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「おおおおぉぉぉぉ――――――……」


いまだ激しい叫び声が聞こえ続けている。

王の間の前まで辿りつくと、部屋の前には止めようとして怪我をしたのだろう、腕や顔に傷を負った大臣たちがいた。


「バーデナ―公爵様…っ」


腕の傷の手当てをうけていた大臣がバーデナ―の姿を見つけ駆け寄ってくる。


「大丈夫か?陛下が突然暴れられたと聞いたが…」


「は、はい…。突然、まるで何かにとりつかれたように苦しみだし、暴れだされて…。今もあのような声を上げておられます。我々の声も届きません…ッ」


青ざめた顔で、大臣は状況を語った。


「まさか…これも呪いなのでは…」


ぽつりと、誰かが呟く声がし、その言葉を聞いた周りの者たちはハッと息を呑んだ。


「すっ、すぐに魔術士長と魔女様をお呼びするのだ!!」


誰かが怒鳴るように声を張り上げ、侍女の一人が慌てたように駆けだした。

どん!どん!と王を閉じ込めている部屋の扉が内側から激しく打ち付けられる。中で王が暴れ続けているのだ。数人の騎士たちが扉を押さえているが、押し開こうとする王の力は信じられないほど強く、限界は近かった。

するとそこに士長と魔女が、続いてローレンも到着した。


「大丈夫ですか?皆様。これは…」


「の、呪いではないのか!?殿下の呪いは解いたと言っていたが、本当は失敗し、今度は陛下が呪われたのでは!?」


恐怖や驚愕といった感情が魔女が現れたことにより、怒りへと変化したのだろう、大臣の一人が立ちあがり魔女を糾弾する。

その怒りは周囲に伝染していき、皆の目が睨むように魔女に向けられた。


「皆様、落ち着いてください」


士長が魔女をかばうように前に出る。


「魔術士長…しかしッ!」


「呪いではありません。これは、呪い返しです。殿下を呪ったのは…陛下だったのです」


「なッ!?」


勢いづいていた大臣も、周りの皆も言葉を失った。頭が真っ白になりながらも士長が言ったことを何とか理解した者は、次いで激しく動揺する。

大きな混乱がこの場を支配した。

そして動揺したのは、扉を押さえていた騎士たちも同様だった。思わず力が緩み、あ、と思った時にはもう、扉は大きな音を立てて開かれていた。

ふらふらとした足取りで、喉元を押さえながら王が部屋から出てきた。叫び、暴れ続け、苦しげに荒い息をついている。

しかし、目だけは爛々と輝いていた。その瞳で、一人の人物を見据えている。


「お…お…おぉぉぉ…憎い、憎いぞ…王子が、わしから王座を奪おうとしている…!だから、王子を亡き者にしてしまえと…呪いはきっとうまくいくと、そう申したではないか…グレイス…ッ!」


「!!」


王は足元をふらつかせながらグレイス・バーデナ―(・・・・・・・・・・)に手を伸ばし、憎しみに染まった声で言った。


「な、何のことだ!!知らぬ、知らぬぞ、私は!!」


バーデナ―は王の手から逃れるように一歩二歩と後退る。皆の目が、彼に向かっていく。


「こッ、これは呪い返しだ!!先程士長がそう申したであろう!!つまり陛下は黒魔法に手を出し、殿下を呪い殺そうとしたのだッ!!王族殺し、子殺しは大罪だ!私がこの手で陛下を…兄上を止めよう!!」


バーデナーはそう叫ぶなり、近くにいた騎士から剣を奪うと駆け出し、王との距離を詰めその身体を部屋の中に押し込み、そして―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


剣を王の身に振り下ろした。






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