのだ…」
バーデナ―は悲痛に表情で言ったが、ローレンの目には厳しさが宿っていた。
「確かに、殿下に呪いをかけたのは陛下だったのでしょう。どういう方法を用いたのか、それはこれから調査いたします」
「そうか、私も出来うる限り協力いたそう」
「では、調査のためあなたを拘束させていただきます。バーデナ―公爵様」
「なに…?」
ローレンの言葉にバーデナ―は訝しげな声を上げ、そしてその顔を不快気に歪めた。
「何を言っている、こんな時に…ふざけている場合かッ!!」
「いいえ、ふざけてなどおりません。調査はあなたの証言を聞けばすぐに進むでしょう。…あなたもまた大罪を犯しました」
「大罪?この私が?一体何のことだ」
声を荒げられようと、睨みつけられようと、ローレンは冷静だった。その声は押さえつけられたように不自然に静かに響いた。
やりきれない何かが込められていた。
「おわかりになられませんか」
「貴様の方こそ、誰に向かってそのような口を聞いているのかわかっているのか?アシュベル副団長」
血に汚れ、醜く歪んだバーデナ―の表情はもういつものような威厳あるものではなかった。
ローレンは苦しげに眉をしかめたがそれも一瞬、すぐに顔を上げ真っ直ぐに公爵を見据える。
「バーデナ―公爵様、私どもはすでに証人を捕らえております。あなたが殿下を殺そうとよこした者たちが、言い逃れのできない証拠です」
「ッ!!!」
バーデナ―は言葉を失った。その視線の先、ローレンや団長の向こうに見える部屋の外では彼の部下であるあの男が、騎士たちに取り押さえられていた。
「何を…言っているのだ…」
背中に嫌な汗がつたうのを感じながら、それでもバーデナ―は往生際悪く言い募ろうとする。
だがそれは、所詮無駄な足掻きだった。
「あなたは国で手配中の暗殺集団の組織を使い今夜、解呪の儀で護衛が近づけず守りが手薄のなるのを狙い、殿下を暗殺しようとした。円滑な情報の行き来や素早い実行を見ると、どうやら以前からあなたは組織と繋がりがあったようですね」
「知らぬな…」
「私は偶然あなたとあなたの部下が温室でこの計画を話しているのを聞きました」
「――ッ!!」




