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孤児院の実態

なんだかんだで時間が経ち、ようやく馬車が止まった。


ガタン、という音とともに扉が開かれ、私たちは外に降ろされる。


「……」


「…………」


え?


ちょっと待って、ここどこ?


周りを見渡してみるけど、そこにあるのはただの平原。


地平線の向こうまで、ずーっと何もない。


孤児院の建物どころか、道すらないんだけど!?


「……え、こっからどうやって孤児院に行くん?」


そう思って鬼畜Aに聞こうと振り向いたら──


馬車がすでに出発していた。


「いや早ぇよ!!!!」


本当になんでヴァルムント家の人間って全員こんなに段取りが鬼なの!?!?


ちょっとくらい「ここから○○へ向かいます」とか説明してくれたっていいじゃん!!!


こっちは3歳と6歳なんですけど!?!?!?!?


「……もういいや」


呆然としながらため息をつくと、兄上(いや、この呼び方やっぱりムカつくな)はすでに歩き始めていた。


「……え、どこ行くの?」


慌てて追いかけながら聞く。


「どうしてこっちだってわかるの?」


兄上はピタッと足を止め、振り返る。


そして、とんでもなく気持ち悪いニヤァを浮かべながら言った。


「こっちから腐敗臭がするんだよ」


「……」


「…………」


「は!?!?!?!?」


ちょっと待て!!!


今、なんつった!?!?!?


「腐敗臭!?!?!?」


なんでそんなに楽しそうに言えるの!?!? 何が楽しいんだよ!?!?!?!?


てか、そもそも腐敗臭って何!? どこから発生してんの!?!?!?!?!?


「いやいや、絶対私たちから臭いしてるだけでしょ!? だって、3日間も飢餓状態にされて、ボロボロの服着せられてんだから!!」


「お前の嗅覚が鈍いだけだ、ガキ」


「いや、いやいやいや!! そういう問題!?!?!?!?!?」


そもそも匂いで位置がわかるって犬かよ!!!


──とか考えている間にも、兄上はどんどん歩いていく。


いやいや、ちょっと待って!? 早すぎるんだけど!?


なんで歩きなのにそんなスピード出せるの!? チートでも使ってんの!?!?!?


「ちょ、待っ……!!」


必死に足を動かして、なんとかついていく。


──こうして、私たちは孤児院に向かって歩き出したのだった。


「……絶対、ヤバいところに来ちゃった気がする」


孤児院が騒がしくなっていた。


いつもは沈んだ空気が支配するこの場所で、今日はやけに職員たちが忙しく動き回っている。


「早く準備しろ! 荷馬車が来るぞ!」


そんな怒鳴り声があちこちから響く。


薄汚れた孤児たちが怯えながら列を作らされ、職員たちが次々と身体を拭いたり、服を直したりしている。


「おい、ちゃんと顔を洗え! 泥だらけじゃ売り物にならん!」


「歯を見せてみろ……チッ、欠けてるな。まぁ、どうにか誤魔化せばいいか」


職員たちは、孤児たちをまるで“商品”のように扱っていた。


いや、実際にそうなのだろう。


「出荷の日」。


孤児院の子供たちにとって、それは最も忌まわしい日だった。


王国の保護施設──なんて建前にすぎない。


ここでは、孤児たちは適当な理由をつけて外に“売られる”。


「行ったら最後、二度と帰ってこない」


それが、この孤児院の現実だった。


──そして、それこそがリオンの脱出計画の決行日でもあった。



リオンは、いつものように殴られながらも立ち上がる。


いつも通り。


いつも通りの“愚かな反抗”。


職員たちも、他の孤児たちも、リオンのことを「何も考えてないバカ」と思っている。


だが、それこそが計画の肝だった。


「……よし、そろそろだな」


荷馬車が来る前のこのタイミング。


今、職員たちは“出荷”の準備で忙しい。


つまり、監視の目が一瞬だけ緩む。


リオンは、そっと動き出した。


「おい、お前ら! 何をぐずぐずしてる!」


ちょうどいい。


職員たちの意識が散っている。


リオンは、ゆっくりと“例の場所”へ向かう。


孤児院の裏手にある、壁のひび割れた一角。


リオンは、ずっとここを観察していた。


雨風にさらされ、放置されたせいで、壁の一部が脆くなっている。


そこを、少しずつ、少しずつ削っていた。


バレないように。


誰にも気づかれないように。


「今日が、決行の時だ」


リオンは拳を握りしめた。


ここを蹴破れば、一気に外へ出られる。


馬車の到着を合図に、孤児院全体がバタつく。


その一瞬の隙を突く。


──今しかない。


「……絶対、ここを出る」


リオンは、深く息を吸い込んだ。


そして、足を振り上げ──


「ッッ!!!」


全力で壁を蹴りつけた。


ゴガァッ!!!


鈍い音とともに、壁が揺れる。


「……ッ、もう少し!」


もう一度。


もう一度だけ。


「──ここで終わるわけにはいかない!!!」


リオンは、力の限り、もう一度壁を蹴った。


バキィィン!!


壁の一部が崩れ、光が差し込む。


「……!」


外だ。


外の空気だ。


「……いける……!」


──そう思った、その瞬間。


「おい、お前! 何をしている!!?」


振り返ると、そこには怒鳴りながら駆け寄ってくる職員の姿があった。


「チッ……!」


まだだ。


まだ終わりじゃない。


リオンは、すぐに体勢を立て直し、光の差し込む穴へと走り出した。


「絶対に、ここを出てやる!!!」


──そして、その頃。


新たな“商品”が、孤児院へと近づいていた。


どれくらい歩いたのか、もうわからない。


足は疲れ切っているし、喉はカラカラ。


「もっと近くで降ろしてくれたってよかっただろ……」


心の中で愚痴をこぼしながら、とぼとぼと兄上の後を追いかける。


さっきまでは「腐敗臭がする」とかいう意味不明な理由で歩いていたけど、もう今は何も考えられない。


「私、こんな長距離移動をするために生まれてきたんじゃないんだけど……?」


──と、その時。


前方に、ぼんやりとした建物が見えてきた。


「……あれが、孤児院?」


屋根はところどころ壊れ、壁はひび割れている。


それなのに、建物全体がまるで“何か”に取り憑かれているかのような、不気味な雰囲気をまとっている。


まるで「ここに足を踏み入れてはいけない」と、空気そのものが警告しているかのようだった。


うわぁ……これはもう確定でヤバい場所だ。


こんなところに3歳児を放り込むヴァルムント家、やっぱりどう考えてもおかしいでしょ!?


──と、思っていたら。


突然、兄上がピタリと足を止めた。


「……何かが来る」


「……は?」


ちょっと待って。


その言い方、めっちゃ怖いんですけど!?


何かって何!? 魔物!? バケモノ!? そういうやつ!?


「いやいやいや、無理無理無理!! もうへとへとで戦う元気なんかないんですけど!!?」


恐る恐る前方を見てみる。


すると──


「はぁっ……! はぁっ……!!」


めっちゃ必死な顔で、一人の子供が走ってくる。


年齢は私たちより上……たぶん10歳くらい?


ボロボロの服を着ていて、体は痩せ細っている。


顔も汚れていて、髪はぼさぼさ。


「……え? 逃げてる?」


子供は、私たちを見つけると一瞬驚いたように目を見開いた。


「は!? なんでこんなところにガキがいんだよ!!」


そして、息を荒げながら叫ぶ。


「さっさとお前らも逃げろ!!!」


あ、やっぱり逃げてるんだ。


「待って待って、何から!?」


「何があったの!?」


そう聞こうとした瞬間。


──バゴォッ!!!!!


「ぐえっ!!?」


子供、兄上のラリアットで沈む。


泡を吹いて、そのまま倒れる。


「…………」


「………………」


「……え? 何しちゃってるのお前」


本当に意味がわからなかった。


いや、ちょっと待って?


この子、めっちゃ逃げてきてたよね?


つまり、何かヤバいものから全力で逃げてる最中だったわけだよね?


そんな子に対して、何のためらいもなくラリアットかますとかどういう神経してんの!?!?!?


お前、本当に6歳児か!? やってることが完全に処刑人なんだけど!?!?!?


「ちょ、ちょっと待って!! なんでこの子ぶん殴ったの!?!?!?」


「うるさい、静かにしろ」


兄上はそう言うと、倒れた子供を無言で背負い始めた。


え、待って!? 何この展開!?!?!?


「いやいやいや、せめて理由を説明してよ!!!なんでラリアットかました後に、しれっと保護してんの!?!?!?!?」


完全に意味不明すぎて、私の脳みそが追いつかない。


兄上は、泡を吹いたままの子供を背負いながら、再び孤児院へ向かって歩き出す。


「え、えええええ……」


わけがわからないまま、私は必死について行くしかなかった。


「この任務、マジで大丈夫……?」


兄上が泡を吹いたリオンを背負い、私はその後ろを必死についていく。


この状況、何度考えてもおかしい。


まず、逃げてた子供をぶん殴って気絶させた時点でおかしい。


それを何の説明もなしに背負って歩き出すのもおかしい。


「いやいや、どう考えても普通じゃないでしょこの流れ……」


そんなことを考えているうちに、リオンが走ってきた方向へ進むと──


いた。


中年の小太りな男。


「あ、もう見た目で分かる。クズだ」


一目見た瞬間、直感で確信した。


「どう見ても、善人の顔じゃない」


というか、全身から滲み出る「不潔感」と「いや~な空気」がすごい。


脂ぎった肌に、乱れた髪。


口元をペロリと舐めるような仕草をしながら、こちらを鬼の形相で睨みつけてくる。


「うわぁ……これ関わっちゃいけないタイプのやつだわ」


そんなことを思っていると、男が大股でズカズカと近づいてきた。


「なに外に出てんだお前たち!!」


その怒鳴り声に、思わず肩がビクッとなる。


めっちゃ怒ってるんだけど……ていうか、怖すぎない!?


「いや、あの、私たち初対面なんですけど……?」


本来なら「初めまして」とか言うべき場面じゃないの!? なんで第一声が怒鳴りつけなんだよ!!


そう思っていたら、男の視線が兄上の背に向かう。


「……って、背負ってるの、リオンじゃないか」


その顔が一瞬だけ驚いたように歪むが、すぐに口元が歪んだ笑いに変わる。


「なんだ、お前たちもリオンを追っていたのか?」


いや、違う違う違う!!!


私たち、むしろ逃げる側の視点でこの子を見てたんですけど!?!?!?


「何その“お仲間ですね”みたいなノリ!? 一緒にしないでくれる!?!?!?」


こっちはこの子を保護してる側だから!!!


ていうか、そもそもリオン、なんで追われてんの!?!?


次に飛び出した言葉で、さらにゾッとする。


「でも中じゃないと、次はないかもだぜ?」


「……は?」


いや、待って。


「次はない」って何?


「……え、これ、普通の叱責の言葉じゃなくない?」


「次はない」って、つまり、生きて帰れない的な意味?


──ダメだ。


この孤児院、もう確定で終わってる。


明らかに普通じゃない。


そもそも孤児が「外に出たら終わり」みたいな環境って、どう考えてもおかしい。


「これ、もしかして本当に人身売買ルート……?」


寒気がした。


そして、さらに寒気を増幅させるように、男はこう続ける。


「あぁ、そうだ、そんなことよりお前たち早く部屋へ向かえ!」


「さっさとその汚れた体を少しでもキレイにしろよ」


……あ、もう、100%確定。


「商品としての見栄えを整えろってことじゃん」


頭がキンと冷える。


鬼畜Aゼクトが言っていた通り、ここの孤児院は援助金の横領、不正取引、そして人身売買に関わっている可能性がある。


でも、それが「可能性」じゃなくて「確定」になった瞬間だった。


「……うわぁ」


兄上が「皆殺し」とか言ってた時は「何言ってんだこいつ」って思ったけど、今ならちょっと気持ちがわからなくもない。


この孤児院は、確実に腐りきっている。


ここで暮らしている子供たちは、いつか「出荷」されるのを待つだけの存在なんだ。


そう思うと、ゾッとするほどの嫌悪感が背筋を駆け上がる。


そんな私の感情を察したのかどうかはわからないが──


兄上は、「ほらな」って顔でこっちを見ていた。


めっちゃドヤ顔で。


「……」


「…………」


「いやいやいやいや!!!! なんでドヤ顔してんの!?!?!?!?」


「何!? 私が何か間違ってた!?!?!? 最初から『ここはヤバい』って思ってたけど!?!?!?」


「『皆殺しにする』とか言ってたお前よりは、よっぽどまともな考え方してたと思うんだけど!?」


でも、兄上はそんな私の困惑を無視して、ただただ満足そうに頷いている。


「……はぁ」


もう何も言う気になれない。


「……とにかく、この男のことも含めて、しっかり状況を見極めよう」


そう決意しながら、私は深く息を吐いた。


言われた通りに、兄上と一緒に部屋へ向かう。


いや、向かうっていうか、ほぼ押し込まれるように案内されたんだけど。


そして、目の前に現れた光景は──


「ぎゅうぎゅう詰めの子供たち」


部屋の中は、まるで家畜小屋みたいだった。


みんな痩せ細り、怯えた目をして、ただじっと縮こまっている。


「……なにこれ」


これ、本当に王国が認可してる孤児院なの?


「っていうか、こんな環境で生きてるの、すごくない……?」


そんなことを考えていると、


──ザバァァァァッ!!


「……!?」


上から、いきなり水が降ってきた。


職員らしき人たちが、バケツを使って、無造作に水をかけている。


「冷たっっっっ!!!」


思わず声が出た。


いやいやいや、これ冷たすぎるやろ!!!


「っていうか、普通に水浴びとかじゃなくて“消毒”って感じなんだけど!?!?」


しかも、職員たちの顔には、何の感情もない。


ただただ、無表情に子供たちへ水をかけ続けている。


「あぁ、もうこいつら、人間扱いされてないんだ」


そういうことなんだろうな、って直感でわかった。


本来なら「お風呂」とか「清潔に保つため」とか、そういう目的があるはずなのに、


ここではただ、“汚れたものを洗い流す”ための作業としてやっている。


「……なんかもう、色々と終わってるな、この孤児院」



そんなことを考えていると、


「……う、うぅ……」


──背中から、くぐもったうめき声が聞こえた。


あ、目を覚ましたな、リオン。


「ここは……」


リオンは目を開けた瞬間、周囲を見渡して──


そして、次の瞬間。


「って、ここ孤児院の中じゃねーか!!!!」


叫びながら飛び起きた。


「いやいやいや、お前が一番状況把握しろよ!!」


そりゃ混乱するのもわかるけど、ここまで明確に「帰ってきた」って発狂されると、逆に笑えてくる。


「なんで戻ってんだよ!! 俺、逃げたんじゃねーのかよ!!!」


そりゃね、逃げたよね。


でもね、兄上のラリアットで沈んだからね。


「ふざけんな!!! なんで俺、またここにいるんだよ!!!」


めっちゃ暴れる。


めっちゃ喚く。


そして──


「なんでお前、そんな顔してんだよ!!」


って言いながら、兄上に当たり散らし始めた。


「あぁ、これは……またやるな」


そう思った瞬間。


──バゴォッ!!!!!


兄上の拳が、リオンの顔面に突き刺さる。


「ぐえっ!!?」


リオン、二度目の沈黙。


「……」


「…………」


「いや、また黙らすのかよ!!!!」


思わずツッコまずにはいられなかった。


「ていうか、黙らせ方が雑!!! 普通に言葉で説明するとか、そういう手段はないの!?!?」


兄上はそんな私のツッコミをよそに、何事もなかったかのようにリオンを肩に担ぎ直した。


……うん。


もうね、何も言う気がしない。


「……はぁ、もうどうにでもなれ」


私の孤児院潜入、大丈夫かな……?


──ガタガタッ……ゴトンッ……


馬車が揺れるたび、床に押しつけられた体が軋んだ。


狭い。


臭い。


そして、最悪に不快。


「いやいやいや、どうしてこうなった?」


気づけば、私は他の子供たちと一緒に荷馬車へ詰め込まれていた。


「ていうか、なんで兄上まで普通に詰め込まれてるの?」


ヴァルムント家の次男が、孤児に紛れて“出荷”されるとか、どう考えてもおかしいでしょ!?


普通に身分を明かせば一発で終わる話なのに、何この強制参加感。


「いや、これ潜入どころじゃないんだけど!? もう作戦失敗レベルじゃない!?」



「……どこに連れて行かれるんだろう」


周りの子供たちは皆、青ざめた顔で押し黙っている。


沈黙の中、耳に入ってくるのは、馬車の軋む音と、怯えた子供のすすり泣きだけ。


こういう時、普通の人なら“静かにしておいたほうがいい”って考えるんだろうけど、


「私は……無理だった。」


「もうここまできたら、確認するしかないでしょ……」


馬車の前方を操る男を見つめながら、恐る恐る声をかけた。


「……あのー」


自分でもわかるくらい、声が震えていた。


男が、ゆっくりとこちらを振り向く。


うわ、めっちゃ顔に傷ある……。


無精ひげのせいで余計にゴツく見えるし、絶対まともな職についてない系の顔だこれ。


「あぁ?」


低く、ドスのきいた声。


「……これって、どこに向かうんですかね……?」



ほんの少しの間。


静寂があった。


そして、男は、心底どうでもよさそうにこう言った。


「奴隷商の競売所に決まってるだろ」


「……」


「…………」


はぁぁぁぁぁぁい、もう隠す気ゼロ!!!!!


「終わりました!!! お疲れ様でした!!!」


「なんでそこ、もっとオブラートに包まないの!? 『新しい家に行くんだよ』とかさ!!? 『貴族様に引き取られるんだよ』とかさ!!? 普通はもっと子供向けの言い方するよね!!??」


「なんで隠しもせずに『奴隷商の競売所』って直球ストレートを投げてきたの!? ここに詰め込まれてるの子供だよ!?!?」


周りの子供たちは、男の言葉を聞いた瞬間、顔から血の気が引いていた。


そりゃそうなるよね。


ただでさえ、劣悪な環境で生きてきた子たちだ。


でも、どれだけ苦しくても、ここを抜け出せれば、普通の生活が待ってるんじゃないかって、どこかで希望を持っていたかもしれない。


それが、“奴隷として競りにかけられる”と知ったら、そりゃ絶望するしかないよね。


「……いやいやいや、これ、潜入調査とかいうレベルじゃないよね?」


普通にこのまま売られちゃうんじゃないの? どうすんの!?!?


ちらりと横を見ると、兄上は微動だにせず座っていた。


「……え? なんでお前、そんなに冷静なの?」


「これから奴隷競売に出されるんだよ? 何をそんなに余裕ぶってるの?」


……いや、違う。


この顔、楽しんでるわ。


「……ほんとにヴァルムント家の人間って、まともじゃないんだなぁ……」


そんなことを考えながら、荷馬車はゆっくりと奴隷商の競売所へ向かっていた。


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