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怪盗の話  作者: hara
9/12

⑧ひったくった釣果がさんざん

・商店街(午後)

七世『じゃあ、ちょっと八世、これ』

七世、サングラスを取り出し八世に手渡す

ディレクター、怪訝な顔をしている

七世『これ百均のやつ、ちょっとかけてみて、』

ディレクター、嫌そうな顔をしている

七世『ちょっと一回、一回、』

ディレクター『、、、えぇ』

七世、八世にサングラスをかける

七世『おお、いいじゃーん、プロっぽい、プロっぽい、八プロや!』

ディレクター『なんすか』

七世『いや、プレゼント、こういうのあるとぐっと様になるでしょ、なんかこう雰囲気が出るし怪盗っぽい、自分で作ってかなきゃいけないから、そういう雰囲気は視線をね読まれなくなるのも良いよね』

七世もうひとつサングラスを取り出し自分にかける

七世『これ、おれのもあんねん、ほら、子弟やな』

ディレクター『そうなんですか、』

七世『よし!じゃあ、八世、やっていこう!デビュー戦!』

ディレクター『え?』

七世『大丈夫、教えたとおりにやれば大丈夫やから』

ディレクター『え、私がいまからひったくりをするっていうことですか?やりませんよ、あの、取材のために教えてもらってただけなんで、別に私、怪盗じゃないんで』

七世『、、、』

ディレクター『依頼とかと関係のない盗みなんですよね』

七世『関係ないけど』

ディレクター『じゃあそれ犯罪ですよね』

七世『なんかそういう言い方やめへん?』


七世、商店街に向かっていく


~カット割る~


商店街をサングラスをかけて眺めている七世


ディレクター『本当に盗みに行くんですか?』

七世『だって八世がやらへんのやろ、これどっちかがやらへんと俺腹減って死んでしまうからな』

ディレクター『そういう問題じゃなくて、関係ない人から盗むのは法律の問題なんでちょっと撮影とかにもよくないんでやめてもらえないですか?』

七世『いや俺が死ぬか生きるかの問題をわけのわからん撮影とか法律の問題に入れ替えるなよ』

七世『俺らの稼業にはゴトはつきものやから、それが嫌ならもう見て見ぬふりするぐらいしかお前らにできることはねーよ』

七世『だいたい八世が教わったことを勇気をだして実践していかへんことが問題やから、まあ八世にもな、なんか食わしてやるもん盗ってくるから見とけ、』

七世、そう言うと商店街に向かっていく

ディレクター『だから私、八世じゃないんで』

ディレクター少し怒っている


~カット割る~


カメラマン『じゃあ、もうカメラ切った方がいいですよね』

ディレクター『いや、回しといて』

ディレクター『怪盗っていうのがわかりやすい絵ではあるから、、、あとこの映像を証拠にしてあいつが犯罪したら、警察に突き出すんで』

カメラマン『でもこっちが撮ってるのあの人気づいてますよ、大丈夫ですかね』七世はカメラに向かって楽しそうに手を振っている

ディレクター『馬鹿だからどうとでもなるでしょ』

七世が指さす先には自動販売機の前でジュースを買おうとしている30代の男性がいる

カメラは七世をズームしてブレる(このブレで編集点)


~カット割る~


七世が指さす先には自動販売機の前でジュースを買おうとしている30代の男性がいる

30代の男性は自動販売機で飲み物を買うために一時的に肩掛けトートバッグを地面に降ろす

刹那、七世はトートバッグをまるまるひったくり撮影陣に戻ってくる

30代の男性は七世にトートバッグを盗られたことに気づいていない


~カット割る~


七世うれしそうにしている

七世『一発目からデカいの引きましたよ』

トートバッグの中身を確認してみると、

自転車のサドルがいくつか入っている

七世『うっわ、同業者や、ちりんちりんもあるわ、』

ディレクター『これなんですか?』

七世『あいつも、やってるやつやわ、自転車泥棒、でも今の時分、自転車全部防犯ステッカーはってあるから、ちりんちりんとかサドルだけパチってくねん、で独自のルートの工場で金属溶かしたり、クッションのところ枕にしたりすんねん、一個百円とかのゴト、あいつ一台一台手で盗んでしかも歩いて工場までいくつもりやったやろ』

ディレクター『結構、めんどくさそうですね』

七世『だからお前らが、自転車ごときに保険かけるから、昔は自転車まるまる一個ぱちってそれで仕事になってたものをな、わけのわからん業者に金払って保険料だとか言ってな、売れさせなくされてんだよ、そんで駅に置きっぱなしにした自転車を俺らがせっせと回収してたのを税金使ってシルバー人材に片づけさせて、お前らはやくざを選んで自分が損してんねんで、いらない労働といらないお金をな、お前らがあほすぎるから誰も幸せにならへん、だいたい今の時分、自転車一個パチられても別に仕事なくなるようなこともないのに、わざわざ俺らのゴトをつぶそうとしてるわけよ、、、おい本当の自転車泥棒は誰や!』


カメラ、先ほどの男性にむかって振ると30代男性は慌てふためいている

七世『下手な奴やな、あの辺捨ててくるわ』


七世、トートバッグをわかりやすい場所に移す


ディレクター『いいんですか?』

七世『さすがにいいっす、次に行きます』


~カット割る~


七世、カメラに向かってしゃべる

七世『あの、ちゃんと富裕層ターゲットにして、基本に立ち返って、高単価ねらってやってきますんで』

七世商店街に向かっていく

七世は正面から歩いてくるビジネスマン的なスーツの男性or身なりの良い若い男性とすれ違う刹那、ビジネスマン的なスーツの男性or身なりの良い若い男性のポケットから何かを抜き取り、撮影陣に戻ってくる


~カット割る~


七世が抜き取ったものは女性の下着だった

七世『すいません、さっきの下着ドロっすね』

ディレクター『七世さん、これどうするんですか?』

七世『どうするって返しにいくん?下着落としましたよーって、お前がいく?』

ディレクター『いえ、いかないです、、、なんかこういうのって裏で売れたりするんですか』

七世『こんなん、だれが何回つけたかもわからんようなもん、なんの売りもんにもならへんわ、なに考えてんねん、なんか金目のものを買えよ』


~カット割る~


七世カメラに向かって話している

七世『ちょっと男は、犯罪者多いんで、あの、普通に女狙っていきます』


~カット割る~


本の女の子が前を見ずに本をよみながら道を歩いている、すると七世とぶつかってしまう

本の女の子のカバンから荷物が散らかってしまう

本の女の子『きゃ、あ、ごめんなさい、わたし』

七世『大丈夫ですよ』

七世は荷物を拾うのを手伝う、手伝いながら、本の女の子が読んでいた本を気づかれないように自分のポケットに忍び込ませながら撮影陣にピースサインをしてくる


~カット割る~


戻ってくる七世

ディレクター『あんな女性からもひったくるんですね』

七世『女子供なんて関係ねえから』

ディレクター『、、、』

七世『いや、あんな熱中して読んでたらながら歩きで事故っちまうよ』

ディレクター『まあ、そういう考え方ですか』


~カット割る~


10歳ぐらいの男の子があるいている

10歳ぐらいの男の子はリュックサックにヒモでスポーツ用のマジックテープの財布を付けている

七世は10歳ぐらいの男の子の背後から近づき、ちいさいハサミでひもを切りスポーツ用のマジックテープの財布を盗む


10代女性は七世のゴトには気づかない

ディレクター『なんで、また、あんな子供まで』


~カット割る~


七世、スポーツ用の財布を持って戻ってくる


七世『来ました、現ナマ、』

ディレクター『いや、返してください』

七世『はあ?』

ディレクター『あんな子供からひったくるって、ちょっとそれはさすがに見過ごせないんで』

七世『いやいや、子供やからいいんちゃうん、あれぐらいの年の子なんて財布なんていくらでもポンポン落とすんやから、それをホームレスの物拾いが拾うか俺がもらってやるかの違いだけやん』

七世『みたでしょ、あの子、ええ恰好してたやん、そういう家の子がね、こんなちゃっちいちゃっちい小銭入れの一つ二つパチられるぐらい気にすることでもないでしょ』

ディレクター『、、、警察に通報します、撮影した映像が証拠になるんで』

ディレクターは警察に電話しようとする

七世『、、、通報しても意味ないで、うん、いや良いけど警察も多分捕まえへんと思うで、俺、免許あるし、警察ももうわかってるから、それは怪盗のゴトのことってわかってるからさあ、その形だけの対応しかしいひんで、だって誰も苦しまへんねんって、俺らのゴトは別に、』

ディレクター『、、、』ディレクター不服そうな顔をしている、←カメラはディレクターを映す!!!


~カット割るかも~


七世『、、、じゃあ相手が大人やったらいいんか』

ディレクター『やり方が、、、抵抗できない人から盗むのは卑怯なんで』

七世『じゃあ、自分より強い奴から盗むならいいんか?』

ディレクター『いやそういう頭おかしいこといわなくていいんでもう返してください』

七世『ちょっと待て八世、あのな』

ディレクター『八世じゃない』

七世『だから八世ちょっと待て、待て、な、考えろ、頭使え、あのな、俺とあの子供どっちが強い?あのな、世の中にはないろんな力がある、な、暴力なんてな、大したもんじゃねんだよ、それよりもな、権力とかな魅力とかの方がよっぽど強力な力になっちまってるんだって今の世の中はな、だからな、ちょっと考えたらわかるだろ、あのな、その映像をな100人見たら100人が俺が悪いっていうよな子供のほうがかわいそうってな、いうよな、それがもうすでに力なんだよ、あのな俺の力はな結局は暴力なんだよ、時代遅れなんだよ、、だからな、あの子供と俺でどっちが強いかって言ったらな、もう今の時代は腕力競う時代じゃないからな、子供の方がずっとずっと強えんだよ、俺みたいなやつはなもう誰にも敵わないんだよ、だから怪盗やってんだって、死んでもいい奴が命がけでなにするかわかんねえけど突っ込んできますってのが俺らの仕事なんだよ、それって強い奴がそんな仕事するか?絶対にしねえからな、だから八世もな、なんだかんだ強い側の人間なんだわ、だって俺、住む場所もないし、金も食い物もない、ここまで弱い奴はいないから、だから本当に守らないといけないのは俺みたいなやつなんだって、それを警察はわかってるの、わかる?、、、じゃあさぁ八世はさぁ、俺の名前わかる?わかんないよな、うん、あのな八世、名前がない奴ってどんな奴かわかるか?』

ディレクター『それは自分でそういう風になることを選んだんですよね』

七世『じゃあさ今仮に俺が名前を名乗っても八世はそれが本名だと信じるか?名前をどうやっても証明出来ひんっていうことがどういうことかわかる?、、、俺は確かに自分で怪盗になる事を選んだし、別にこういう風に生きる必要はないよ、でもだからといって自分から弱い立場を選んだ人には弱い物いじめしていいのかお前ら?だいたいな、おまえこんなもんでな(子供の小銭入れ)いちいち騒ぐほうがおかしいから、本来ならな、物盗らねえと生きられないくらい目の前で困ってるやつがいたらな普通、手を差し伸べるんだよ、八世がな、守ろうとしたのはな本当に弱い奴じゃなくてただの金持ちのガキだろ、八世はな性根が腐ってんだよ、別に性根が腐ってるのを直せって言ってるわけじゃないんだよ、能力の問題、普通の人生送りすぎて感性が並みなんだわ、普通に生きる分にはそれで問題ないんだけど、並みの感性では勤まんないんだよ怪盗は、なんで感性が腐ってるといけねえかって言うと罠が仕掛けられてんだよ、俺らの仕事では、な、罠があんだよ、お前、罠めっちゃ怖いからな、その八世はスピードが自慢でスピード重視のフィジカル系の怪盗を目指してるのかもしんないけど感性もある程度はないと無理だから、こうなんか、ガシャンってなんか、なんか鉄のギザギザのとげとげが足にひっかかって抜けなくなったらどうする?スピードがあってもスピード出せなくなるからね?罠が発動したら、だから、性格はクソでもいいけど感性は育てないといけないの、その映像を警察に見せるって言ったよな、あのな、100人に見せても100人が俺を悪いというと思うよ、でもな、あのこれをな1000人に見せたらどうなる?、たぶん1000人でも1000人俺が悪いって言うわ、でもなあ10000人に見せたらどうなる、あのな10000人にみせたら4-5人ぐらいは俺を悪くないっていうやつが出てくんだよ、俺が言ってんのはそういうせいぜい1万人に一人程度の感性をそなえなくちゃ、この先の人生怪盗やってくならどんなにフィジカルがあっても無理なんだって、罠があるから、感性を鍛えれば罠に気づける!罠にも気づける良い怪盗めざそうぜ!八世はそういうところもこれから鍛えてこう!なんなら幸運だよ八世、俺はメンタル系だからさあその八世の感性の基礎値みたいなのおれが押し上げるから、八世が罠に気づきやすくなれるように八世の平凡で腐った感性をなんとか使えるレベルにまで底上げしてあげられるから』(大丈夫や、ええ足もってるやん、自信もっていこう)

ディレクター『だから私は八世じゃない、、、』

ディレクター憤慨し七世からスポーツ用のマジックテープの小銭入れを奪い取ろうとする

七世と取っ組みあいながら

ディレクター『返せ!!!』

七世『わかった、、、わかったわかた、ごめんごめん、ごめん』


七世があやまるのでディレクターは七世から奪い取ろうとするのをやめる


七世は小銭いれをディレクターに渡そうとするが、刹那、七世は猫騙し(顔の前で両手をパン)を繰り出す、ディレクターは腰を抜かして転んでしまう、そのすきに七世は走りだす

七世『はっはっはっー』

ディレクター『くそ、あいつ、ちょっと、いいからあいつ!』

ディレクターを心配するカメラマンに対して走り去っていく七世を指さしカメラマンに追わせ、すぐに自分も起き上がりカメラマンを追い抜き七世を追いかける


しかし、七世の動きは俊敏で距離をはなされていくカメラマンとディレクター

ディレクター『くっそ、あいつ早い』

しかし、先をいく七世の動きが止まる

止まった七世に距離がぐんぐんと近づいていくカメラマンとディレクター

七世は何かをじっと見ている、すると、刹那、

七世はベンチでバナナを食べながら新聞を読んでる50代男性のバナナをひったくり、また走り出す、カメラマンとディレクターはかろうじて七世に追いつけない

バナナを盗まれた50代男性は次のバナナに手を伸ばすがない、

ディレクター『あいつです、あいつが』

50代男性『えっ、あ、あんやろう』


ディレクター、カメラマン、男性が七世を追いかける、男性がすぐに先頭に躍り出る、しかし見失ってしまう


~カット割る~


路地、疲れている50代男性と、周囲を見渡しているディレクター

50代男性『おねえさん、もういいよ、いいよ、別にあんなもん、、、もう疲れたし、、もういい、もういいって、、、なんか良い運動なったよな、、俺もうビールでも飲んで帰るよ』

ディレクター、怒りのまなざしを50代男性に向けている


~カット割る~


カメラマンとディレクターが歩いている

カメラマン『どこいったんですかねえ』

ディレクター、無視している、表情は怒りに満ちている

カメラマン『あ、』

カメラマンはバナナの皮がおちていることに気づきバナナの皮をズームしズームアウトする

ディレクターの進行方向のちょうど目の前にバナナの皮がある

カメラマン『ちょっと、あ』

ディレクターがバナナの皮に気づかずに、バナナの皮に滑って転んでしまう

ディレクター『、、、』

ディレクターバナナの皮を掴んで地面にたたきつける

カメラマン『、、、その、ちょっと休憩す』

ディレクター『うるさい!』


~カット割る~


カメラマンは自撮りで状況を説明する

カメラマン『えー、七世さんは先ほど見失ってしまい、その後捜索を続けましたがまだ見つからないです、』

ディレクターは公園のブランコに座ってうなだれている

カメラマン『これ、取材、中止ですかね』

ディレクターは無視している


~カット割る~


ディレクター、くたびれている

カメラをパンすると七世が近づいてくる

カメラマン『あ、すいません、あの人』

アイスを三つ持ってくる七世、機嫌がいい

七世『アイス食べます?』

ディレクター『、、、そのお金つかったの?』

七世『ふふふ、アイス食べないんですか?』

カメラマン『僕はいいです』

七世『あ、じゃあぼく二つ食べますね、イェーイ』

二つ目の袋を開ける

七世『いや、さすがに三つは食べれないですね』

ディレクター、アイスをひったくり、袋を開ける


~カット割る~


七世、ひったくった物品を整理すると本がある

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