表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
300年後も鐘の音を  作者: 琥珀 のえる
第1部:氷晶の宿と泥だらけの太陽

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/51

『宝石血液の記憶・霧』

(……霧の向こう、遠く教会の鐘が鳴り止む。静かな一室で、サファイア色のインクが、闇をなぞるように滑っていく)


……日記、……○月○日。 ……黄金は、……灰に変わった。……ひだまりは、……漆黒に塗り潰された。 ……物語は、……いつも……残酷な欠損から始まる。 ……何かを失わなければ、……人は……隣にいる人の……体温に気づけない。


……記録によれば、……世界はまた……少しだけ……重くなった。 ……失われた命の数だけ、……ページは……黒く染まっていく。 ……けれど。 ……見える。 ……その灰の下で、……まだ赤く……小さな火種。


……泥を蹴る、……スピネルの輝き。 ……孤独を背負う、……紅玉の輝き。 ……二つの宝石は、……今、……霧の街で……交わろうとしている。


……消えてしまったものを、……私はもう……思い出せないけれど。 ……今、……この闇を……必死に泳いでくる……二つの熱を、 ……私は、……『家族』という……不確かな名前で……呼びたくなっている。


……思い出せない温もりを、……あの子たちが……見つけ出すのを…… ……私は、……記録者の席で……ただ、……待っていることにしましょう。


……さあ、……筆を置きましょう。 ……夜の向こう側から、……誰かが……私の宿の扉を……叩く音がするわ……


(……氷の粒が弾ける音が小さく響き、白い吐息と共に、そっと窓の外を見つめた)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ