何がいた。
窓際の1番前が僕の席だった。
ほんとだったら僕は窓際の1番後ろの席だったのだが、運悪くカースト上位の女子が、前だと集中できないなどと意味のわからない言い訳をかましたおかげで、クラスで空気に等しい僕は一方的に交代させられてしまったのだ。
かなり周りはガヤガヤとしいるのだが、今は自習の時間である。
静かな自習ができる学校って存在するのか?ともやもやと考えながら今日の課題を進める。
しばらく問題を解きすすめると、ふと何かを感じて窓の外を見た。
「ぇ」と小さく声が漏れる。
その時僕だけが、気づいていたのかもしれない。
窓から見える山の方に宇宙船、UFO?のような飛行物体が落ちていったのを。
僕は頭の中がもうそれいっぱいで放課後まで何も手につかなかった。
終礼が終わると同時に僕は学校を飛び出した。
UFOなわけないと心の中で思いながらも、わくわくはそれをこえていた。
自分の目で確認するまでこの胸の高鳴りは抑えられないだろう。
自習時間に見た位置を頼りに走り続けた。
しばらく走ったおかげで口の中が血の味がする。
「たしか、このへんだったはず」
あたりが薄暗くなり始めたので、スマホのライトで周囲を照らして進む。
汗が冷えてきて服と肌が密着する感じが気持ち悪い。やはり見間違いだったのかとだんだんとバカらしくなってきた。
僕は何を期待していたのか、アニメや漫画の主人公みたいになれるとでも思ったのか。
興奮が冷めてくると自分を客観視し始めて恥ずかしくなる。
ため息をついて帰ろうと振り返った瞬間、背後から何かの叫び声が聞こえた。
獣のような声だった。
僕は一気に血の気が引いた。何かがいる。
そう確信していた。木や落ち葉を踏む足音が僕の後ろに近づいてくるのを感じる。
僕は思いっきり振り返ると同時に手に持っていたスマホを何かに投げつけて、一目散にその場を離れた。
家に着くまで振り返らず。
よりにもよってスマホを投げるなよ僕と思いながらひたすらに走っていた。




