詩 スマホで彼と会話
掲載日:2026/05/05
スマホが鳴った。
ルルル、ルルル。
癒やしの音にしてあるので、近くにいないと聞きづらいのだが、誰かと思えば彼だった。
「わ」
思わず顔が赤くなっていく。
自分も今、かけようかどうしようか、迷っていたからだ。
こほん、と咳をし、緊張しながら、スマホを取る。
「もしもし?」
良かった。普通の声で出られた。
安堵していると、彼が
「もしもし。俺だけど」
低めの耳障りのいい声で告げてくる。
まるでピアノの低音のようだと、うっとりしていると、話かけられる。
「今、何していた?」
「えっとね」
彼から話しかけられて、ドキドキしながら話し始める。
話したいことはたくさんあるのに、言葉が出てこない。
あー、もどかしい。
電話じゃなくて、直接、会いたくなるが、彼に嫌われたら困る。
ここは我慢と思い、「それでね」と少し甘い声、チョコレートを口に含んだような声で続ける。
時計を見れば、もう1時間も話していたことになる。
慌てたのは彼のほうで、
「そろそろ」
「うん、淋しいね」
本音がこぼれ、胸が痛くなる。
ブラックホールができたような、大きな痛みだった。
しかし、隠して「じゃあ」とスマホを切る。
途端に、悲しくなり、ベッドに横になるのだった。
「好きだよ」
スマホにキスし、目を閉じる。




